激戦の決勝プレゼンーー13組の起業家・投資家ペアが事業アイデアを発表した「インキュベイトキャンプ 5th」2日目レポート

Junya Mori by Junya Mori on 2013.5.19

5月17日、18日に「インキュベイトキャンプ 5th」が開催された。Sd Japanはメディアスポンサーとして参加し、二日間の全プログラムの取材を行った。初日には、プランのメンタリングと、起業家と投資家のチームを決定するドラフトが行われた。その様子はこちらの記事でお伝えしている。

初日の夜から18日の午後までの時間を活用し、各チームは事業プランをブラッシュアップ。深夜までPCに向かって作業を続ける人も多く、2日目も時間ギリギリまでプランの見直し、プレゼンの練習をしている様子が見られた。短い時間ではあるが、集中してプランをブラッシュアップして各チームは決勝プレゼンにのぞんだ。

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決勝プレゼンには、豪華審査員が登場。最近、次のMixiの代表取締役に就任することが発表された朝倉氏や、DCM 伊佐山氏、B Dash Ventures 渡辺氏、西田氏、ニッセイ・キャピタルの永井氏が審査員として事業プランの審査を行った。

決勝プレゼンには13チームが参加。起業家によるプレゼンが7分行われ、キャピタリストのフォローセッションが2分間行われた後、質疑応答の時間が10分。

・peraichi

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peraichiは店舗運営などローカルビジネスをやっている人たち向けに新たな広告手段を提供することを目指す。ローカルビジネスを実施する人々が最初に行うことはチラシを作成し、配布することだと橋田氏は語る。そうした人々のチラシ作成から配布のコストを大きく下げ、本業を圧迫することをなくすことを目標にしたサービスだ。

ユーザは、まず作りたいチラシジャンルを選択する。その後、URL、住所、電話番号などフォームに必要な情報を入力し、テンプレートを選択すると、チラシが生成される。チラシが生成されると、そのチラシ画像がソーシャルメディアに投稿され、チラシがディストリビュートされる。テンプレートは基本無料だが、有料テンプレートも用意し、マネタイズにもつなげていく方針だという。

あまりITリテラシーの高くないことが想定される地域でビジネスをしているような人々が使えるだけのサービスなのか、ローカルビジネスを行う人々が持つソーシャルネットワークが、どれくらい実際に店舗に足を運ぶ可能性がある層と被るのか、ネット上でチラシを見た人が店舗に足を運ぶようにするための動機付けはどのようなものにするのかなど、気になるところだ。

・One Map

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「One Map」は、世界最大の旅行情報プラットフォームの構築を目指すスタートアップ。で、今回発表されたサービスは、この目標達成のための最初のステップだという。まず提供するのは、旅行の計画を共有するサービス。様々なツールを使わなくてはならず、手間だった旅行準備のコストを減らすことを目指している。

ユーザはクリックして行きたいスポットを追加していく。そうすると回るコースなど、情報を整理して計画を立て、一緒に旅行に行く人に連絡するところまで同じサイト上で可能になる。ソーシャルメディアとSEOによって集客し、旅行計画市場でリードポジションを獲得して旅行リテラシーの低い人にとって魅力的なサービスとなることを目指していくとのことで、旅行計画・予算に対する「入札」機能を旅行代理店に提供することでのマネタイズを考えているという。

日本だけではなく、アジア地域、北米を見ても競合の多い旅行系サービスのなかで、どのように存在意義を示していくのかが課題になりそうだ。

・ototomo

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ototomoは音楽の楽しみ方を再定義することを目指すサービス。これまで音楽を楽しむことが多かったとし、より友人や同じ音楽が好きな人と一緒に音楽を楽しめるようにすることを目指す。音楽をきっかけに、気になる人がいるのに話すきっかけがない人に対してコミュニケーションのきっかけを提供する狙いだ。

ototomoは、YouTubeのコンテンツを使って、ユーザへのオススメの曲をレコメンドする。ユーザ自身が聞いたアーティストの曲や、友達が聞いた曲からオススメの曲をまとめて通知する。送られてきた音楽を気に入ったらGoodボタン、気に入らなかったらNextボタンを押す。Goodボタンを押すと、同じ曲をGoodしてる人同士でコミュニケーションをとれることが可能になる。直接つながっているフレンドと、フレンドのフレンドである「音トモ」という人々がototomoには登場する。

