アパレル工場の生産性を上げた、スタートアップの巧みな視点/GB Tech Trend

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

ファッションブランドの製造過程には、いまだDXの余地が大きく残されています。今回紹介するインド拠点のスタートアップ「Zyod」は、アパレルブランドの製造支援を行っています。今回、1,800万ドルの資金調達が発表されました。この資金を元手に、世界40か国以上へサービス拡大するとのことです。

Zyodが着目したのが、インドに点在する中小規模のアパレル製造工場の稼働率です。この記事によると、その数値は33%以下で、つまり1/3ほどしか工場のリソースを使い切れていないとのことです。低稼働率の原因には、顧客数の不足はもちろん挙げられるでしょうが、非効率な生産体制も大きな課題となっています。

そこでZyodは、工場の稼働率を効率的に上げるためのDXを実施しました。独自の管理システムを開発し、「どのように作るか、いつ作るか、何を作るか」など、作業工程の効率化をZyod側から支援できる体制を構築。さらに、世界中のブランドから案件を集め、提携先の工場に実務を依頼することで、盤石な生産体制を構築しました。資金調達前は小スロット対応のD2Cブランドを顧客としていましたが、今後は大手ブランドとの提携も視野に入れています。

Zyodの巧みな点は、DXを通じた3つの段階的な「バンドル化(取りまとめ)」を行い、収益性を高めている点です。

まず、インド国内工場の生産体制を、独自のシステム開発により一気通貫型に取りまとめました。大きなイノベーションというよりは、地道なオペレーション改善が求められる現場に目を向けるところから始めた具合です。次に、同じオペレーションフォーマットを採用しながら工場数を拡大し、インド国中に生産網を張り巡らせ、工場ネットワークを取りまとめました。最後に、より多くの顧客企業からの注文を取りまとめ、大量生産にも対応するようになっています。

このように現場オペレーションやリソース管理から、工場ネットワークのバンドル化に至るまで手を伸ばし、稼働率を圧倒的に上げることで収益性も向上させているのがZyodです。

このモデルは他市場でも似たような事例があります。一例に挙げられるのが、世界中のフリーランスエンジニアをバンドル化して、大手企業のアプリ開発受託を効率化させる「Gigster」です。プロジェクト管理にAIを用いて、フリーランスだけで組まれた開発チームのスケジューリングから、開発工程までの効率化を実施しています。GigsterもZyodも実働のリソースは外部に任せており、いわゆる仲人役のような立場を貫いているのが特徴です。

6月11日〜6月28日の主要ニュース

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