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コロナ禍で進んだ共創のオンライン化ーー主要4社が語る「オープンイノベーションのリアル」座談会 Vol.2

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 前半では日本国内におけるオープンイノベーション、協業・共創の10年を専業プレーヤーとして現場に取り組んできたAUBA、Creww、01Booster、KDDI ∞ Laboのみなさんに振り返っていただきました。後半は2020年に世界的な社会問題となったパンデミックの影響をお聞きします。 企業と企業が結…

写真左から:eiicon company 代表/founder/中村 亜由子さん、01Booster(ゼロワンブースター)代表取締役CEO/鈴木 規文さん、Creww 代表取締役CEO/伊地知 天さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

前半では日本国内におけるオープンイノベーション、協業・共創の10年を専業プレーヤーとして現場に取り組んできたAUBA、Creww、01Booster、KDDI ∞ Laboのみなさんに振り返っていただきました。後半は2020年に世界的な社会問題となったパンデミックの影響をお聞きします。

企業と企業が結びつく際、創業者・代表者の意思疎通は何よりも大切です。コミュニケーションの基本である「対面」が奪われた時、共創の現場には何が起こったのでしょうか。オープンイノベーションの現場にもたらされたオンライン化はどのように働いたのか、各社が模索した企業共創のフレームワークや失敗談についても多いに語っていただきました。(文中太字の質問は全てMUGENLABO Magazine編集部、回答は以下の方々です・敬称略)

座談会参加者
eiicon company代表・founder/中村亜由子さん
01Booster(ゼロワンブースター)代表取締役CEO/鈴木規文さん
Creww代表取締役CEO/伊地知天さん
KDDI ∞ Labo(KDDI)/石井亮平さん

コロナ禍によるトレンドの変化

コロナ禍による影響についてお聞きしたいです。共創・協業の現場は会ってナンボ、というリアル重視でしたが、みなさんどのような対応や検討をされていますか

中村:弊社のプラットフォームはもともと地の利に関係なく企業同士が出会えるように設計されたオンラインプラットフォームであるため、コロナ禍においては活用されるケースがかなり増えましたね。イベントの相次ぐ中止で、リアルの場で出会いを担保されていた企業がオンラインに移行された結果です。面談の実現率は4月以降、コロナウイルス発生前の約1.5倍になっていて、7割の企業様が面談自体もオンラインで実施しています。
公開できるケースとしてWEB上にも多数事例を掲載していますが、例えば森創さんはオンラインでのマッチングへシフトされた一社で、パチンコ部品開発製造のノウハウから、新市場領域進出を検討しており、オンライン面談から共同開発が決定しています。

石井:私たちはこれまで実際に合わないと共創は始まらないという「リアル最強説」を唱えてきたのですが、オンラインにシフトしたことで新しい発見もありました。特に共創は決裁権を持っているキーマンの理解が大切なのですが、リアルなイベントだとどうしても時間が合わないなどで参加ができないケースがあったんですね。それがオンラインになったことで参加の敷居が低くなり、事業部への説明や協業に繋がりやすい環境ができた、というのはあります。

オンラインの課題をどう見ていますか

中村:リアルで会えないからオンラインでやるしかない、という企業の意識の変化は私も感じていますし実際、数字にも出ています。オフラインであった偶発的な出会いをどう演出するのか、という点は大切ですね。

昨年12月にバーチャルコワーキングスペース「SHABERUBA(シャベルバ)」を開始して、アイコンが近づくとオンラインで会話できるような仕組みを提供することにしました。今月開催する「Japan Open Innovation Fes(JOIF)」でも同様の偶発的な出会いを演出できるように、参加者の方々の名札アイコンに近づいて話しかけると商談できるようにしています。オンラインであってもオフライン同様の体験ができるようなイベントが理想です。

鈴木:コロナ禍で大手企業のDX化への取り組みが待ったなしで進みましたよね。2020年度のオープンイノベーション活動の大半はオンラインで行われました。ミーティング、ピッチコンテストでも、メンタリングでも、デモデイでもほとんどがオンラインでした。各社がオンラインコミュニケーションに慣れ、オンラインでもいろいろできることを認識できたということはとてもポジティブな効果だと思います。

逆にオフラインでしかできない価値も浮き彫りにしたということかと思います。細かいことですが、スタートアップとのコミュニケーションでSlack等のオンラインツールがよく使われますが、まだ使えない大手企業は多いです。このコロナ禍においてSlack等のアプリケーションが解禁される企業が増えたということも特徴です。

Crewwはオンライン化を以前から実施されていましたよね

伊地知:そうですねコロナ禍の前からCrewwが開催するアクセラレータープログラムのほとんどがオンライン上で行われていました。事業化に向けた最後のプレゼンテーションなど要所要所では対面もありましたが、基本は日本全国のスタートアップが参加するのでオンラインコミュニケーションが多かったです。ですので、プログラム自体には大きな変化ではないという印象ですが、先にもお話したように、特に地方の中堅企業からのお問い合わせが急速に増え続けています。これは、デジタル化に対する危機感という部分も大きいのかと思います。

産業創出の仕組みとケーススタディ

KDDIはインキュベーションとファンドという形でスタートし、現在は共創プラットフォームへと仕組みを進化させています。大きな産業を創出する上で重要なポイントをどう考えていますか

石井:共創を積極的に仕掛ける「∞の翼」や大手のアセットとスタートアップを繋げる「支援プログラム」などを通じてライトな協業ぐらいは仕組み化できるようになりました。しかし、新しい産業を生み出すような大きな規模の協業はやはりキーマンをしっかり繋げることが大切です。例えばJR東日本さんとKDDIで共同発表した品川開発「空間自在プロジェクト」のケースもやはり両社の中心人物が繋がった結果、実現しています。ただ、こういった重要人物は普段あまりイベントには出てこられなかったりなので、発掘することから始めないといけません。これを仕組み化して、どこまでこういったキーマンが乗ってきてくれるのか、そこが私たちの腕の見せ所なのかなと思っています。

