OpenAI週間アクティブ2億人突破、電話対応AI「Bland AI」に注目ーー今日のテックトレンドななめ読み【TechDaily】

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TechDaily は筆者が毎日実施しているテックニュースの斜め読みをまとめたもの。グローバルで気になる資金調達、テックトレンド、スタートアップニュースをまとめて共有する。しばらく不定期更新でお送りします。

OpenAI、週間アクティブユーザー数が2億人を突破

今週は Telegram の話題一色だったが、週末になって大きめの話題が入ってきた。OpenAI のラウンドだ。

ChatGPT の週間アクティブユーザー数が2億人を突破し、昨年から倍増したことが報告された。フォーチュン500企業の92%が OpenAI の製品を利用しているらしい。筆者や編集部ももちろん有料課金ユーザーとして複数アカウントを使っている。

こうした実際の利用実績を背景に進んでいるのが次の資金調達だ。

同社は現在、1,000億ドル以上という驚異的な評価額での新規資金調達を検討しているとの報道がある。この資金調達が実現すれば、OpenAI は AI スタートアップとしては過去最高の評価額を記録することになる。資金調達ラウンドは Thrive Capital が主導し、既存の大口投資家である Microsoft も参加する見込みという。

さらに注目すべきは、Apple と Nvidia が OpenAI への投資を検討しているという報道だ。特に Apple は、今年後半に ChatGPT を Siri と統合する計画があるとされており、9月に予定されている次の製品発表に注目が集まっているところだ。OpenAI との関係強化は戦略的に重要な意味を持つ可能性がある一方、Nvidia は OpenAI の AI サービスを支える重要なチップサプライヤーであり、両社の関係をさらに深化させる可能性がある。

このような急成長と大型投資の背景には、OpenAI の革新的な技術開発がある。同社は最近、より安価で高性能なモデル GPT-4o Mini をリリースし、API 利用が倍増したと報告している。しかし、OpenAI の成功には課題も伴う。同社は年間約50億ドルの損失を出すと予想されており、AI 開発と人材確保にすでに85億ドルを費やしたとも言われている。

毎週2億人が利用する新たなインフラへの投資額としてこれが適正かどうかは見当もつかない。

OpenAI の急成長は、AI 業界全体にも大きな影響を与えている。特に Meta は、オープンソースの Llama モデルの採用が急増していると報告しており、オープンソース AI の台頭も無視できない動向となっている。

AI が AI に電話するディストピア

ということで、私たちは今、OpenAI という新たなビッグテック候補を手にしたわけだが、かつてGoogle や Meta、Amazon などを中心とするテック・エコシステムができたように、新たな AI 関連スタートアップのトレンドが加速度を増しているように思う。毎日のようにスタートアップの資金調達が報告される中、「AI」というワードを抜きに調べるのが難しいほどだ。

以下に今日、見つけた AI 関連銘柄をご紹介する。

電話対応の自動化分野では、Bland AI が注目を集めている。同社は1,600 万ドルの資金調達に成功し、リアルな音声を持つ AI エージェントによる企業の電話対応の自動化を推進している。

Bland AI は、企業の電話対応を自動化する AI エージェントを提供する新興スタートアップで、人間のように聞こえる AI が顧客サポート、営業活動、社内コミュニケーションを24時間365日処理できる。企業のニーズに応じて声や振る舞いをカスタマイズでき、多言語対応や音声クローニング、他システムとの統合、詳細な通話分析など、多彩な機能を備えている。

Better.com や Sears といった大手企業がすでに導入を始めており、その効果が注目されている一方で、AI が人間のふりをすることに対する倫理的懸念も指摘されているが、Bland AI 側は企業での管理された利用を想定しており、非倫理的な使用を防ぐ対策を講じていると主張している。

国内でも生成 AI に「架電」させるというアイデアが賛否を生んでいた。この Bland AI もまた、架電側の機能を含む。リアルタイムの電話は時間を奪うことから徐々にオンデマンド・コミュニケーションへと移行しているが、対応するのが AI であればまた違った世界が生まれる。AI が架電して AI が対応する。ディストピアのような世界がすぐ近くまでやってきているのかもしれない。

AI コーディングアシスタントが大型調達

Codeium

もうひとつ、今週大きく動いたのがソフトウェア開発を支援する AI コーディングアシスタントの分野だ。

この分野で急成長を遂げているのが Codeium だ。同社は最近、General Catalyst が主導する1億5,000万ドルのシリーズ C 資金調達を完了し、企業価値を12億5,000万ドルにまで押し上げた。Codeium は、GitHub の Copilot と競合する AI コーディングアシスタントを提供しており、すでに70万人以上のユーザーと1,000社以上の企業顧客を獲得している。

同社の CEO、Varun Mohan 氏は TechCrunch の記事で、「開発者は依然として時間のかかるコーディング作業に苦労しています。多くの AI 駆動ソリューションは、既存のコードベースに統合するために大量の手作業を必要とする汎用的なコードスニペットを提供しています。そこで私たちの AI コーディング支援が役立つ」と述べている。Codeium の特徴は、アプリの全コードベースのコンテキストを考慮した提案を行うことで、約70のプログラミング言語をサポートし、Microsoft Visual Studio や JetBrains など多くの一般的な開発環境と統合可能だ。

同じく AI コーディング分野で注目を集めているのが Magic AI である。同社は元 Google CEO のエリック・シュミット氏らから3億2,000万ドルの資金調達に成功した。Magic AI は1億トークンという非常に長いコンテキストウィンドウを持つ AI モデルを開発し、より複雑で大規模なコーディングタスクに対応できる技術を提供している。

この長いコンテキストウィンドウにより、Magic AI のモデルは約1,000万行のコードまたは750冊の小説に相当する情報を処理できる。同社は Google Cloud とパートナーシップを組み、次世代の AI スーパーコンピューターの構築を計画している。

AI の応用は、コーディング支援だけにとどまらない。Atlassian は、AI 議事録サービスである Rewatch を買収し、会議の生産性向上に向けた取り組みを強化している。この買収により、Atlassian は Loom プラットフォームと Rewatch の技術を統合し、会議の内容を自動的に文書化し、それを Jira のタスクや Confluence のページに変換する機能を提供する計画だ。

Rewatch の特徴的な機能には、カレンダー統合があり、ユーザーは各会議で AI ボットをオンオフできる。また、会議ノートを自動的に参加者全員に送信する自動化機能も備えている。

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