建設向けデジタルツインCupixが30億円、超小型人工衛星Nara Spaceが23億円調達——韓国スタートアップシーン週間振り返り(5月27~6月2日)

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Image credit: Cupix

5月27日~6月2日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは9件で、資金総額は946億ウォン(約108億円)に達した。

企業名 産業分野 調達額 ラウンド 投資家
CHEQUER
(체커)
クラウドデータ保護 非公開 新韓ベンチャー投資
ZETCITI
(제트시티)
リアルタイムポップアップライブマップ 非公開 シード ユンミン創意投資財団
Pots Company
(폿츠컴퍼니)
ペット植物ブランド 非公開 シード AI Angel Club、AI Angel-CNT Tech個人投資組合2号、Venture Innovation個人投資組合4号
Eoding
(어딩)
トラベルテック 非公開 現代海上火災保険
Power Automation
(파워오토메이션)
ロボットメーカー 35億ウォン(約4億円) シリーズA 韓国技術保証基金
EYEQ Lab
(아이큐랩)
炭化ケイ素 80億ウォン(約9.2億円) シリーズB 韓国投資パートナーズ、Company K Partners
Well Union
(복지유니온)
シニアカスタムケアフード 非公開 シリーズA MY Social Company、Gaia Venture Partners
Cupix
(큐픽스)
プロップテック 260億ウォン(約30億円) プレシリーズC Atinum Investment、IMM Investment、STIC Investment、Premier Partners、Murex Partners、新韓ベンチャー投資、韓国投資証券、IBK韓国中小企業銀行、SDB Investment、金融投資会社、Intellian Technology
Natureloud
(네이처라우드)
コマース 120億ウォン(約14億円) Nice Investment Partners、NH農協銀行、TS Investment、KDB Capital、Coolidge Corner Investment
Losh Korea
(로쉬코리아)
シニアサービス 非公開 Eugene Asset Management
CJK
(씨제이케이)
エコ水処理システム 100億ウォン(約12億円) シリーズB Stick Ventures、ソウル投資パートナーズ、Intops Investment-Enlight Ventures
FreeGrow
(프리그로우)
屋内空間情報システム 15億ウォン(約1.7億円) シリーズA 釜山銀行
Starseed
(스타씨드)
プレスリリース作成ツール 非公開 プレシード Venture Square
MyIB
(마이아이비)
マッチングギフトB2B SasS 非公開 シード Big Bang Angels
Softcone Company
(소프트콘컴퍼니)
クリエイターの育成 非公開 シード Oracle Ventures
Nara Space Technology
(나라스페이스테크놀로지)
宇宙 200億ウォン(約23億円) シリーズB サムスン証券、新韓ベンチャー投資、JB Woori Capital、KDB韓国産業銀行、T Investment、POSCO技術投資、Hana Ventures、Hi Investment Partners、BNKベンチャー投資
GoPizza
(고피자)
ピザフランチャイズ 136億ウォン(約16億円) CP All

スタートアップ投資

  • プロップテック企業 Cupix(큐픽스)が260億ウォン(約30億円)を調達した。3D 仮想現実技術をもとに室内空間を現実と同じように仮想化するデジタルツインソリューションサービス、3D デジタルツインを生成してリモート建設現場管理を可能にする。調達を受けて、グローバル営業を拡大する予定だ。
  • 小型衛星スタートアップ Nara Space Technology(나라스페이스테크놀로지)が200億ウォン(約23億円)を調達し、累積調達額は335億ウォン(約38億円)に達した。調達した資金で衛星を追加打ち上げし衛星群集システム(コンステレーション)を構築する。今年末に KOSADAQ 上場手続きに突入する予定だ。
  • GoPizza(고피자)が136億ウォン(約16億円)を調達した。タイの CP Group 系列会社流通企業 CP All から資金調達しており、タイ国内のセブンイレブンで販売を始める予定だ。

トレンド

全体投資金額40%増えたが…懸念は?

今年のスタートアップ資金調達額が2023年と比較して明確な上昇曲線を描いている。昨年、投資の干上がりを経験したのと比べるとスタートアップにはポジティブな環境が設けられたわけだが。果たして、このような現象をポジティブに評価できるだろうか。毎年・毎月の投資額と投資件数を比較すると、懸念する理由もある。

まず、上半期(1~5月)の総投資額を見てみると、2023年の同期対比投資額が40%増加したことがわかる。今年の月別平均投資金額も、2023年に比べてすべて前年比40%以上増加した。このような数値から投資環境が改善されたことは明確にわかる。

注目すべき点は、毎月の取引件数が前年度に比べて大きな変化がないか減少したのに対し、投資総額は大幅に増加したことだ。これは、少数企業が大規模な資金を調達したという証拠であり、この現象は次のような要因によって発生した可能性が高い。

まず、成功したトラックレコードを持つスタートアップが、その後の投資を通じてより多くの資金を引き付けた可能性だ。例えば、今年初めに756億ウォン(約86億円)の投資誘致に成功した MyRealTrip(마이리얼트립)は2012年に設立され、パンデミックを経て黒字転換などで投資家が注目すべき成果を見せた。

また、少数の大型投資に起因する現象とみなすこともできる。DeepX(딥엑스)の1,000億ウォン(約110億円)、Upstage(업스테이지)の1,000億ウォン(約110億円)、Bear Robotics(베어로보틱스)の800億ウォン(約91億円)などがこれに該当する。問題は、彼らが当該月の調達総額で占める割合が大きく、投資上位2番手との金額と差が非常に大きいということだ。DeepX が資金調達した5月では、2番手の調達額は260億ウォンに過ぎなかった。Upstage や Bear Robotics が調達した月も同様だ。

全体的に資金調達の上昇はポジティブだが、少数の企業に大規模な資金が集中し、投資家の視線が主要な成長セクターまたは一部の成長の可能性が高い企業に集中するという現象は懸念される。このような投資の双極化により、アーリーステージのスタートアップが資金調達に困難を経験し、全体のスタートアップエコシステムの多様性を阻害しうるため、これを解消できる政策も必要と思われる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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