またこれまでの反省としてマッチングして「後よろしく」、ではダメですね。確かにリソースにも限りはありますが、KDDIもしっかり入って2社間ではなく3社共創を目指すことが必要です。今年は実はKDDI ∞ Laboとして10年目のメモリアルイヤーなんです。2020年から始まった大きな危機とチャンスに溢れた中、5Gというインフラも開始しました。企業にとっては産業同士が混じり合って構造を大きく変え、デジタル化を一気に進める最後の機会だと考えていますので、一緒に挑戦したいですね。

企業をどんどん登録してデータベース型のマッチングを目指したのがAUBAだったと思います。ソーシングやマッチングはなんとかなりそうなのですが、具体的なハンズオンはどのように考えておられますか

中村:これまでに登録していただいている企業数は1.7万社で、昨年1年で5000社以上の企業さまに新規でご登録いただいています。共創が発生したケースは750件になりました。確かに継続的にコンタクトを実施される企業さんが増えていて、雪国まいたけさんのように1年以上活用いただいて共同研究に進まれる例もありますし、医療機器のファイテンさんのケースでは3カ月という短い期間に21社とコンタクトしていくつかの共創を並行進行させる、という事例もあります。

自律自走が可能なプラットフォームとして展開をしていますが、一方でハンズオンは必要だと考えています。そのため、私たちも実はしっかりハンズオンの支援をしているというのが現状です。プラットフォームユーザーに対してはオンラインでコンサルタントがつき、Enterpriseのお客様には対面も含めしっかり張り付きの形でコンサルタントがサポートしています。

プラットフォームに蓄積されてきたデータを活用しノウハウ化しており、共創のプロである自負はありますが、大手の進める事業化や社会実装については、我々単体で支援するというより、専業のプレーヤーと共にご支援させていただく方が様々な角度からの強固な支援ができるのではないかとも考えており、今後はコンソーシアム型で役割を分担できるような仕組みがあればよいのではないかと思っています。

一方のゼロワンさんはややコンサルティング的なアプローチですよね

鈴木:オープンイノベーションは社内外の壁を越えた資源の最適再配分手続きで、画一的なモデルはありません。オープンイノベーションは、比較優位性があるものだけ自社に取り込み、ないものは社外に貢献する雰囲気を推進させました。

傾向的にスタートアップは大手の販売チャネルが魅力的なのでマーケティング領域が多くなりますが、プロダクトがある場合は品質保証や仕入れのノウハウが求められる場合もありますし、人材をスタートアップに送り込む「ベンチャー留学」のような取り組みもあります。スタートアップのグロースに必要な資源をいかに特定し、社内から調達することが柔軟にできなければなりませんが、多くの大手企業はまだ試行錯誤されています。そのために、人材の交流や移動が重要で、人材の流動が進めば、資源の再配分の効率化がさらに進むと期待しています。

こういった仕組み化の結果としてのケーススタディとして特徴的な例などありますか

伊地知:技術との掛け算などは増えてきていますね。具体的な事例としては、大手企業とスタートアップが協業してウェアラブルデバイスを開発していたり、地方のネジを製造する企業がAIスタートアップと協業をした事例もあります。実際にいくつか事例もありますが、大学や企業に眠る特許などの知財をビジネス化していくハブとしてスタートアップが注目されるというのも今後は増えていくと思います。

手法については本当に増えてきたと思います。新規事業創出やオープンイノベーション活動の手段・手法としてアクセラレーターやCVCやビジネスマッチングやスタジオなどはあると思いますが、開催側のリテラシーやニーズによって何が適切な方法かというのは変わっていきます。多くの企業がイノベーション活動に本腰を入れてきているなか、必要とされる手段手法も多様化してきているというのが現状かと思います。

鈴木:アクセラレータープログラムもどれ一つとして同じ型のものはないですし、CVC、プログラマティックM&A、スタートアップスタジオ、EIR、ベンチー留学等いろいろな活動があり、これらはオープンイノベーションのパラダイムの中の手続きに過ぎません。綺麗な解はないので、最初は「型」を学び、一部の企業が自社にあったオープンイノベーションを模索し始めました。大手企業が事業ポートフォリオを変えるとき、大規模なM&Aや協業案件でなければ合理性はありません。スタートアップへのマイナー投資を繰り返しても、目的には相当遠いでしょう。ただし、一発必中で大型のM&Aや提携を成功させるのは難易度が高いので、プログラマティックなオープンイノベーション活動を繰り返し、小さな失敗から学び、体制・文化を整えたところが、結果としてイノベーション能力を高めるのは当然なことだと思います。

伊地知:地域やテーマに絞って複数の企業が参加をして開催するイノベーションプログラムのニーズは近年高まってきたと思いますし、慣れている企業ですと、自社のリソースや人材を外に出してスタートアップスタジオ型のプログラムに参画などもされています。Crewwのスタジオプログラムでは、大手企業の社員など本業がある人たちが集まりゼロイチプロダクトを作るという事をやっていて、登録者数は既に約1,700人になっています。今後は、イノベーション人材の育成という観点で、このような課外活動への参加や、大手企業からスタートアップに人を出向させるようなニーズも増えていくかと思います。

ありがとうございました

加速し始めた地方企業の共創ーー主要4社が語る「オープンイノベーションのリアル」座談会 Vol.1

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 ここ10年の企業のオープンイノベーションや協業・共創環境を語る時、特徴的なポジションとして「専業プレーヤー」の存在が挙げられます。戦略コンサルティング・ファームやベンチャーキャピタルによる支援先の売却支援のような個別企業の取り組みを支援するものではなく、より幅広いプラットフォーム的な役割を担うものです…

