THE BRIDGE

タグ Mistletoe(ミスルトウ)

MistletoeとGolden Equator(金道)、テクノロジー特化ビジネスクラブ「SPECTRUM」を公式発表——東南アジアのエコシステム開発を強化

SHARE:

昨年、ジャスダック上場のモバイルゲームスタジオ、ガンホーの創業者でビリオネアの孫泰蔵氏は、エコシステムビルダーの Mistletoe を引き連れシンガポールへの移転を発表した際に、暖かい称賛に包まれた。 彼は Bloomberg に対して、向こう5年間に東南アジアに1億米ドルを投資する意向を語っていた。 昨日(1月16日)、孫氏は SPECTRUM 内での Mistletoe のオフィスの公式ロー…

左から:SPECTRUM 共同創業者 兼 CEO Cheryl Lee 氏、Mistletoe 創業者 孫泰蔵氏、Golden Equator CEO 兼 SPECTRUM 共同創業者 Shirley Crystal Chua 氏
Image Credit: SPECTRUM

昨年、ジャスダック上場のモバイルゲームスタジオ、ガンホーの創業者でビリオネアの孫泰蔵氏は、エコシステムビルダーの Mistletoe を引き連れシンガポールへの移転を発表した際に、暖かい称賛に包まれた。

彼は Bloomberg に対して、向こう5年間に東南アジアに1億米ドルを投資する意向を語っていた。

昨日(1月16日)、孫氏は SPECTRUM 内での Mistletoe のオフィスの公式ローンチとともに、東南アジアキャンペーンの次なるステップを明かした。SPECTRUM は Golden Equator Capital と One Rochester の共同設立者である Cheryl Lee 氏によって昨年共同設立された、テクノロジーに特化したシンガポール拠点のビジネスクラブだ。

SPECTRUM は次の7つのグループをまとめている。政府機関、優れた人材、起業家、教育機関、投資家、助言機関(弁護士やPR企業など)、そしてエコシステムパートナーである。彼らはオンラインプラットフォームや実際のオフィスを通して共同でメンターシップ、資金調達、ネットワーク作りの機会、認可済みワークショップ、ビジネスに関するその他の支援を提供する。

現在、SPECTRUM はヘルスケア、教育、金融、食、住宅、ファッションの6つのセクターの開発に力を入れている。現在は韓国・シンガポール共同のヘルスケアインキュベータの本拠地となっているが、当インキュベータは Golden Equator と韓国の規制・臨床調査プロバイダー C&R Healthcare Global(C&R)の間で設立された。

孫氏は、Mistletoe シンガポールは同社のグローバル本社となり、同地域の他の国、特にインドやその他新興国への進出の足がかりとして使いたいと語った。

<関連記事>

Mistletoeの哲学

昨日の  SPECTRUM の公式ローンチプレスカンファレンスの場で孫氏は語った。

エンジェル投資や起業といった従来の手法は、世界が抱える大きな課題を解決するには十分ではありません。

私たちは自身を、共同インパクト共同体と呼んでいます。お金を儲ける会社であるだけではなく、スタートアップやイノベーターにより持続可能なヒューマンテクノロジーを作り出すよう力を与え、世界に共同でインパクトを与える委員会でもあるのです。

投資は主なアプローチではありません(中略)確かに資金を提供してサポートはしますが、さらにビジネスネットワークを紹介し、共同で R&D を発展させたりする予定です。

(日本の規制による障害や教育システムのために同国を離れたが、)孫氏は過去25年間、日本のテックエコシステムの形成に寄与してきた。孫氏は、彼の会社ガンホーがモバイルゲームとして初めて収益が10億米ドルを超えたパズル&ドラゴンズを発売した時に大きなチャンスを掴んだ。2009年にはスタートアップアクセラレータ Movida Japan を設立、そして4年後には Mistletoe を立ち上げた。

東南アジア内では、Mistletoe はすでに主要なテック企業に巨額の投資を行っている。その一社が Sea、当時の社名は Garena である。同社は11ヶ国以上で1億6,000万米ドルを超える資金をかけてスタートアップをサポートしてきた。

彼にとって、重要なステークホルダーらとの対話やアイデアの相互作用は、健全なエコシステムを築き、クリエイティブで独創的なイノベーションを生むのに欠かせない要素だ。この哲学が、Mistletoe と SPECTRUM の核となるミッションを同調させるものである。そのミッションとは、共同設立者の Cheryl Lee 氏によれば、コミュニティの協調とつながりを深めることだ。

そして孫氏が Mistletoe のグローバル本社をシンガポールに置くことを決めた際、同社をコミュニティに近づけるためには地元の共同努力によって成し遂げられなければならないと決意した。

私たちは、イノベーターのネットワークを育むために、コミュニティと力を合わせて SPECTRUM のコミュニティを築くことにしました。(中略)私たち Mistletoe と SPECTRUM には非常に多くの共通点があり、同じ情熱をシェアしていると気づいたのです。(孫氏)

彼はさらに、その仕事には Golden Equator の知見とネットワークが不可欠だと加えた。

Citibank の元取締役 Shirley Crystal Chua 氏とともに2012年に共同設立された Golden Equator は、同地域に広がる財産とファミリーオフィスから構成される一連のビジネスを管理している。