マネタイズとしては、オトトモへのメッセージ、一日一人まで無料とし、複数のオトトモへのメッセージの送信を有料にすることや、メッセージや聞いた音楽のログ保存が可能になる月額課金などを考えているという。

質疑応答の時間に話題となった音楽自体を楽しむことが目的なのか、音楽を媒介としてコミュニケーションをとることを目的とするのかによって、今後の方向性が変わる可能性が残っている。

・Knot

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「Knot」は、アーティストがライブを生放送するためのプラットフォーム。音楽ライブに行きたいけれど、手間がかかっていかないという人たちのために、ライブをもっと身近なものにし、オフラインライブのオンラインへのリプレイスすることを目指している。

北米に「STAGEIT」というアーティストが簡単に放送できる有料配信のライブ配信サービスがあり、ライブハウスや自宅などから気軽にライブの配信ができるサービスがある。これはリアルのライブ感をどうオンラインで再現するかを、テクノロジーからトライしているサービスで、音楽業界で注目を集めている。

Knotは、日本版のSTAGEITを目指しており、日本版の独自機能としてアコースティックライブの配信、新人発掘系チャネルなどを備える予定だという。このサービスの課題は、配信を支える技術的な部分をどう解決するのかというところ。USTREAMは150万人同時接続して固まらず、良いアーティストほど、安定しないチャネルにはのってこないという課題がある。また音楽業界からは、技術としてしか見られないため、薄利になりやすいという状況もある。どこでお金を稼ぐのかしっかりと考えてから、技術をしっかり担保していくことについて、審査員であるDCMの伊佐山氏からフィードバックがあった。

・MYSTOCK+

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ユーザに合った銘柄をスクリーニングしてウォッチするスマホアプリ。個人投資家向けに銘柄情報配信をおこなうGunosyのようなサービス。「個別銘柄特有の面白さを伝えたい、ファンを増やしたい」というビジョンの元、構想しているサービスだ。

ターゲットは、ウォッチしたい銘柄がある個人投資家や、株価に影響する話があればすぐに知りたい短期の個別投資家など。ユーザはウォッチしたい銘柄に関する情報を登録すると、それに関する情報が送られてくるようになる。ウォッチしたい銘柄を例えば、ガンホーにしたとすると、パズドラのアプリランキングや、Google Playなどプラットフォームの仕様が変更された、同種企業の動きなどの情報が送られてくる。

キラーコンテンツは、投資銀行で働いていたバックボーンからある知識やmリサーチャー・アナリストとのネットワークを活かした銘柄への関連付けだという。協力してくれるアナリストは無料で情報を提供してもらい、仕入れコストも少なくする予定。基本は無料のフリーミアムモデルを想定し、広告モデルなどと合わせてマネタイズを狙う。

ただ、北米には「Wikinvest」という同種のサービスが4年ほど前に登場しており、うまくいかなかったという歴史があるという指摘もあった。そのサービスは100人規模のアナリストがボランティアで情報を提供していたものだが、無料で手に入る情報と有料で手に入る情報の差は厳然と存在しており、その課題を解決する必要もありそうだ。

・スマホを通じて10秒で出品できるサービス

スマホを使って10秒で出品ができるマーケットプレイス。詳細はまだオフレコとのことなので、発表されるのを楽しみにしてほしい。

・サムライト

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サムライトは、SEOの新しい時代におけるコンテンツ制作のクラウドソーシング。既存のクラウドソーシングは、量が重視されており、コンテンツのクオリティがあまり高くないという課題がある。コンテンツの質を高めるための専門ライター・著名ブロガーに特化してリスト化し、アウトソースするという仕組み。

従来のウェブメディアの広告予算からではなく、企業のオウンドメディアにおけるSEO用の予算などがリプレイスすることなどを想定しており、そちらからお金を獲得することを考えているので、ライターにとって、既存のメディアに記事を執筆するよいも条件はよくなるだろうと考えているそうだ。最終的な目標は、ライターの人が稼げる場にしたいという。現在の有料メルマガのリプレイス、BtoCの新しいマーケットを作っていくところまでを見据えている。

オウンドメディアの運営を事業にしている既存のプレイヤーとの差別化や、ライターの人が本当に稼げるようになっていくのかは、これから検証していくということになりそうだ。