写真左から:eiicon company 代表/founder/中村 亜由子さん、01Booster(ゼロワンブースター)代表取締役CEO/鈴木 規文さん、Creww 代表取締役CEO/伊地知 天さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

ここ10年の企業のオープンイノベーションや協業・共創環境を語る時、特徴的なポジションとして「専業プレーヤー」の存在が挙げられます。戦略コンサルティング・ファームやベンチャーキャピタルによる支援先の売却支援のような個別企業の取り組みを支援するものではなく、より幅広いプラットフォーム的な役割を担うものです。

大きくは協業・出資先を探し出すソーシングの機能を持ったデータベースと、より事業そのものにフォーカスしたハンズオンのものに分かれます。前者にはCrunchBaseやAngelListがあり、後者にはTechStarsや Y Combinatorなどが立ち上げたアクセラレーション方式がありました。特に後者はファンドでもありながら、その後のラウンドで企業との結びつきをより強くイメージした企業協賛型のプログラムが生まれており、これが日本国内でも数多く取り組まれたのはご存知の通りです。一方で主導する企業側には高度なスタートアップ投資への知識・理解、そしてなにより社内での体制が必要となり、各社が本格的に取り組みを本格化させるには数年の時間が必要でした。

このように、日本国内で新しい形でのオープンイノベーションへの取り組みが始まって10年が経過します。各社の取り組み姿勢や状況はどのように変化したのでしょうか?本稿では国内でいち早く、このオープンイノベーションに関わる専業プレーヤーとして独自の取り組みを続けた4社に集まっていただき、国内における共創の現在地について語っていただきました。(文中太字の質問は全てMUGENLABO Magazine編集部、回答は以下の方々・敬称略)

座談会参加者
eiicon company代表・founder/中村亜由子さん
01Booster(ゼロワンブースター)代表取締役CEO/鈴木規文さん
Creww代表取締役CEO/伊地知天さん
KDDI ∞ Labo(KDDI)/石井亮平さん

オープンイノベーションは10年でどう変わった

オープンイノベーション、企業協業を支援する立場で取り組んできた4社のみなさんに集まっていただきましたが、まず、この5年から10年の市場環境の変化について聞きたいと思います。KDDI ∞ Laboは2011年開始なので中でも最も古いプレーヤーになりました

石井:そうですね、KDDI ∞ Laboは今年でちょうど10年を迎えますが、開始当時はフィーチャーフォンからスマートフォンに代わるタイミングでした。いわゆる『ガラケービジネス』が崩れていくという中で、スマホのビジネスをどう作るのかという明確な課題があったんです。通信キャリアもアプリで差別化が必要と考え、新しいスタートアップと一緒に協業するのがよいだろうというのが出発点でした。ただ、これが2010年代半ばになると、アプリビジネスにおいて勝敗がはっきりしてきて、スタートアップがリアルとかIoTに主戦場を移し始めてきたんですね。

KDDIはウェブ上だけであれば送客などで力を発揮できたかもしれませんが、ビジネスが「リアル」になってくると勝手が変わってきます。そこでリアルなアセットを持つ大企業の力を借りてみんなでスタートアップとの協業・共創に挑戦しようと発展したのが、現在も続くパートナー連合の考え方です。ただ、まだまだ自主的にこういった共創活動を推進しようというのはごく一部の企業に留まっている印象はありますね。

Crewwは2012年から開始していますが傾向に変化はありますか

伊地知:2012年にオープンイノベーションプログラムの提供を開始をしてから首都圏では多数のプログラムが開催されていましたが、首都圏以外での取り組みは限定されていました。ここ数年、地方の中堅企業とスタートアップの共創がCrewwのプラットフォーム上で多数開催されるようになりましたね。総じてシード期のスタートアップと地方の中堅企業との相性は非常に良いと感じています。例えば、プロダクトがある程度検証できていてあとは拡販だという時は、スタートアップは大手企業と組むことをイメージしやすいと思います。一方で、プロトタイプを検証していくフェーズではそれほど大きな顧客基盤が必要ではありません。むしろ規模より検証までのスピードをあげることの方がプライオリティが高いケースがよくあります。

なるほど地方の中小企業にも協業や共創の考え方が広がりつつあると。AUBAは2017年から開始していますが同じような状況でしょうか

中村:私たちはあらゆる企業のオープンイノベーション実践をフツウゴト化するため、2017年に立ち上がったのですが地方の中小企業さんなどは当初、無料でも使ってもらえなかったりしましたね。オープンイノベーションって首都圏の話でしょ?という感覚はあったと思います。

ただそれが徐々に変化してきて、19年に前政権下で各自治体がイノベーション予算を使えるようになり、地域に企業を誘致・支援する機運が高まったのがひとつのきっかけになったと思います。最初はスタートアップに会える、会えないという課題感でしたが、現在は協業した上で社会実装をどうするかとか、事業化をどのようにすればよいか、といったフェーズに移っています。

伊地知:地方の中堅企業ですとオーナー社長の場合も多く、フットワークが軽いのでスピーディーに協業や検証に進むことができます。スタートアップもフェーズによって組むべき相手が本来違うはずなので、「地方中堅企業xスタートアップ」というのは本質的にWin-Winになりやすいモデルなんです。地方には技術に優れている企業も沢山いらっしゃるので技術とのコラボレーション事例というのも今後どんどん増えていくと思います。また、日本企業と海外スタートアップのようなクロスボーダーの取り組みも今後はニーズとして高まっていくと思いますので、ぜひこういった仕掛けもしていきたいですね。