私たちはテクノロジーとイノベーションをとても深く信じており、だからこそ新しいテクノロジーに投資するために、テックイノベーションファンドを創設したのです。ここが未来であり、アジアの深い成長があるところです。今までに12の投資を行っており、ポートフォリオをさらに広げていく予定です。

Mistletoe と Golden Equator の深いつながりは核となる価値観や信念のために起こったものです。第一に、私たちは社会に影響力を持ちたい。第二に、私たちはエコシステムの形成が難しいことを知っています。個々を合わせたものよりも、全体の方が優れていると強く信じています。ともに、より大きな相乗効果で多くのことを早く成し遂げることができます。(Chua 氏)

出発点としてのシンガポール

孫氏はシンガポールの国際ハブとしての強力なブランド力を、同国への Mistletoe のグローバル本社設置の主要な理由として挙げた。同地域の新興市場へのアクセスの架け橋となるだけではなく、先にも述べた通り、シンガポールの人材プールは称賛に値するという。

この国の人たちはとてもグローバルなマインドを持っています。英語も上手です。産業は情熱に溢れ、政府はとても協力的で集中しており、決断も速いです。(孫氏)

孫氏は、兄の孫正義氏の著名なテクノロジー複合企業、ソフトバンクとの提携の予定はないと語った。

私がアーリーステージスタートアップを見つけたら起こるかもしれません、その後にソフトバンクが投資するという形で。しかし、それは戦略的な動きということではなく、偶然の一致ということになります。(孫氏)

SPECTRUM の主要な差別化要因

SPECTRUM の価値提案は魅力的だが、ユニークなものではない。多くのインキュベータやアクセラレータが、同じバズワードを並べながらここ何年にもわたってシンガポールで誕生している。

しかしながら、ここでの重要な差別化要因は孫泰蔵氏と彼のもたらす豊かな経験とネットワークである。これは、SPECTRUMのスタートアップコミュニティがよりよくキュレートされることを意味する。

強力で影響力のあるゲストもシンガポールに来てくれます。ここでワークショップをするように勧めることもできます。(孫氏)

これらのゲストは、シンガポールのテックカンファレンスの多くに参加することはないが、孫氏のリクエストで姿を見せてくれる、と彼は語った。

さらに、彼を通した偶然の出会いのチャンスもあるという。

私も兄やメンターのおかげで、若い時にセレンディピティを経験しました。

例えば、Bill Gates 氏が兄のオフィスを訪ねた時、兄のゲストハウスにディナーに行く予定だった私も偶然そこにいました。そして、本当に偶然に、私はエレベーターの前で兄と一緒にいる Bill Gates 氏と出会ったのです。兄は Bill Gates 氏を私に紹介し、ディナーに招待してくれました。そこで、クラウド、インターネット、新しい Windows といったような、Bill Gates 氏のアイデアの数々を耳にすることができたのです。(孫氏)

【via e27】 @E27co

【原文】

----------[AD]----------

シンガポールのコンサルファーム/VCのGolden Equator(金道)、孫泰蔵氏をスペシャルアドバイザーに指名

SHARE:

シンガポール拠点のビジネスグループ Golden Equator(金道)は今日(原文掲載日:1月3日)、シリアルアントレプレナーの孫泰蔵氏をスペシャルアドバイザーに指名したと発表した。 今回の指名は、Golden Equator と、孫氏が設立したコレクティブ・インパクト・コレクティブで、アクセラレータ兼インキュベータの Mistletoe の提携に含まれるものだ。 Golden Equator …

シンガポール拠点のビジネスグループ Golden Equator(金道)は今日(原文掲載日:1月3日)、シリアルアントレプレナーの孫泰蔵氏をスペシャルアドバイザーに指名したと発表した。

今回の指名は、Golden Equator と、孫氏が設立したコレクティブ・インパクト・コレクティブで、アクセラレータ兼インキュベータの Mistletoe の提携に含まれるものだ。

Golden Equator と Mistletoe との提携は、世界レベルでポジティブなソーシャルインパクトを生み出す、テックやイノベーションを核としたダイナミックなエコシステムを構築しようとする個人や企業と、コラボレーションすることを目的としている。また、シンガポールを拠点として、アジアへの市場拡大を目指す企業の成長を加速することも狙いとしている。

この提携では、イノベーションを活性化し、エコシステムを支援すべく企業と政府の両者から適切な人脈をもたらすのに加え、ビジネス・教育・学習・インパクトフルな投資を実施しやすくすることを目指す。

今回の提携が特化することになるのは、以下の6分野だ。

  • ヘルスケア……都市型生活において、ヘルスケア、ウェルネス、健康管理にアプローチする方法を再定義
  • 教育……自主的かつ革新的な学習環境に焦点を当て、未来世代のための教育を再設計
  • 金融……家族のための銀行サービスや保険サービスを再発明
  • 食品……食品や技術を理解する方法を再定義
  • 住宅……住まいと高齢者ケアの活性化
  • ファッション……健康に大きな影響を与える衣服、ファッションアクセサリー、ウエアラブル