・リンカーン

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リンカーンは、不動産流通事情の既成概念を打ち破るサービス。現在の不動産サービスに対する人々の不満は、礼金が高い、仲介手数料が高い、不動産の良し悪しがわからないといった課題が挙げられ、同サービスはこうした問題の解決を目指す。

吉田氏は、不動産の両手取引の問題(不動産会社が、不動産を売りたいと思っている売り主と不動産を買いたいと思っている買い主の両方から手数料をもらうこと)を指摘する。この問題を解決するために、従来のように入居者を募るのに、仲介会社を介するのではなく、マンションの入居者たち自らが、ソーシャルメディアを活用して、自分が暮らしている物件を薦めて、入居者を募る。

      ①管理会社がキャンペーンを作成
      ②現在の入居者への募集依頼、拡散依頼
      ③管理会社にはアナリティクスデータを提供
      ④入居が決まった場合にご紹介ボーナス

プレゼンでも発表されていたが、市場が大きく、既存の競合は中間業者を抜けないので参入できず、お金が落ちるポイントがあるモデルなのでマネタイズのイメージはしやすい。自分の住んでいる場所について、ソーシャルメディア上に投稿していくことになるので、ユーザのリスク、抵抗がどれくらいあるかが懸念事項だろうか。

・Secondspace

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Secondspaceは、300文字以上のテキストを投稿するプラットフォーム。ブログを書きたいけれど継続できない自分の状態からこうしたサービスがあれば、と思い開発しているサービスだ。ブログでは、長文は書けるけれど継続できない、facebookではあまりマジメなことを長文で書くことに抵抗がある、Twitterには文字数制限があるので長文投稿はできないといったほかのサービスでは満たされないニーズを満たそうというサービス。

既存サービスでは、Pyra Labs(ブログ作成サービスのBlogger)や、TwitterのCEOを務めたEvan Williams氏が現在クローズドで運営しているMedium.comというサービスに近い。Secondspaceではフォロー、フォロワー関係があり、ブログよりもコメントをしやすい、フィードバックを得やすいサイトと

思考が整理され、発展するストック型プラットフォームだというこのサービスは6月25日にリリースを予定している。本当にこうした投稿をしたいというニーズがユーザにあるのかの検証も兼ねて、早めに試してみる方針。

・EXPERIES

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EXPERIES は、専門家からパーソナライズされた回答を手軽に得られる場を提供するウェブコンシェルジュ。ウェブ上で情報を探していて、情報が古かったり、一般論のような情報にしか当たらず、自分が求めている情報に辿りつけないという経験をしたことがある人はいるのではないだろうか。EXPERIESを作りたい小澤氏は、こうしたことがないように、人々が正しい情報にアクセスできるようにし、情報格差を埋め、ユーザの判断の質を向上させることを目指している。

EXPERIESのやりたいことに近いリアルタイムコンシェルジュ的なサービスは海外では生まれ、主流になってきている。得意分野を持った専門家がラインナップされ、ユーザから投稿される課題に答えていく。

数あるユーザが抱える悩みのなかでも、とくにユーザの悩みが大きく、小澤氏のバックグラウンドを活かせる分野、保険の分野を狙う。まずEXPERIESではユーザが保険について相談したいことを投稿すると、保険の専門家であるファイナンシャルプランナーの人が答えるという仕組みになっている。保険の相談にのり、保険会社に送客することでマネタイズをはかり、ユーザに報告してもらってキャッシュバックするという仕組みをとる予定。

保険の分野からスタートし、他分野にも順次参入予定だという。

・Code Camp

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Code Campは、大学生向けに無料でオンラインプログラミングスクールサービスを提供する。プログラミングができる学生をとりたい企業とのマッチングを行う。新卒のエンジニア採用をしたい企業にこうしたニーズがあると考えているという。

Code Campは「オンライン教育と人材紹介」の知見を有するチーム。代表の池田氏はビジネスブレークスルー大学で、オンラインスクール事業の立ち上げに参画。その経験を活かし、マネタイズは紹介手数料を通じて行なっていく。Code Campでプログラミングを学ぶ生徒は、ビデオ講義を受け、グループ機能で生徒同士でコミュニケーションをとり、課題提出などをオンラインで受けられる。