具体的な事例にはどういったものがありますか

中村:例えば宮崎県の近海かつお漁業を生業とする浅野水産と大手町のAIスタートアップFACTORIUM(ファクトリアム)の事例では、漁労長の勘をAI化するという「ベテランのAI化」を目指し、水産業の高齢化に対する解決策を共創により模索されるケースがありますね。

現在は様々なセクターのデジタル化が叫ばれるようになりましたが、特に地方創生、一次産業のデジタル化やAIの活用はまだ社会実装が進んでいない状況です。一方これまでは都心部に数の多いスタートアップと地方の事業者が繋がることはほぼなかったのですが、プラットフォームができたことでAUBAの利用が進んでいる状況です。

ゼロワンブースターさんも2012年開始で多数の共創プログラムを手がけられたと思いますが、企業のオープンイノベーションに対する考え方はどのように変わったと感じられてますか

鈴木:オープンイノベーションのブームがピークを越え、結果の不透明さが浮き彫りになったことにより、社内コンセンサスを得る難易度が増しましたね。コロナ禍において、イノベーションの必要性は高まっていますが、不透明な結果に対して合理的な意思決定がしにくくなるため追加投資を慎重になっているケースが増えている印象です。

ただ、中長期的にはイノベーション活動が活発な企業の方が収益性が高いというのが統計上出ているわけで、ここに短期業績主義のジレンマがあります。ゆえにプラットフォーマーは、時間軸と企業単位の壁を超え、データや事例を示し続け、意思決定のサポートをしなければなりません。また、イノベーション活動は大抵、組織ではなく「特定の個人」の思いによりドライブされています。その「個」を援護するのも我々の役割で、弊社「イノベーション担当者コミュニティ」はご担当者を支える大変意義深い場になっています。

失敗したケース

新規事業というのは失敗の連続、特に非連続な成長を求めるパターンでは、慣れないことも多く、必然的に成功確率は下がると思います。スタートアップや他の企業との協業・共創でミスが発生するケースはどういうものがありましたか

中村:契約を結ぶ前に進むケースは危険ですね。法的な拘束力を持たない進め方、特に口約束でNDAも結ばないまま進行させる中小のケースは度々目にしました。NDAの中にNDAとは関係のない内容が入っていて、締結した後に知財をロックされた、なんていう事例もあります。特許庁がオープンイノベーションに関するガイドラインを作っているのでそういうものを参考にするとミスは減ると思います。

鈴木:そうですね、オープンイノベーションは相互の活動ですし、大手企業にも、スタートアップにも文化があります。どちらか片方の当事者のお行儀を責めてはなりません。大手企業の方が傾向的に変化への対応が鈍いのも事実です。下請けを選ぶことに慣れている会社はどうしてもスタートアップを下請け扱いし、イコールパートナーシップが成り立たないケースはありました。

大手企業の人事異動もスタートアップにとっての組みづらさに繋がります。熱量のある大手企業側の担当者が異動してしまえば、揺り戻しがきて、スタートアップへの協力姿勢は低下します。それだけであればいいのですが、大抵前任者否定的な体制になることが多いため、施策の連続性が保てないのです。そのためには、社内全体の文化や風土をオープンイノベーションマインドに変える必要があり、相当の時間がかかってでも取り組まざるを得なくなっていると思います。

伊地知:10年近くこの分野で多くの企業と一緒にやってきた結果、上手くいくパターンと上手くいかないパターンが見えてきました。上手くいっている企業はオープンイノベーションのゴールを「継続的にイノベーションを生み出せる組織づくり」とし、その過程での新規事業創出の手法(ビジネスマッチング、CVC、アクセラレーター)はあくまでゴールに行き着くまでの途中経過であると考えている場合が多いです。もちろん各社全力でそれぞれの新規事業の創出に取り組むのですが、この一連の取り組み・経験を通じて、毎年自社のイノベーションのステージが上がっていっていることを定性的・定量的にKPIとして計っていますね。

新規事業における時間軸・視点の置き方は確かに難しいですよね

伊地知:上手くいかないパターンとしては、ビジネスマッチングやアクセラレーターを単発で実施して、どれくらいの規模のビジネスが生まれたかを評価にしている場合です。これですと、いきなり大きな売上を生むビジネスが生まれない限り、翌年の継続はなかなか難しくなります。仮に初回から大きなビジネスが生まれたとしても次回以降の再現性はありませんし、ノウハウを積み上げて人や組織を進化させていく中長期の活動がオープンイノベーションの本質的な価値をつくり上げていくと思います。

実際に全くスタートアップとの関わりがなかった建築・土木分野の企業でも、アクセラレータープログラムでスタートアップとの協業を経て、出資に至り次のイノベーション創出の取り組みを探されていたりします。また、金融系企業のケースですと、最初はベンチャーキャピタルへのLP出資から始まり、スタートアップとの協業、出資、専門部署の立ち上げ、海外企業の探索、海外企業との協業・出資など4年間ほどでかなりイノベーティブな取り組みを自走されるようになっています。企業がオープンイノベーションをどのように評価するかというKPIの設定を間違えると継続性がなくなり、その設定を上手くやれば年々イノベーティブな組織になっていくという現象を何度も目の当たりにしています。

後半につづく

スタートアップコミュニティ運営のCreww、SMBCグループから数億円を調達し業務提携

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スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は16日、三井住友銀行と SMBC ベンチャーキャピタル(以下、SMBC グループ)と資本業務提携したことを明らかにした。日経によると、Creww は SMBC グループに対し約20%の株式を割り当て、数億円程度を調達したものとみられる。 業務提携を通じて、SMBC グループのスタートアップ・成長事業に関するネットワークと、Cr…

スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は16日、三井住友銀行と SMBC ベンチャーキャピタル(以下、SMBC グループ)と資本業務提携したことを明らかにした。日経によると、Creww は SMBC グループに対し約20%の株式を割り当て、数億円程度を調達したものとみられる。

業務提携を通じて、SMBC グループのスタートアップ・成長事業に関するネットワークと、Creww のイノベーション実現に向けたシステム・データを掛け合わせることで、全国の事業会社や自治体が活用できる共創プラットフォームの構築を両社で目指すとしている。

Creww は当初、起業家のための「仲間探しプラットフォーム」として2012年7月にスタート(会社の設立は2012年8月)。その後、ネットエイジ(当時)が運営していた TOKYO ANGEL LIST の譲渡を受け、スタートアップデータベースを構築・運営していた。2013年頃、現在の主サービスである大企業とスタートアップのコラボレーションを促す事業にピボットした。

同社は2013年9月に日本テレビ(東証:9404)からシリーズ A ラウンドで約1.2億円、2015年7月にオリックス(東証:8591)と Mistletoe から約2.7億円を調達している。これまでの投資家には、インキュベイトファンド、シグマクシス、East Ventures、環境エネルギー投資、NOW などがいる。

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via PR TIMES

スタートアップコミュニティ運営のCreww、スタートアップスタジオ事業に参入——VRプラットフォーム「cluster」上で、バーチャル説明会を開催

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東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は先週、スタートアップスタジオ事業への参入を発表したが、その参加希望者・検討者向けの説明会を11日、VR イベントプラットフォーム「cluster」上で開催した。これは新型コロナウイルスの感染予防策の一環として、多人数での集会やイベントの自粛が叫ばれる中、オンライン環境での周知活動を試みたもの。cluster …

オンライン説明会の様子(プライバシー保護のため、画像の一部を加工しています。)
Image credit: Creww

東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は先週、スタートアップスタジオ事業への参入を発表したが、その参加希望者・検討者向けの説明会を11日、VR イベントプラットフォーム「cluster」上で開催した。これは新型コロナウイルスの感染予防策の一環として、多人数での集会やイベントの自粛が叫ばれる中、オンライン環境での周知活動を試みたもの。cluster 上に数十名の参加者のほか、その模様を動画中継する YouTube Live 上にも数十名の視聴者が確認できた。

Creww のスタートアップスタジオの特徴は、事業を創ろうとするメンバーが現業を離れずに着手できる点だろう。メンターやパートナーの協力のもと、リーンスタートアップの手法により事業を立ち上げ、約6ヶ月間でチーム組成からプロダクトやサービスを開発。市場検証を経て、サービスの運営、ユーザ獲得の支援、最終的には事業会社へのプロジェクト売却を目指す。また、事業会社の持つ事業シーズを Creww が預かり、イントレプレナーが挑戦しやすい環境や事業会社の新規事業創出も支援する。

パートナーとしては、コミュニティ面で CAMPFIRE(クラウドファンディング)、Another works(副業マッチングプラットフォーム)、bajji(社会関係資本の可視化)、ベンチャー・カフェ東京(ボストン発のイノベーションコミュニティ東京版)、実証支援で 3D Printing Corporation、地方創生支援で OYOLIFE、事業譲渡支援でビジョナル・インキュベーション(事業承継 M&A プラットフォーム運営)が協力する。

Image credit: Creww

このスタートアップスタジオ事業では、事業アイデアを持ち事業化に向けてリーダーシップを発揮する「ファウンダー」と、ファウンダーと共に事業を推進する「プロジェクトメンバー」が募集される。テクノロジーを活用したビジネスモデルを持つ個人かチームで(法人は対象外)、長期的に SDGs に寄与できる構想があるビジネスモデルが対象。第1期は3月末までプロジェクトがファウンダーから募集され、プロジェクト採択後に、4月以降、プロジェクトメンバーが募集される。

スタートアップスタジオは起業支援の新しいモデルでは無いが、このところ日本国内では、この分野への参入が相次いでいる。連続起業家で投資家の西條晋一氏は一昨年、ミドルエイジなどの起業を促すビークルとして XTech を設立、スタートアップ輩出や M&A 支援を行う。システムインテグレータやエンジニアリング業務を請け負う企業がスタートアップスタジオを運営する例としては、Sun*(サンアスタリスク) IT プロパートナーズの例がある。 イタンジ創業者の伊藤嘉盛氏が率いるトグルは先週、不動産テック特化スタートアップスタジオ事業の強化を発表した。

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AIでニュースを収集・配信するSpectee、9月にも北米市場に進出へ【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 先ごろ OrangeFab Asia が東京で開催した、同社がアジアにおけるアクセラレーションプログラムを紹介するミートアップで、アマチュア撮影によるニュースフィード会社 Spectee は、9月から海外進出を開始することを明らかにした。進出先は、同社にとっ…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Spectee の紹介をする CEO 村上建治郎氏(OrangeFab Asia のミートアップで)
Image credit: “Tex” Pomeroy

先ごろ OrangeFab Asia が東京で開催した、同社がアジアにおけるアクセラレーションプログラムを紹介するミートアップで、アマチュア撮影によるニュースフィード会社 Spectee は、9月から海外進出を開始することを明らかにした。進出先は、同社にとって最大市場であるアメリカになりそうだ。Spectee の創業者兼 CEO 村上建治郎氏は、Spectee を始める前(設立時の社名は、ユークリッドラボ)、あるシリコンバレーの大手企業に勤務していた。

東京を拠点とする Spectee は、ヨーロッパのテレコム企業 Orange が運営するアクセラレータの(日本・韓国・台湾をカバーした)第2期の卒業生だ。Spectee は北米地域での事業参入を記念すべく、来月テキサス州オースティンで開かれるカンファレンスでサービスを披露する予定。Spectee にとって、北米地域に本拠を置く競合サービスは少なくない。

