中央アジアのアゼルバイジャン共和国では、ヘモグロビンを構成するグロビン遺伝子の異状による貧血「サラセミア」が世界で最も多く発祥すると言われており、その患者は毎年500人増加し続けている。
この病気には対処療法として月30リットルの輸血が必要なのだが、残念なことに同国での輸血の意識というのは想像以上に低いようで、血液が足りていない現状があるそうだ。
とそこで同問題を解決しようと実施されたのが、同国内の携帯キャリア「Nar Mobile」の「Life-saving Cable Project」だ。
同プロジェクトでは、Life Saving Cableと呼ばれるスマートフォン同士を繋いで電池を分け与えることができるMicroUSBケーブルを、Android購入者に対して無料配布。
ケーブルは輸血を意識するデザインとなっており、また「スマホを救うために電池を分け与え、命を救うために血を分け与えてください」というメッセージを記載することで、電池を分け与える行為から献血行為を想起させるようになっている。
また電池を欲する人を探せるアプリも配布するなど「分け与える」ことを強く意識させる構造になっていた。また同キャリアのショップに献血車を待機させるなど、献血の意識の高まったタイミングを逃さないよう綿密に設計がされている。
ガジェットが身近になったからこその、そこにメッセージを込める手法。このキャンペーンにより、同国での献血者数は335%増加するなど、驚きの成果を上げることができたようだ。
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