Golden Equator の CEO 兼創業者の Shirley Crystal Chua 氏は、報道向け声明で次のように語っている。

孫泰蔵氏のような卓越した人物や、彼のチームをファミリーに迎えることができ、大変わくわくしています。孫氏や彼の目利き力のある洗練されたスタイルを知り、彼の東南アジアにおける最初のパートナーになることは、我々の強みでありユニークさでもあるプロポジションと相い入れるものです。孫氏が持つ豊富な技術的経験だけでなくグローバルな人脈・視点によって、個人や企業が成功するのに役立つ、前向きで洗練されたエコシステムの構築に、共に注力することができると確信しています。

昨年9月、Golden Equator は韓国の臨床試験プロバイダ C&R Healthcare Global(C&R)と合弁で、ヘルステック特化インキュベータをローンチした。これは、韓国のヘルステック・スタートアップの、シンガポールなど東南アジア市場への進出促進を目的としたものだ。

1月中旬には、洗練されたビジネスやテクノロジーを集めたクラブ SPECTRUM をローンチする計画。

孫氏の Mistletoe は、東南アジアで数件の投資を実行しており、シンガポール拠点のデータドリブン・ベンチャー投資プラットフォーム「Hacther+」の350万米ドルの調達ラウンドで、リードインベスターを務めた。

別の機会には、孫氏は Mistletoe のミッションを、「スタートアップ・エコシステムを革新し、資金調達をより透明なものにし、起業家に手の届くものにすること」と説明している。

【via e27】 @E27co

【原文】

----------[AD]----------

シンガポールのデータドリブン・ベンチャー投資プラットフォーム「Hatcher+」、Mistletoeのリードで350万米ドルを調達

SHARE:

シンガポールを拠点とするデータドリブン・ベンチャー投資プラットフォームの「Hatcher+」が、1.25億米ドルに及ぶデータドリブン VC ファンドの立ち上げに先立ち、Mistletoe のリードによるラウンドで350万米ドルを調達した。調達した資金は、Hatcher+ の R&D を拡大し、グローバルな共同出資ネットワークを開拓するのに使われる。 提案されている1.25億米ドルのファンド…

Hatcher+ 共同創業者兼パートナーの John Sharp 氏

シンガポールを拠点とするデータドリブン・ベンチャー投資プラットフォームの「Hatcher+」が、1.25億米ドルに及ぶデータドリブン VC ファンドの立ち上げに先立ち、Mistletoe のリードによるラウンドで350万米ドルを調達した。調達した資金は、Hatcher+ の R&D を拡大し、グローバルな共同出資ネットワークを開拓するのに使われる。

提案されている1.25億米ドルのファンドは、世界中のアクセラレータ、エンジェル投資家のグループ、投資家らとの提携により、アーリーステージ企業向けの人工知能(AI)や機械学習(ML)を用いた共同出資に使われる予定だ。

Hatcher+ の共同創業者でパートナーの John Sharp 氏は次のように語った。

この投資は、最長2年間にわたる集中的な R&D のためのもので、我々のデータドリブン戦略を強力に後押しするものだ。我々には、それを可能にするテクノロジー、データ、支援体制、パートナーが備わっている。

Hatcher+ は、よりアーリーな段階での有望なベンチャー投資案件の発掘を可能にするため、主要なアクセラレータとの提携で得られた動的データとあわせ、745もの主要 VC やアクセラレータらによる30万件ものアーリーステージ投資の分析をもとにした、独自の調査結果を用いるプラットフォームだ。

Hatcher+ のパートナーで、以前は Bankrate でシニアバイスプレジデント兼 CTO を務めた Dan Hoogterp 氏は、Hatcher+ のモデルがベンチャー投資に関連するリスクを下げ、スタートアップエコシステムに新しく参加する投資家に公平な競争の場をもたらすだろうと考えている。

Hoogterp 氏は次のように語った。

今後10年の間に、ベンチャー投資は株式市場と同じく、業界分野、ステージ、場所にかかわらず、すべての取引にデータが入手できるようになるだろう。その流動性は年単位ではなく、分単位で計測されるようになる。将来的には、成功する投資家は AI や ML といった最先端技術とあわせ、データ利用により多くを依存するようになるだろう。

Mistletoe を率いる孫泰蔵氏はこれまでに50以上のスタートアップに投資をしており、Mistletoe はスタートアップエコシステムを革新し、資金調達をより透明化し起業家の手の届くものにする使命を負っている。

我々は、起業家に出資するシステムをより透明化する使命を負っている。Hatcher+ のデータドリブンプラットフォームは、我々がこの目標を達成するのを助けてくれるだろう。将来は、新しい起業家への貢献度に基づいて、より達成可能な出資を実現できるようになるだろう。

Mistletoe はこの数ヶ月、東南アジアやインドのスタートアップエコシステムで、極めてアクティブに活動している。昨年10月には、インドを拠点とする、ビッグデータによるフードディスカバリー/デリバリースタートアップ InnerChef が実施した250万米ドルの調達で、Mistletoe はリードインベスターを務めている。