Spectee は画像データに関わる著作権管理問題を取り扱うだけでなく、必要なデータを検索・マッチさせるのに人工知能を取り入れている。2020年までに、インターネットはサイバースペース上に約44ゼタバイトの情報を擁するまでに成長し、このデータ量は一人の人間脳の能力を超えるものになる。

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Spectee は、同社の映像ニュースフィードネットワークを普及させるべく、AP 通信などの通信社と協業している。10年未満の社歴の浅いスタートアップには稀なことだが、Spectee のシステムは複数の特許により守られており、ニュース分野以外の新領域へも適用範囲を広げつつある。

Spectee の登壇に加え、OrangeFab はこれまでの実績を紹介し、次期プログラムへの起業家からの申込募集の用意が整ったことを発表した。また、OrangeFab のミートアップに利用されている会場「docks」について、それを運営する creww が説明をした。docks は、東京中心部に存在し、東京タワーにも近いオープンイノベーション・インキュベーション・コワーキングスペースだ。

先月初め、NewsPicks を提供しアメリカのダウ・ジョーンズと提携するユーザベースは、デジタルに特化したビジネスニュースサービス「Quartz」を Atlantic Media から買収することを発表した。数ヶ月を要するアメリカ政府の承認がスムーズに進めば、ユーザベースが新しい Quartz の提供会社になると考えられる。

スタートアップコミュニティ運営のCreww、コワーキングスペース事業に参入——2018年4月までに都内に5拠点を開設

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東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は20日、大手ディベロッパー・不動産会社などの協業によりコワーキングスペース事業に参入すると発表した。現在、中目黒にある Creww の活動拠点「Creww dock」にちなみ、コワーキングスペース事業は「docks」の名前で展開される。 docks は2018年4月までに東京都内5拠点に開設される予定で、その…

dock-Toranomon のパース
Image credit: Creww

東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww は20日、大手ディベロッパー・不動産会社などの協業によりコワーキングスペース事業に参入すると発表した。現在、中目黒にある Creww の活動拠点「Creww dock」にちなみ、コワーキングスペース事業は「docks」の名前で展開される。

docks は2018年4月までに東京都内5拠点に開設される予定で、その第一弾として10月30日、神谷町・城山トラストタワー(森トラスト)に「dock-Toranomon」をオープンする。docks では、スタートアップや個人事業主のみならず、一般企業の入居も予定されており、物理的なスペースの共有だけでなく、企業間のコラボレーションやオープンイノベーションの醸成にも寄与することが期待される。

dock-Toranomon のパース
Image credit: Creww

世界的に見て、スタートアップハブと呼ばれる都市では、コワーキングスペースの供給がスタートアップの需要を上回っており、特にシンガポールやソウルなどではコワーキングスペースが飽和状態にある。これらの都市では有料の民間スペース以外に、政府機関や地方自治体などにより無料のスペースが提供されているが、往々にして民間スペースの方が人気が高く、その理由はコワーキングスペースを中心としたコミュニティの有無に起因することが多いようだ。

WeWork は先ごろ三菱地所と組んで日本市場参入を発表しており、都内に10ヶ所〜20ヶ所のコワーキングスペースを開設する見込み。また、先日、東京でのアクセラレータプログラム始動を発表した Plug and Play Japan は、渋谷にパートナー企業とスタートアップが入居するコワーキングスペースを開設すると明らかにしている。日経は今年初めから、定額料金で首都圏25ヶ所のコワーキングスペースを横断して利用できる「日経オフィスパス」をスタートしているが、サービスのリニューアルのため、今月いっぱいでトライアルサービスを終了する。

神戸市、Crewwと共同でオープンイノベーションに特化したアクセラレーション・プログラム「KOBE OPEN ACCELERATOR」を始動

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神戸市は24日、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww と共同で、神戸市および関西地域に拠点を置く企業とのオープンイノベーションに特化した、アクセラレーション・プログラム「KOBE OPEN ACCELERATOR」を開始することを明らかにした。このプログラムへのエントリ受付は既に開始されており、締切は2月17日。5月下旬を目途に、選考されたスタートアップと具体的な取…

Image credit: vichie81 / 123RF

神戸市は24日、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである Creww と共同で、神戸市および関西地域に拠点を置く企業とのオープンイノベーションに特化した、アクセラレーション・プログラム「KOBE OPEN ACCELERATOR」を開始することを明らかにした。このプログラムへのエントリ受付は既に開始されており、締切は2月17日。5月下旬を目途に、選考されたスタートアップと具体的な取組内容が発表される見込みだ。

このプログラムに参加する大企業は、神戸の FM ラジオ局 KissFM KOBE の親会社で各種メディア事業を営む SRC、関西電力を母体とする通信会社ケイ・オプティコムコープこうべ、金属加工大手の中西金属工業、各種小売事業などを営む都ホールディングス、大阪に本店を置く りそな銀行 の6社。エントリーのテーマについては特に定められていないが、反社会的内容や法律に違反する企画、サービスの売り込みなどは受け入れ対象から除外される。

神戸市では、これまでに2015年以降、スタートアップ・コンペティション「KOBE Global Startup Gateway」の開催、日本内外から将来性豊かなスタートアップを神戸に集める「KOBE STARTUP OFFICE」事業、アメリカ 500 Startups と共同でグローバル志向を持った起業家を養成する「500 Kobe Pre-Accelerator」などを運用している。目的やターゲットレイヤー毎にプログラムが用意されており、今回の「KOBE OPEN ACCELERATOR」で新たにオープンイノベーションのカテゴリが追加される形だ。

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Crewwがパナソニックと「Panasonic Accelerator」をローンチ、家電のオープンイノベーション加速を狙う

