TencentがAIアシスタントアプリ発表、ByteDanceがAIハードウェアに注力かなど——中国スタートアップシーン週間振り返り(5月27~6月2日)

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「Yuanbao(元宝)」
Image credit: Tencent(騰訊)

本稿は、Technode(動点科技)が、5月27日~6月2日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

Tencent(騰訊)が AI アシスタントアプリ「Yuanbao(元宝)」を発表、「WeChat(微信)」と連携(5月31日)

Tencent(騰訊)は30日、AI アシスタントアプリ「Yuanbao(元宝)」を発表した。これは、Tencent が、同社の基礎モデル「Hunyuan(混元)」に基づく独立した参入により、競争の激しい AI アシスタント分野に遅ればせながら参入したことを示すものだ。

Yuanbao は、AI ベースの検索、要約、文章作成能力を連携しており、文書を分析したり、基本的にプロンプトに基づいて人と関わるために使用することができる。

この独立したアプリの公開は、Tencent が競合企業の AI 提供から数カ月を経て、ついに競争に正面から立ち向かうことを選択したことを示している。Baidu(百度)の「ERNIE Bot(文心一言)」はすでにユーザ2億人を獲得し、ByteDance(字節跳動)の「Doubao(豆包)」は現在月間アクティブユーザ2,600万人以上を誇っている。

Tencent の Yuanbao は、約14億人の月間アクティブユーザを持つ同社のスーパーアプリ「WeChat(微信)」エコシステムからのコンテンツへの直接アクセスを提供することで、Baidu、Alibaba(阿里巴巴)、ByteDance の製品とは一線を画している。

Tencent は先週、Hunyuan のライト版を無料で利用できるようにする一方、より強力なバージョンの価格を50%引き下げ、87.5%引きにしたと発表した。動点科技

ByteDance(字節跳動)、AI を使ったハードウェア開発に注力か(5月30日)

「TikTok」や「Douyin(抖音)」を所有する ByteDance(字節跳動)が、AI を使ったハードウェア・プロジェクトに大きな取り組みを進めていると報じられており、複数の情報筋を引用した36Kr(36気)の報道によると、現在2つの主要ハードウェア部門がこれらの取り組みを推進している。同レポートによると、1つはコードネーム「Dライン」と呼ばれるチームで、ByteDance が最近買収したオープン型ウェアラブルステレオブランド「Oladance(大十未来科技)」の創設者 Li Haoqian(李浩乾)氏が率いているという。

もう1つのグループは「Oライン」と呼ばれ、AI ベースの消費者向けハードウェア製品の探求を任務とする部門横断チームである。報道によると、このチームは ByteDance の AI ソフトウェアチーム「Flow」と緊密に連携し、ハードウェアとソフトウェアの統合 AI ソリューションに取り組んでいる。ByteDance は、昨年末、買収してから2年経過した VR 部門 Pico をオーバーホールした。36気

Lenovo(連想)、サウジアラビアの Alat から20億米ドルを調達——リヤドに中東・アフリカ本部を設立(5月30日)

中国の PC メーカー Lenovo(連想)は29日、サウジアラビアの PIF(Public Investment Fund)で変革技術投資と持続可能な製造業に注力する子会社 Alat との戦略的提携を発表し、Alat は Lenovo に20億米ドルのゼロクーポン転換社債(利息を付けない代わりに、額面より低い価格で発行する転換社債)投資を提案した。

Lenovo はサウジアラビアの首都リヤドに中東・アフリカ地域本部を設立し、この地域のカスタマーセンターと研究開発センターを設置する。また、サウジアラビアにパソコンとサーバの製造拠点を新設する。

PIF の完全子会社 Alat は、この協力関係を活用してサウジアラビアの産業変革を推進し、サウジアラビアを持続可能な技術製造の世界的な拠点として位置づけることを目指している。レノボはこの提携を通じて、中東・アフリカ地域でのプレゼンスを高めることを目指す。

発表によると、Lenovo は Alat 社に対して20億米ドルの転換社債を発行し、その資金を債務の返済と企業目的に使用する。

市場調査会社 Counterpoint Research によると、第1四半期の世界の PC 出荷台数は、8四半期連続の減少の後、前年同期比約3%増の5,710万台に達した。Lenovo は前年同期比8%増の1,370万台に達し、シェア24%で世界市場の首位の座を確保した。連想

「Douyin(抖音)」、トレンドトピックやバイラルコンテンツに関しユーザのルールを厳格化(5月28日)

TikTokの中国版兄弟アプリ「Douyin(抖音)」は27日、新しい「ホットスポットコンテンツ」検証メカニズムを導入した。Douyin のセキュリティ部門が「WeChat(微信)」の公式アカウントに投稿した通知では、Douyin は「社会的関心の高いトレンドイベント」に関与するアカウントに身分証明の提出を求めると述べている。

今回の動きは、パリで少年と宿題の本が行方不明になったというストーリーが広く共有された後、トップインフルエンサーのソーシャルメディアアカウント「Maoyibei」が複数のプラットフォームから削除されたことを受けたものだ。この規則では、コンテンツ作成者は架空のストーリーを明確に表示することも義務付けられており、これを怠り、一般の人々に誤解を与えたユーザには、30日間のアクセス禁止から無期限のアカウント停止までの罰則が科される。抖音

ビッグファンド、第3期ファンドを7.6兆円規模で登記(5月28日)

China Integrated Circuit Industry Investment Fund Phase III(国家集成電路産業投資基金 第3期)が24日、資本金3,440億人民元(約7.6兆円)で登記された。このファンドは通称「ビッグファンド」と呼ばれ、中国の半導体産業の発展を支援するために2014年に設立された。

新会社の業務は、プライベートエクイティファンド、ベンチャーキャピタルファンド、株式投資、投資管理、資産管理、経営管理コンサルティングの運営などである。株主情報によると、Phase III Fund は、財政部(17.4419%)、中国開発銀行(10.4651%)、上海国盛集団(8.7209%)、中国建設銀行(6.25%)、中国銀行(6.25%)、中国工商銀行(6.25%)、中国農業銀行(6.25%)、交通銀行(5.8140%)を含む19の株主が共同で保有している。芯智訊

Alibaba(阿里巴巴)、「AliExpress(全球速売通)」のグローバルアンバサダーとしてデビッド・ベッカム氏と契約(5月28日)

Alibaba(阿里巴巴)は、国際 EC プラットフォーム「AliExpress(全球速売通)」のグローバルアンバサダーとして、イングランドを代表するサッカー選手 David Beckham 氏と契約した。Beckham 氏を起用した広告動画では、「送料・返品無料」の特徴を強調し、Beckham 氏は買い物客に「AliExpress でもっと得をしよう」と呼びかけている。

AliExpress、Lazada、Trendyol などのプラットフォームを含む Alibaba の国際デジタルコマースグループは、最近の四半期において同社の6つの主要部門の中で最も急成長を遂げている。今回の提携は、Alibaba が6月に開催される EURO2024(UEFA 欧州選手権)のスポンサーの一つとなったことを受けてのものだ。AliExpress は、Beckham 氏をブランドアンバサダーとして発表した「WeChat(微信」の投稿で、「中国の越境事業者にはトラフィックの波が押し寄せている」と主張した。全球速売通

【via TechNode】 @technodechina

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