【via e27】 @E27sg

【原文】

----------[AD]----------

Mistletoe、バンガロールにアグリテック/フードテック特化アクセラレータ「Gastrotope」を設立——現地アクセラレータGSF Indiaと協力

SHARE:

孫正義氏は、インドでは Flipkart、Ola、Oyo に何十億ドルもの投資をしていることから、よく知られた人物だ。そして彼の弟である孫泰蔵氏はインドを初めて訪れたが、彼はその視点を e コマースや交通分野からは離れたところに定めていた。フード・スタートアップ、アグリテック・スタートアップに投資したいと考えているのだ。 バンガロールで今日(原文掲載日:9月14日)、孫泰蔵氏は GSF Accel…

左から: Mistletoe 大蘿淳司氏、 GSF India の Rajesh Sawhney 氏、Mistletoe 孫泰蔵氏、インフォブリッジグループ 繁田奈歩氏
Image credit: Gastrotope

孫正義氏は、インドでは Flipkart、Ola、Oyo に何十億ドルもの投資をしていることから、よく知られた人物だ。そして彼の弟である孫泰蔵氏はインドを初めて訪れたが、彼はその視点を e コマースや交通分野からは離れたところに定めていた。フード・スタートアップ、アグリテック・スタートアップに投資したいと考えているのだ。

バンガロールで今日(原文掲載日:9月14日)、孫泰蔵氏は GSF Accelerator との提携により Gastrotope という新たな組織を設立したことを発表した。Gstrotope では、食糧サイクルの入口と出口、すなわち、(生産側の)農業を向上する技術と、(消費側の)より効果的で無駄の無い食糧消費について、イノベーションを起こすスタートアップを育成し投資する。

Tech in Asia とのインタビューで、孫氏は、予め期限が定められた典型的な VC やアクセラレータのモデルは、世界の巨大問題を解決するには適していないと語った。彼は、人工知能、IoT、ロボティクスのような新技術の活用で、よりインテリジェントな農業、食糧流通と消費を変化させることができると感じている。

最近、拠点をシンガポールへと移した、日本の連続起業家で投資家でもある孫氏は、急速にスケールができる VC 出資のスタートアップよりも、より総体的かつ長期的な方法でこの分野のイノベーションにアプローチしたいと考えている。孫氏は、彼の個人資産からこれらのスタートアップに投資するので、(VC 出資に見受けられる)制約には直面しない。

孫氏は、Tech in Asia に次のように語った。

Gastrotope のプログラムに参加するスタートアップの KPI は、彼らのプロダクトの強みと、彼らのもたらす価値に関連します。

このインキュベーションプログラムの期間は1年、国際的なスタートアップも招かれる。提供されるのは資金だけでは無い。この分野にイノベーションが定着する機会を改善すべく、「多様な点をつなぎたい」とも語った。例えば、彼は、インドの農業界の巨大で伝統的な企業と、日本・中国・アメリカのような発達したアグリテック・エコシステムをつなぎあわせることを目指している。将来的には、インドにアグリテックの研究所を開設することになるかもしれない。孫氏の考えは大きく、そして、長期的な視野によるものだ。

GSF India の CEO で創業者の Rajesh Sawhney 氏は、この Gastrotope 事業で孫泰蔵氏の Mistletoe と提携しており、この業界で重要となる政府との連携を提供する。Gastrotope はラボから実際の農業にどのようにイノベーションをもたらせられるか、インドのさまざまな州政府と既に話を進めている。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

----------[AD]----------

ブロックチェーンを使ったスタートアップのための証券取引所Funderbeam、Mistletoeから200万ユーロを調達しアジア太平洋地域進出を発表 #SLUSHTOKYO17

SHARE:

本稿は、SLUSH TOKYO 2017 の取材の一部である。 エストニア発のスタートアップで、スタートアップの株式を取引できるブロックチェーン・ベースの証券取引所を運営する Funderbeam は29日、創業者で CEO の Kaidi Ruusalepp 氏が都内で開催中の SLUSH TOKYO 2017 に登壇。孫泰蔵氏が率いる Mistletoe から200万ユーロ(約2.4億円)を資…

Mistletoe 孫泰蔵氏と握手する、Funderbeam の Kaidi Ruusalepp 氏
Image credit: Koichiro Shimojo / Slush Tokyo 2017

本稿は、SLUSH TOKYO 2017 の取材の一部である。

エストニア発のスタートアップで、スタートアップの株式を取引できるブロックチェーン・ベースの証券取引所を運営する Funderbeam は29日、創業者で CEO の Kaidi Ruusalepp 氏が都内で開催中の SLUSH TOKYO 2017 に登壇。孫泰蔵氏が率いる Mistletoe から200万ユーロ(約2.4億円)を資金調達し、戦略的提携のもと日本を含むアジア太平洋地域への進出を開始することを発表した。