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Creww は27日、パナソニックと提携し、企業アクセラレータプログラム「Panasonic Accelerator 2016」への参加を希望するスタートアップのエントリ募集を開始した。このプログラムでは、「家電・くらし」「仕事」「先端技術」の3つのテーマでアイデアが募集され、パナソニック側からは、それぞれのテーマについて、同社の家電やウィークックナビ・キッチンポケットなどのウェブサービス、世界2…

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パナソニックの先端チームの皆さん

Creww は27日、パナソニックと提携し、企業アクセラレータプログラム「Panasonic Accelerator 2016」への参加を希望するスタートアップのエントリ募集を開始した。このプログラムでは、「家電・くらし」「仕事」「先端技術」の3つのテーマでアイデアが募集され、パナソニック側からは、それぞれのテーマについて、同社の家電やウィークックナビキッチンポケットなどのウェブサービス、世界25万人の社員・オフィス・工場、生体電位センサー・音声言語解析技術・画像診断支援技術などのリソースが提供される。

募集は6月27日から7月8日の約2週間にわたって行われ、書類・プレゼンによる選考の結果、9月2日からパナソニックとの共同によるプログラムが進行する見込み。提案内容やアイデアによる選考は、Creww とパナソニックによってクローズドな環境下で実施されるため、選考に残るか否かにかかわらず、内容が公表されることは無い。

Creww は2016年6月現在、このようなオープンイノベーションで日本の50社以上の企業と提携しており、合計1,600件以上のスタートアップからの提案を受け、200件以上の提案が採用に至っている。一方、パナソニックでは、これまでにも個別の製品や技術ごとにスタートアップとの協業を図ってきたが、昨年には IoT(Internet of Things)に関連する特許を一部無償化し、今春には、人工知能・IoT・ロボット・センシングにフォーカスしたオープンイノベーションの活動拠点として、パナソニックラボラトリー東京や Wonder LAB Osaka といった施設をオープンさせている。

世界的な家電メーカーがアクセラレータを運用している事例としては、ドイツのシーメンスによる Siemens Technology Accelerator、ニューヨークやサンフランシスコを拠点とする Samsung Accelerator、Foxconn(鴻海/富士康)による StarRocket(三創育成)、ソニーの Seed Acceleration Program(SAP)などが存在する。

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孫泰蔵氏・伊地知天氏・麻生要一氏が語る、オープンイノベーションの現在と未来〜SENSORS IGNITION 2016

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26日、日本テレビの情報番組「SENSORS(センサーズ)」のイベント「SENSORS IGNITION 2016」が東京・虎ノ門で開かれた。一般的なスタートアップ・イベントに比べると、テクノロジーやハードウェアを使って〝体験で魅せるサービス〟を披露するチームが多く集まっていたように思える。 本稿では、イベントの終盤に設けられたパネルディスカッション「大企業×スタートアップ オープンイノベーション…

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左から:佐々木紀彦氏(NewsPicks 編集長)、孫泰蔵氏(Mistletoe 代表取締役兼 CEO)、伊地知天氏(Creww ファウンダー兼 CEO)、麻生要一氏(リクルート Media Technology Lab)

26日、日本テレビの情報番組「SENSORS(センサーズ)」のイベント「SENSORS IGNITION 2016」が東京・虎ノ門で開かれた。一般的なスタートアップ・イベントに比べると、テクノロジーやハードウェアを使って〝体験で魅せるサービス〟を披露するチームが多く集まっていたように思える。

本稿では、イベントの終盤に設けられたパネルディスカッション「大企業×スタートアップ オープンイノベーションがもたらすインパクト」を取り上げる。気鋭のプレーヤーを招いたこのセッションは、SENSORS や SENSORS IGNITION が追っている、ものづくりにフォーカスしたスタートアップ・エコシステムの形成に軸足を置いたものとなった。

このセッションのパネリストは(登壇順)

また、モデレータは、ニューズピックス取締役で NewsPicks 編集長の佐々木紀彦氏が務めた。


アクセラレータか VC か——これまで全容がわからなかった Mistletoe だが、先ごろ今後の運営方針を孫氏自らが発表。東京・青山を拠点に、「1.5歩〜2歩くらい先を行く」スタートアップの起業を共同創業という形で支援していくことを明らかにしている。

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オープンイノベーション・コミュニティを運営する Creww は、大企業とスタートアップをつなぐ3ヶ月間の協業プログラムを現在進行中のものを含め、これまでに60本程度運用しており、伊地知氏によれば、これまでにプログラムから日の目を見た共同プロジェクトの総数は150件ほどになるという。

リクルートの新規事業部門である MTL(Media Technology Lab)室長を務める麻生氏は、渋谷の会員コミュニティスペース TECH LAB PAAK、今年10年目を迎えるハッカソン・イベント「MashUp Awards」、三井不動産や千葉県柏市と共に取り組む Smart City Innovation Program など、同社が手がけるオープンイノベーションに向けた活動の事例を説明した。

オープンイノベーションの今と昔

佐々木氏は日本のオープンイノベーションの置かれている状況を3人のパネリストに尋ねた。

麻生氏は、MashUp Awards を手がけてきた10年を振り返り、当初はハッカソン参加者が自由に使える API を提供してくれる協力企業が少なく、MashUp Awards から出てきたアウトプットは「Google Map の上に何かを置いたくらい」のものが多かったが、回を重ねるごとに使える API の数が増え、さまざまなサービスとの連携が可能になり、行政との取り組みも増えてきたと語る。特に大企業側の姿勢として、元来、新規事業開発というのは外部秘であることが一般的だったが、最近ではプロジェクト着手当初から情報をオープンにし、スタートアップとの組み方を探すアプローチが増えているのだという。

