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Telegram、使ってます？

筆者は以前、どこだったかな、クリプト系のプロジェクトをやっている方と個別にチャットする必要があり、メッセージグループ作るからと渡されたのが Telegram だったのを除くと、使う機会はほぼありません。暗号資産・クリプト関係者はよく使ってるイメージ。今週はその話題一色だったのですが、使ってる人たちによって受け止めにムラがある感じ。

何があったの？：Telegram 創業者の Pavel Durov 氏は8月24日、フランスで逮捕された。The Verge がまとめた情報によると、逮捕は7月8日に開始された捜査の一環で、児童性的虐待材料の所持・配布から麻薬販売、マネーロンダリングまで、幅広い犯罪に対する「共犯」の疑いがかけられている。この逮捕は、テクノロジー業界に衝撃を与え、プラットフォームの責任と表現の自由のバランスについて激しい議論を引き起こした。

逮捕の背景には、Telegram のコンテンツモデレーションの甘さがある。同社は暗号化技術を売りにしているが、エンドツーエンド暗号化は手動で有効にする必要があり、グループチャットや公開チャンネルでは機能しない。このため、犯罪行為が公然と行われる場となっていた。Telegram のプラットフォーム上で行われる違法活動は、「terrorgram（テログラム）」というニックネームで知られるほど広範囲に及んでいる。

Telegramはこの記事にある通り、プライバシー優先の考え方で、創業者も2015年のTechCrunchイベントで「プライバシーへのコミットメントは、テロなどの恐れよりも重要」と発言するなど、結構極端な思想のプラットフォームなんですね。違法コンテンツに対しても、問題のあるチャンネルを完全にブロックするのではなく、単に非表示にするだけの場合もあったらしく、この対応の甘さが、今回の逮捕につながったという指摘もありました。ちなみに Durov さんは、ロシア出身のテクノロジー起業家で、ロシアのソーシャルネットワーク「VKontakte」（VK）を設立し、2013年に彼の兄弟とともに Telegram を創設しています。

で、やっぱり興味深いのが同社のビジネスです。これについて FT に情報が掲載されていました。

Telegramのビジネス：Financial Times が入手した Telegram の2023年財務報告書によると、同社は3億4,250万ドルの収益を上げる一方で、1億800万ドルの営業損失を計上している。この数字は、Telegram の急速な成長と同時に、収益化の課題を示している。

注目すべきは収益の内訳だ。「統合ウォレット」と「コレクティブル販売」という2つの暗号資産関連項目が、全収益の40%以上を占めている。これは、Telegram が単なるメッセージングアプリから、暗号資産ビジネスの主要プレイヤーへと進化していることを示唆している。

Telegramは「Toncoin」と呼ばれる暗号資産を保有しており、これらのデジタル資産は当初原価で記録され、その後、各報告日に公正価値で再評価される。この会計処理方法により、Telegramは市場の変動に応じて資産価値を調整できる。2023年末時点で、Telegramが保有するデジタル資産の価値は約4億ドルに達し、現金および現金同等物をはるかに上回っている。これは、同社の財務状況における暗号資産の重要性を如実に示している。

Telegramのビジネスモデルは機能強化できる「Telegram Premium」を中心にアプリ内のカスタマイズ課金、広告、ビジネスタイアップなどなのですが、彼ら、2018年に一回、ICOして失敗してるんですね。約17億ドルを調達して当時も結構話題になったのですが、翌年に米国証券取引委員会（SEC）が介入し、トークンが未登録証券ということですべて白紙に。

ただ、その後、このTelegram Open Network（TON）は TON Foundationという組織に引き継ぎ昨年には TON ベースの暗号通貨ウォレット「TON Wallet」を Telegram アプリに統合しています。

これによって Telegram ユーザーはアプリ内で直接 Toncoin を使用したり交換したりすることができるようになりました。FTの報道を見る限り、この収益が同社の40％を占めているということなのでなかなかのインパクトです。逆に言えば、ソーシャルネットワークとこの暗号資産・ウォレットの相性っていいんだということがよくわかる結果とも言えます。