Funderbeam は、以前エストニアの証券取引所である Nasdaq Tallinn の CEO を務めた Kaidi Ruusalepp 氏によって2013年に設立された。2016年4月からは、スタートアップがファンディングを受けられるプラットフォームと、スタートアップ株式が取引できるプラットフォームを追加した。初期投資家には Skype の共同創業者である Jann Tallinn 氏らが名を連ね、Funderbeam によれば、これまでの累積資金調達額は480万ドルに上る(Crunchbase によると475万ドルとなっているが、換算時に適用した為替レートの違いによると推定される)。さらに、自前の資金調達プラットフォームからも42.4万ユーロを調達している。

Funderbeam プラットフォーム上に開設された Funderbeam の資金調達/プロフィールページ

Funderbeam は金融ハブであるロンドンにオフィスを置き、クロアチアのザグレブ証券取引所やスロベニアのリュブヤナ証券取引所と業務提携するなどして、既にヨーロッパ市場でのプレゼンスを確立しているが、グローバル展開としては、Mistletoe との提携によるアジア太平洋地域進出が初となる。Ruusalepp 氏は THE BRIDGE とのインタビューで、市場の成長の速さを鑑みて、アメリカ進出よりアジア太平洋地域への進出を優先させたことを強調、各地域の市場を最も理解しているローカルパートナーとの提携によりグローバル展開を進める上で、アジア太平洋地域では Mistletoe が最適なパートナーと判断したと語った。

この分野では昨年末に、タイ証券取引所がスタートアップの株式取引に特化した取引所を2017年第3四半期に開設することを明らかにしている。また、スタートアップのデータベースという点では、香港の OddUp、アメリカの Mattermark や CB Insights などが競合になり得るが、Ruusalepp 氏は、データ(投資家が投資判断に使える世界のスタートアップ15万社のデータアナリティクスを有する)、ファンディング、トレーディングという3つのアセットが Funderbeam の強みであるとした。

<関連記事>

昨年4月のプラットフォーム・ローンチ以来、Funderbeam プラットフォームを通じての投資家による出資額総額は200万ユーロに上り、取引額は80カ国以上で10万ユーロに及ぶとしている。

Mistletoe 代表取締役兼 CEO の孫泰蔵氏は、Funderbeam に出資・提携をした理由を、ステートメントの中で次のように語っている。(一部抜粋)

Mistletoe では、スタートアップがどんどん生まれて成長していくためのエコシステムを形成するさまざまな活動をしている。このエコシステムの健全な発展のためには、スタートアップの成長に最も重要な要素の一つである「資金調達プロセス」が透明で、誰にでも開かれたものになる必要があると考えている。

Funderbeam のアジア太平洋地域における進出計画については、今後、Funderbeam と Mistletoe の間で具体的に戦略を固めていくとしている。

----------[AD]----------

アジアのオンラインゲーム大手でユニコーン企業のGarena、ミスルトウなどから資金調達——孫泰蔵氏らをアドバイザーに招聘

SHARE:

東南アジアのインターネットおよびモバイルプラットフォーム「Garena」は今日、SeaTown Holdings International(SeaTown)、Global Digital Prima Venture(GDP Venture)、ミスルトウから新たな出資を受けたことを発表した。出資額は開示されていない。 SeaTown、GDP Venture、ミスルトウの3社は、Garena の既存…

Garena-Reception-Final

東南アジアのインターネットおよびモバイルプラットフォーム「Garena」は今日、SeaTown Holdings International(SeaTown)、Global Digital Prima Venture(GDP Venture)、ミスルトウから新たな出資を受けたことを発表した。出資額は開示されていない。

SeaTown、GDP Venture、ミスルトウの3社は、Garena の既存投資家に仲間入りすることになる。これまでに Garena には、北米から General Atlantic やオンタリオ州職員年金基金、アジアからマレーシアの政府系ファンド Khazanah Nasional や 中国向け VC の Keystone Ventures(凱旋創投)、ヨーロッパからは Skype 共同創業者の Toivo Annus 氏などが出資している。

今日のニュースは、同社が約5ヶ月前に1.7億ドル調達したシリーズDラウンドに続くものだ。このラウンドは、依然として2016年における東南アジアで最大規模のラウンドとなっている。

2009年に設立された Garena は、過去5年間の年平均成長率が95%を超えており、2015年には総売上が3億ドルを超えた。同社は最近、これまでのサービスを補完する2つの消費者向けサービスをローンチさせている。モバイル特化型オンラインマーケットプレイスの「Shopee」と東南アジアの金融サービスプラットフォーム「AirPay(インドネシア版タイ版)」だ。

Shopee は過去6ヶ月でビジネスを4倍に拡大しており、同プラットフォームを通じて売買される年間取扱高は13億ドルを超え、140万人以上の売り手に利用されているとしている。また、AirPay は過去1年間でビジネスを2倍に拡大しており、年間取扱高は5.1億ドルを超えている。

Garena は、孫泰蔵氏と Archana Parekh 氏が、業界および地域エキスパートからなるアドバイザリーに加わったことも、あわせて発表した。孫氏はミスルトウの代表取締役社長兼 CEO で、成功させた主要なスタートアップには、1996年のローンチに関わったヤフーがある。彼はスタートアップインキュベータの MOVIDA JAPAN を設立し、2013年には起業家や起業家周辺のエコシステムを包括的に支援することを目的として、ミスルトウを設立した。