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伊地知氏は、Creww を創業した当初はマネタイズ方法を考えていなかったこともあり、「オープンイノベーションでマネタイズします」と宣言したところ、周囲からはブーイングの嵐だったと数年前を振り返る。2013年以降、安倍政権の後押しにより、銀行・監査法人・証券会社らが表立ってベンチャーを育てようという活動を行うようになり、これが日本でオープンイノベーションに火がつく契機になったと語る。昨年末以降は、フィンテックブームの影響で金融機関、さらにはメーカーや公共交通機関などからの問い合わせが増えているのだという。

孫氏は、オープンイノベーションの概念は新しいものではなく、インターネットを構成するオープンソースがオープンイノベーションを具現化した形の一つであり、その視点に立てば、インターネットの歴史は、オープンイノベーションの歴史そのものだと述べた。ただし、ここ数年、本質は変わらないものの、オープンイノベーションのあり方がラディカル(急進的)になってきていて、例えば、Google Glass や Oculus などもそうであるように、完成度は高くない段階でもプロダクトを披露してしまい、協業の可能性を模索しながら開発を進めていく、というアプローチが増えているという。

孫氏はセッションの冒頭、Mistletoe が関わる「1.5歩〜2歩くらい先を行く」スタートアップのことについては多くのことを開示できないと述べたが、前出の Google Glass や Oculus のラディカルなアプローチの事例から「一切の情報はコンフィデンシャル…というようなことではダメ」と自戒し、情報を出すことによるリスクよりもコラボレーションの可能性のメリットに視点を置いて、情報を全部出せるようにしたいと述べ、聴衆の笑いを誘った。

オープンイノベーションのポテンシャル(可能性)とハードル(困難)

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伊地知氏は、オープンイノベーションにおけるハードルとして、

  1. 大企業が自社に適したパートナー(スタートアップ)をどう見つけるか(ソーシング)
  2. 発注側/下請けの関係ではなく、両者にとってメリットのあるモデルをどうやって作るか
  3. そのモデルをどのようにエグゼキューションするか

…という3つの課題があると述べた。特にエグゼキューションのプロセスにおいては、大企業側で中長期的に窓口になるのは経営企画室や新規事業室だが、ここから実際にアクションをする現場部門にどうつなぎこむか、実施にあたってスモールテストをどう重ねるかなど、さまざまな困難が伴うという。

麻生氏は、スタートアップを受け止める側の立場として、自社のアセットと組み合わることでどういう価値が生み出せるのか、スタートアップとコラボレーションすることで生まれるプロジェクトを、自社にとっての価値に変換して社内に説明することが重要だと主張。説明できる価値を思いつくのが難しく、一方で、まずはコラボレーションを始めてみたいと価値を思いつけないという、〝にわたま〟的なハードルがあるという。しかし、何よりも大企業の担当者は、社内でコミュニケーションを粘り強く続けることが肝要であると述べた。

孫氏は、シリコンバレーには世界の叡智が集まっていることは事実だが、IoT (Internet of Things)分野では、日本に大きなアドバンテージがあり、インターネット産業のみならず、建築・土木・自動車産業・農業技術など、IoT がつながるあらゆるセクターでイノベーションを起こす契機になるだろう、と述べた。

特に再生医療の分野では、薬事法の改正により承認までの期間が最短2年にまで短縮され(孫氏の話によれば、多くの先進国では10年)、このことが拍車となって、世界中の再生医療の企業が日本に本社を移し始めたのだそうだ。孫氏は最近会った再生医療分野の企業経営者との話を引用し、例えば、再生医療の応用事例の一つである美容の新しいアプローチを、一般の女性消費者にうまく伝えられるように、再生医療の企業にとってモバイルアプリの開発が得意なスタートアップとの協業が求められると述べ、多くのビジネスチャンスが存在することを示唆した。

<参考文献>

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スタートアップコミュニティ運営のcrewwが、オリックスと孫泰蔵氏の投資会社から約2.7億円を資金調達

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(訂正:初出時のヘッドラインの「ファンド」の表現を「投資会社」に訂正しました。) 東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである creww は1日、金融大手のオリックスと、孫泰蔵氏の投資会社 Mistletoe から約2.7億円を資金調達したことを発表した。オリックスにとっては、スタートアップ向けの投資としては初のケースとなる。 今回の資金調達を受けて、creww は…

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The Creww crew.

(訂正:初出時のヘッドラインの「ファンド」の表現を「投資会社」に訂正しました。)

東京に拠点を置く、スタートアップコミュニティを運営するスタートアップである creww は1日、金融大手のオリックスと、孫泰蔵氏の投資会社 Mistletoe から約2.7億円を資金調達したことを発表した。オリックスにとっては、スタートアップ向けの投資としては初のケースとなる。

今回の資金調達を受けて、creww はスタートアップコミュニティを活用したオープンイノベーション関連の活動を強化すると共に、オリックスとのパートナーシップにより、スタートアップコミュニティ向けの金融事業に参入する。金融事業の詳細については明らかになっていないが、スタートアップの資金調達を円滑化しアクセラレーションを促すクラウドファンディングのようなもの、という未確認情報を得ている。

creww は2012年8月の設立。シードラウンドでインキュベイトファンドからシード資金を調達(この際の金額については非公開)、2013年9月には日本テレビから1.2億円を調達している。スタートアップに大企業との協業を促す「コラボ」、スタートアップ向けの割引価格でサービスを購入できる「MARKETPLACE」、大企業向けのオープンイノベーション・レクチャープログラム「knots(ノッツ)」などを運営している。

creww の現在の構成メンバーは17名。今後事業の拡大に向け、エンジニア、デザイナー、ビジネス開発、アジア向け事業展開担当者などの雇用を強化する計画だ。