日本のウェブサービス産業がさらに発展するためには、ウェブエンジニアが大量に必要になると同スタートアップは考えている。Code Campは来るそうしたニーズに備え、ウェブエンジニアの共有所を目指していく。

プログラミングを学べるサービスはCodeAcademyや、Treehouse、ドットインストール、Spath Schoolなど複数挙げられる。Ed Techサービスとしても、プログラミングを学ぶ人を増やす装置として今後どう活動していくのかが気になるところだ。

・レコメン

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レコメンは、恋人募集のプロジェクトを立ち上げることで、クローズドな環境で、自分の友人の恋人募集ができるサイトで、結婚してほしい友人がいる人をターゲットにしている。

ユーザは結婚してほしい友人がいる人。ユーザは結婚してほしい友人のレコメンド文を書き、そのユーザのフレンドのなかでレコメンドしている友人に会ってみたいという人はオファーを出し、そのなかからユーザは結婚してほしい友人に合いそうな人を1人、2人を友人に紹介する。

レコメンドされる人は、クローズドなネットワークから、友人の紹介で出会うことになり、コンペ形式をとるので良い人だけと会うことになる。原則無料だが、ネットワーク外の人とも会ってみたいという人は、月額1980円を支払えば、クローズドなつながり以外の人とも出会うことができるという。

・byus

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海外メディア事情には、ハフィントン・ポストでは月間1000万のコメントが付き、waviiという最近Googleに買収された情報同士の関連付ける技術会社などがあり、メディアの状況が変化している。国内に視点を移してもメディア事情、Gunosy、SmartNewsなど、配信技術は進歩し、情報への接し方は変化しつつある。

このような状況のなか、ニュースをよくわかるようにしたい、人々の知りたい欲求に答えたい、という思いを持ったデータアナリストの仕事をしている堤氏は、知りたいことが聞けるニュースメディアとしてbyusを作りたいと考えている。

これまでは散らばった情報を自分でつなげて理解していたものを、byusによって「分かるために」繋げられた情報を見ることが可能になる。そうするとより多くの人々がニュースを読み、理解することができるようになっていくとbyusのチームは考えている。

知りたいことが聞けるニュースメディアとなるために、まず「Ask」機能をニュースに付けて、聞きたいこと疑問に思ったことをすぐ質問できるようにする。次のフェーズとして議論が行える場を整え、さらにその先のフェーズでwaviiで使われていた技術を応用して、情報の関連性を強めていく方針だ。

「人類の知を継承していく」という掲げているビジョンは、13組のスタートアップのなかでは最もスケールの大きいものだった。メディアは今まさに激変の時代なので、ここにおける可能性はあることは間違いないが、乗り越えていかなくてはならない技術的・仕組み的な課題が多くありそうだ。

出資が決まったチーム

以上、13組がブラッシュアップをした事業プランをプレゼン。審査員とキャピタリストたちによって審査が行われた。上位3組をご紹介する。

第3位 10秒で出品できるスマホサービス。

第2位「Code Camp」 – 池田氏、西條氏のペア。初日と2日目で最も点数が増したペアでもある。

第1位「サムライト」 – 柴田氏、赤浦氏のペア。

以上3組がインキュベイトファンドより出資が行われる。また、サムライインキュベイトから、宇野氏「Knot」、西尾氏「MYSTOCK+」、橋田氏「peraichi」に出資が決まった。

最後、審査員やゲストキャピタリストからのコメントにおいて伊佐山氏からは参加者に対して情報不足な印象を受けた、という指摘があった。海外サービスであっても、すでにメディアに取り上げられているようなサービスを知らないというのは勉強不足。別の場所にロールモデルがあるのであれば、それを参考にしてローカライズするにはどうしたらいいのかを考えたほうがいい、という同士の指摘は確かに最もだ。

今後、2ヶ月ほどインキュベイトファンドではフォローセッションを行い、さらに事業を磨いていく。2日間でかなりブラッシュアップされた事業が、今後2ヶ月でどのように進化していくのか、今回紹介したサービスの続報をお伝えできることを楽しみに待ちたい。

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Junya Mori

Junya Mori

モリジュンヤ。2012年に「Startup Dating」に参画し、『THE BRIDGE』では編集記者として日本のスタートアップシーンを中心に取材。スタートアップの変革を生み出す力、テクノロジーの可能性を伝えている。 BlogTwitterFacebookGoogle+

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