Parekh 氏は SeaTown のポートフォリオマネージャーで、シンガポールの国際連合婦人開発基金で委員を務めている。シンガポールの Goldman Sachs が、Garena の募集代理人を務めた。

Garena の創業者兼会長で CEO を務める Forrest Li 氏は、報道関係者向けの発表で次のようにコメントしている。

アジアの最も尊敬される投資企業3社を Garena に迎え入れられたことを光栄に思う。彼らがアジアに持つ洞察力や人脈は、顧客のために「点と点をつなぐ」という我々のミッションを支援し、加速させてくれるだろう。

SeaTown は Temasek Holdings の完全子会社で、絶対収益に特化した投資運営会社として2009年に設立された。インドネシアを拠点とする GDP Venture は、2010年に Martin B. Hartono 氏が設立したベンチャービルダーで、デジタルコミュニティ、メディア、コマース、ソリューション企業の育成に特化している。日本を拠点とするミスルトウは、連続起業家で投資家の孫泰蔵氏が2013年に設立した組織で、投資、スタートアップの共同創業、エコシステムの育成を通じて、ソーシャルインパクトにコミットしている。

【via e27】 @E27co

【原文】

----------[AD]----------

孫泰蔵氏・伊地知天氏・麻生要一氏が語る、オープンイノベーションの現在と未来〜SENSORS IGNITION 2016

SHARE:

26日、日本テレビの情報番組「SENSORS(センサーズ)」のイベント「SENSORS IGNITION 2016」が東京・虎ノ門で開かれた。一般的なスタートアップ・イベントに比べると、テクノロジーやハードウェアを使って〝体験で魅せるサービス〟を披露するチームが多く集まっていたように思える。 本稿では、イベントの終盤に設けられたパネルディスカッション「大企業×スタートアップ オープンイノベーション…

sensors-ignition-2016-open-session-panel-all-panelists-moderator
左から:佐々木紀彦氏(NewsPicks 編集長)、孫泰蔵氏(Mistletoe 代表取締役兼 CEO)、伊地知天氏(Creww ファウンダー兼 CEO)、麻生要一氏(リクルート Media Technology Lab)

26日、日本テレビの情報番組「SENSORS(センサーズ)」のイベント「SENSORS IGNITION 2016」が東京・虎ノ門で開かれた。一般的なスタートアップ・イベントに比べると、テクノロジーやハードウェアを使って〝体験で魅せるサービス〟を披露するチームが多く集まっていたように思える。

本稿では、イベントの終盤に設けられたパネルディスカッション「大企業×スタートアップ オープンイノベーションがもたらすインパクト」を取り上げる。気鋭のプレーヤーを招いたこのセッションは、SENSORS や SENSORS IGNITION が追っている、ものづくりにフォーカスしたスタートアップ・エコシステムの形成に軸足を置いたものとなった。

このセッションのパネリストは(登壇順)

また、モデレータは、ニューズピックス取締役で NewsPicks 編集長の佐々木紀彦氏が務めた。


アクセラレータか VC か——これまで全容がわからなかった Mistletoe だが、先ごろ今後の運営方針を孫氏自らが発表。東京・青山を拠点に、「1.5歩〜2歩くらい先を行く」スタートアップの起業を共同創業という形で支援していくことを明らかにしている。

sensors-ignition-2016-open-session-taizo-son-with-mistletoe-diagram

オープンイノベーション・コミュニティを運営する Creww は、大企業とスタートアップをつなぐ3ヶ月間の協業プログラムを現在進行中のものを含め、これまでに60本程度運用しており、伊地知氏によれば、これまでにプログラムから日の目を見た共同プロジェクトの総数は150件ほどになるという。

リクルートの新規事業部門である MTL(Media Technology Lab)室長を務める麻生氏は、渋谷の会員コミュニティスペース TECH LAB PAAK、今年10年目を迎えるハッカソン・イベント「MashUp Awards」、三井不動産や千葉県柏市と共に取り組む Smart City Innovation Program など、同社が手がけるオープンイノベーションに向けた活動の事例を説明した。

オープンイノベーションの今と昔

佐々木氏は日本のオープンイノベーションの置かれている状況を3人のパネリストに尋ねた。

麻生氏は、MashUp Awards を手がけてきた10年を振り返り、当初はハッカソン参加者が自由に使える API を提供してくれる協力企業が少なく、MashUp Awards から出てきたアウトプットは「Google Map の上に何かを置いたくらい」のものが多かったが、回を重ねるごとに使える API の数が増え、さまざまなサービスとの連携が可能になり、行政との取り組みも増えてきたと語る。特に大企業側の姿勢として、元来、新規事業開発というのは外部秘であることが一般的だったが、最近ではプロジェクト着手当初から情報をオープンにし、スタートアップとの組み方を探すアプローチが増えているのだという。

sensors-ignition-2016-open-session-yoichi-aso

伊地知氏は、Creww を創業した当初はマネタイズ方法を考えていなかったこともあり、「オープンイノベーションでマネタイズします」と宣言したところ、周囲からはブーイングの嵐だったと数年前を振り返る。2013年以降、安倍政権の後押しにより、銀行・監査法人・証券会社らが表立ってベンチャーを育てようという活動を行うようになり、これが日本でオープンイノベーションに火がつく契機になったと語る。昨年末以降は、フィンテックブームの影響で金融機関、さらにはメーカーや公共交通機関などからの問い合わせが増えているのだという。

