ネット時代のものづくり対談ーーABBALabではじめるプロトタイピング(後編)

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(ーー前編からの続き)モノが溢れる現代、大量生産・大量消費という大きな潮流だけでは満たされないニーズが出てくるようになった。この世には「雨どい専用のロボット掃除機」というものがあるらしい。面白グッズかと思いきや、意外と海外の大型邸宅ではニーズがあるのだという。

今、「適量生産・大量販売」という概念が生まれつつある。ウェブサービスのようにより低いハードルで試作品を制作し、クラウドファンディングなどの方法でマーケティングと資金調達を実施する。ものづくりの敷居が低くなったことで、逆に小さなニーズを大量に獲得しよう、という考え方だ。

この「適量生産・大量販売」をテーマに、ものづくり系スタートアップを支援するプログラムが「ABBALab」だ。

本企画では「ABBALab」設立者でNOMAD代表取締役の小笠原治氏に、特別対談として同じくスタートアップ支援を展開するMOVIDA JAPAN代表取締役の孫泰蔵氏をお迎えし、お二人のお話からものづくり系スタートアップの方法やノウハウをお伝えしたい。

ABBALabが考えるものづくり三つの要素ーー「造形(外装)」「電子工作」「ソフトウェア」

SD:新しいものづくりで考えなければならない要件というのはどういったものになるのでしょうか?

小笠原:ABBALabでは造形、電子工作、ソフトウェアの三つが重要と考えています。

まず、造形が生み出せるように、自宅や普通の事務所では置けないような、音が大きかったりサイズが大きかったりする機材を揃えた場所を用意する予定です。

その場で作るというよりはデータを預けてもらって3D出力してお戻しするイメージですね。大阪市の千里中央に特殊な材料、例えばチタンやステンレス系の素材や700×500×380mmまでの大きさの造形が引き受けられる施設も用意しています。

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樹脂などの一般的な素材を出力できる場所が東京で、特殊素材が大阪という分け方です。渋谷、西麻布、大阪、今年度中には北九州の小倉にもデータ制作と出力の拠点を予定しています。

また、ソフトウェア開発についてはインターネット領域の開発者と組み込み系の開発者が集まりやすいコミュニティも作りたいと思っています。まだまだこれからですが特にmruby使いの方に興味があります。コミュニティの中からソフトウェアや外装づくりができる人材とのマッチングなどもやりたいですね。

どこに発注したらよいか分からない場合に必要な情報がデータベース化されていくイメージです。年内には電子工作を支援できる場所も予定しています。

ものづくりスタートアップに必要なステップとは?

SD:では、そのゴールに向かうため、どういうステップがあるのかをお聞きします。資金や人材、どういったモノをいつまでに作ればスタートアップできるのでしょうか?

孫:時代はもう新しいものづくりを受け入れてくれる状況に変化しています。私たちがMOVIDA JAPANで実施している(ネット系サービスを中心とした)スタートアップ支援は基本的にエクイティ(株式)です。では、ABBALabで実際されるようなものづくりの支援体制を同じように株式で実施できるかというと少し難しいかもしれません。

小笠原:まず、ものづくりって会社ありきというより「モノ」や「プロジェクト」が先に来ることが多いんですね。そうなると会社を作って株式で支援するというスタイルがそぐわない可能性が大いに考えられる。

製造したプロダクトに対するプロジェクトファイナンスというのも選択肢になってきます。「新しいものづくり」には相応の資金調達のスタイルができるのではないでしょうか。

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基本的にABBALabの支援プログラム対象となるのは「クラウドファンディングに出品するまでのプロトタイプを作る過程」と「クラウドファンディングで成立したプロダクトの適量生産過程」と考えてもらえればよいと思います。

「一点モノ」であれば作れる方はいらっしゃいます。一方で質の高いプロトタイプを作るにはやはり資金が必要です。まずはここを支援して「モノ」を作り出し、それを10個から500個ぐらいの単位でクラウドファンディングに出すことで、市場の反応を確かめます。ここで好評を得られたものを適量生産に回します。

おおよそクラウドファンディングに出品する10倍ほどの数量になるでしょう。もっとニーズのあるものであれば必要な大量生産をすればいいと思います。

SD:具体的なプログラムのようなものはあるんですか?

小笠原:企画やプロトタイプに応じて個別に支援プログラムを設定します。連絡頂いた件について面談を設定して内容を決定する予定です。アイデアのみ、というのは基本的に受付が難しいと考えてください。何らかプロダクトを作り出すのに必要なスキルを有している方やチームが対象になります。

また、プロトタイプや適量生産モデルへの投資ということから、株式だけではなく商品の販売権やライセンスといったものも資金提供の対象にする計画です。

ちなみにテッキンというテックレシピの共有サービスを提供している会社やゲーミングデバイスのメーカーであるダーマポイントなどが支援先にあります。

SD:ありがとうございました

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