ニューヨークを拠点とする Runway ML（通称 Runway）は、リアルで高品質な生成AI動画作成モデルに注力する最も初期のスタートアップのひとつだった。

しかし、2023年2月の Gen-1モデルと2023年6月の Gen-2モデルのデビュー後、同社は他の非常にリアルな AI 動画ジェネレータ、すなわち OpenAI のまだリリースされていないモデル「Sora」や先週リリースされた Luma AI のモデル「Dream Machine」にその星を封じられてしまった。

Runway は17日、「Gen-3 Alpha」を発表した。これは、「大規模なマルチモーダルトレーニングのために構築された新しいインフラストラクチャ上で Runway によってトレーニングされたモデルの今後のシリーズの最初のもの」であり、「一般的な世界モデル」、つまり「現実世界で遭遇するような幅広い状況や相互作用を表現し、シミュレートすることができる」AI モデルを構築するためのステップであるとブログ投稿で述べている。この記事を通して、以下の Runway による Gen-3 Alpha で作られたサンプル動画を見てほしい。

Gen-3 Alpha は、高精度で、さまざまな感情表現やカメラの動きを持つ、10秒の高品質で詳細な、非常にリアルな動画クリップを生成することができる。

このモデルの正確なリリース日はまだ示されておらず、Runway は web サイトと X のソーシャルアカウントでデモ動画を公開しているだけで、Runway の無料層で利用できるのか、アクセスするために有料サブスクリプション（月額15米ドルまたは年額144米ドルから）が必要なのかは不明だ。

Runway の共同創業者兼 CTO Anastasis Germanidis 氏は X 上で次のように書いている。

Gen-3 Alpha は、まもなく Runway 製品で利用可能になり、皆さんが慣れ親しんでいる既存のすべてのモード（テキストから動画、画像から動画、動画から動画）と、より高性能なベースモデルでのみ可能になったいくつかの新しいモードを提供します。

Runway Gen-3 Alpha will soon be available in the Runway product, and will power all the existing modes that you’re used to (text-to-video, image-to-video, video-to-video), and some new ones that only are only now possible with a more capable base model.

— Anastasis Germanidis (@agermanidis) June 17, 2024

Germanidis はまた、2023年にGen-2をリリースして以来、Runway は「動画の拡散モデルは、スケーリングによる性能向上が飽和に近づいていること、そして、これらのモデルは、動画を予測するタスクを学習する際に、視覚世界の本当に強力な表現を構築すること」を学んだと書いている。

拡散とは、AI モデルが、注釈付きの画像／動画とテキストのペアからそれらの概念を学習することに基づいて、ピクセル化された「ノイズ」から概念のビジュアル（静止画または動画）を再構成するように訓練されるプロセスである。

Runway はブログの投稿で、Gen 3-Alpha は「動画と画像で共同でトレーニングされ」、「研究科学者、エンジニア、アーティストの分野横断的なチームによる共同作業だった」と述べているが、具体的なデータセットはまだ公表されていない。

批評家たちは、AI モデル・メーカーはライセンス契約を通じてトレーニングデータのオリジナル作成者に報酬を支払うべきだと主張し、そのために著作権侵害訴訟まで起こしているが、AI モデルメーカーは概して、一般に公開されているデータを使ってトレーニングすることは法的に認められているという立場を取っている。

興味深いことに、 Runway はすでに「Gen-3のカスタムバージョンを作成するために、一流のエンターテイメントやメディア組織と協力し、提携している」とも述べている。

具体的な組織の名前は挙げられていないが、以前、「Everything, Everywhere, All at Once（エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス）」や「The People’s Joker」といった作品が高く評価され、賞を受賞した映画の製作者たちは、映画の一部のエフェクトを作るために Runway を使用したことを明かしている。

Runway は、Gen-3 Alpha の発表の中で、新モデルのカスタムバージョンを手に入れることに興味を持つ他の組織に対して、ここから申し込むよう招待するフォームを掲載している。カスタムモデルのトレーニングにどれくらいの費用がかかるのか、価格は公表されていない。

我々は Runway に、上記のいくつかの点と疑問について追加情報を求めた。

一方、Runway が、動きの速い AI 動画制作の分野で支配的なプレーヤーやリーダーになるための戦いをあきらめていないことは明らかだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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