孫氏は、オープンイノベーションの概念は新しいものではなく、インターネットを構成するオープンソースがオープンイノベーションを具現化した形の一つであり、その視点に立てば、インターネットの歴史は、オープンイノベーションの歴史そのものだと述べた。ただし、ここ数年、本質は変わらないものの、オープンイノベーションのあり方がラディカル(急進的)になってきていて、例えば、Google Glass や Oculus などもそうであるように、完成度は高くない段階でもプロダクトを披露してしまい、協業の可能性を模索しながら開発を進めていく、というアプローチが増えているという。

孫氏はセッションの冒頭、Mistletoe が関わる「1.5歩〜2歩くらい先を行く」スタートアップのことについては多くのことを開示できないと述べたが、前出の Google Glass や Oculus のラディカルなアプローチの事例から「一切の情報はコンフィデンシャル…というようなことではダメ」と自戒し、情報を出すことによるリスクよりもコラボレーションの可能性のメリットに視点を置いて、情報を全部出せるようにしたいと述べ、聴衆の笑いを誘った。

オープンイノベーションのポテンシャル(可能性)とハードル(困難)

sensors-ignition-2016-open-session-sorato-ijichi

伊地知氏は、オープンイノベーションにおけるハードルとして、

  1. 大企業が自社に適したパートナー(スタートアップ)をどう見つけるか(ソーシング)
  2. 発注側/下請けの関係ではなく、両者にとってメリットのあるモデルをどうやって作るか
  3. そのモデルをどのようにエグゼキューションするか

…という3つの課題があると述べた。特にエグゼキューションのプロセスにおいては、大企業側で中長期的に窓口になるのは経営企画室や新規事業室だが、ここから実際にアクションをする現場部門にどうつなぎこむか、実施にあたってスモールテストをどう重ねるかなど、さまざまな困難が伴うという。

麻生氏は、スタートアップを受け止める側の立場として、自社のアセットと組み合わることでどういう価値が生み出せるのか、スタートアップとコラボレーションすることで生まれるプロジェクトを、自社にとっての価値に変換して社内に説明することが重要だと主張。説明できる価値を思いつくのが難しく、一方で、まずはコラボレーションを始めてみたいと価値を思いつけないという、〝にわたま〟的なハードルがあるという。しかし、何よりも大企業の担当者は、社内でコミュニケーションを粘り強く続けることが肝要であると述べた。

孫氏は、シリコンバレーには世界の叡智が集まっていることは事実だが、IoT (Internet of Things)分野では、日本に大きなアドバンテージがあり、インターネット産業のみならず、建築・土木・自動車産業・農業技術など、IoT がつながるあらゆるセクターでイノベーションを起こす契機になるだろう、と述べた。

特に再生医療の分野では、薬事法の改正により承認までの期間が最短2年にまで短縮され(孫氏の話によれば、多くの先進国では10年)、このことが拍車となって、世界中の再生医療の企業が日本に本社を移し始めたのだそうだ。孫氏は最近会った再生医療分野の企業経営者との話を引用し、例えば、再生医療の応用事例の一つである美容の新しいアプローチを、一般の女性消費者にうまく伝えられるように、再生医療の企業にとってモバイルアプリの開発が得意なスタートアップとの協業が求められると述べ、多くのビジネスチャンスが存在することを示唆した。

<参考文献>

sensors-ignition-2016-open-session-all-panelists

----------[AD]----------

孫泰蔵は20年の時を経て起業家の宿り木となるーー新プロジェクト「Mistletoe(ミスルトウ)」始動

SHARE:

国内スタートアップ・シーンにまた新しい場所が生まれる。 Mistletoe(ミスルトウ)。日本ではヤドリギ(宿り木)と呼ばれる、小さな潅木の名を冠した同プロジェクトを指揮するのは孫泰蔵氏。自身も一人の起業家として日本のインターネット狂乱期を歩んできた人物だ。 「Mistletoeの実は鳥にとって冬の間の格好の餌なんですよ。鳥はMistletoeの実を食べて糞をする。そこから芽が出て森が広がる」。 …

スクリーンショット 2016-02-22 22.08.51

国内スタートアップ・シーンにまた新しい場所が生まれる。

Mistletoe(ミスルトウ)。日本ではヤドリギ(宿り木)と呼ばれる、小さな潅木の名を冠した同プロジェクトを指揮するのは孫泰蔵氏。自身も一人の起業家として日本のインターネット狂乱期を歩んできた人物だ。

「Mistletoeの実は鳥にとって冬の間の格好の餌なんですよ。鳥はMistletoeの実を食べて糞をする。そこから芽が出て森が広がる」。

Mistletoeというプロジェクトを「単なる起業支援策のひとつ」と位置付けるのは難しい。かつて日本で新興企業のことを「ベンチャー」と呼んだ時代の純粋な投資とも、Y Combinatorの波に影響されて生まれたシード・アクセラレーターのようなプログラムとも違う。泰蔵氏はMistletoeのことを「共同創業」という言葉で表現したが、その後に聞く内容はそう単純なものではなかった。

私は泰蔵氏に新たなプロジェクトについて話を聞く機会をもらった。(文中の回答は全て泰蔵氏)

Mistletoeのコンセプト

スクリーンショット 2016-02-22 22.10.20
Expaのコンセプト「企業をつくる企業」

Mistletoeはいわゆる「起業家支援プログラム」ではない。コアとなるアイデアや技術を持ったファウンダーたちと「共同創業」という形を取る。アクセラレーション・プログラムのような出資比率や期間が決まっているような「パターンもの」ではなく、各案件によって条件は異なるということだった。

「共同で創業します。コアとなるテクノロジーとアイデアは持ち込みですが、ファウンダーのチームと一緒になって創業し、一定の評価も付けて、製品開発も資金調達もビジネス開発も一緒になってこなす。だから年に数社しかこなせないんです。5年やっても20社いくかいかないか」。

このコンセプトを形にしたのが「STARTUP STUDIO」というスタイルだ。

「Mistletoeは「STARUP STUDIO」という事業をやります。シリコンバレーにExpaというモデルがあるのですが、こちらの創業者、ギャレット・キャンプ氏はUberのエンジェルインベスターでもあり、彼のネットワークでパワフルな人を集めて「A company that creates new companies.(会社を生み出す会社)」というコンセプトを打ち出しているんです」。

この手法は過去EIR(アントレプレナー・イン・レジデンス/企業内起業)や国内のBEENOSが採用したスタイルのように、スタートアップを支援事業内に同居させ、デザインやプログラミングなどのメンタリングを常に提供できる専用スタッフを配置したものに近いかもしれない。

IMGP0313
現在、建設中のMistletoeスペース。400坪。広い。

このために泰蔵氏らは400坪のスペースを用意した。「ここで一緒に研究開発する」。

「テーマはステルスが多いので開示できないものが多いです。通常、事業をやる場合は半歩先のことをやりますよね。VCは一歩先。STARTUP STUDIOでは1.5歩から2歩先のことをやろうと思ってます。例えばフィンテックやアドテクは半歩先。人工知能やロボティクスは1歩先ですよね。なのでその先しかやりません」。

スクリーンショット 2016-02-22 22.09.24
イメージ:Mistletoeサイトより

泰蔵氏はイシュードリブン(課題先行)型と言っていたが、具体的にはグローバルでの食糧問題や少子高齢化、ロジスティクスなど、かなり人類にとって根本的な課題を取り扱う方向性らしい。

「斜め上から問題を解決するような斬新な技術、起業家を中長期で支援します。だから研究開発型ですね。一件あたりの累計投資額も大きくなると思います」。

ーーと、ここまでが「文字で説明する」Mistletoeの概要だ。もちろんプログラムとしても非常に興味深い。しかしなによりも重要な事実は、このプロジェクトを仕掛けているのが孫泰蔵氏だということなのだ。

本当に彼らは世界を変えてくれるのか?

私はそれを理解するためにMistletoeの「心」の部分、つまり、Mistletoeが生まれる前の話であり、このプロジェクトのルーツを追いかけてみることにした。

企業を生む企業「インディゴ」と学生起業家、孫泰蔵氏

DSC

泰蔵氏が起業を志した話についてはここで語らずともご存知の方も多いだろう。東京大学の学生時代、実兄の孫正義氏の事業をきっかけとした、ジェリー・ヤン氏らとの衝撃の出会いは彼をヤフージャパン立ち上げプロジェクトへと向かわせることになる。彼がその立ち上げにあたって1996年、学生10人ほどで創業したのが「インディゴ(現・アジアングルーヴ)」という会社だった。

当時のことを記録した書籍「ビットバレーの鼓動」(発行:日経BP企画/2000年)ではインディゴのことをこのように書き記している。(書籍発行当時の泰蔵氏は27歳)

「2000年の今年は、「最低10社は立ち上げる」と孫氏。システマティックにベンチャーを立ち上げることがインディゴの主たるビジネスなのだ。インディゴにはインターネット・ビジネスに参入したい大企業はもとより、個人のアイデアの持ち込みもあるという。優れたアイデアには、ノウハウと資金が投入される」(引用:ビットバレーの鼓動より)。

いかがだろうか?ーーそう、もうこの時点で泰蔵氏は現時点の原型のような事業に取り組んでいたのだ。

そしてこのインディゴから生まれた新しい芽がオンセール(現・ガンホー・オンライン・エンターテイメント)であり、ITバブル崩壊の洗礼、森下一喜氏(現・代表取締役社長)とのラグナロク・オンライン立ち上げによる起死回生と上場、その後のパズル&ドラゴンズという神がかった成功に繋がる道筋を作ることになる。

少し蛇足だが、今回、泰蔵氏に取材した際、彼はMistletoeのライバルに「アンドリーセン・ホロウィッツ」と「Alphabet」を挙げていた。2社とも投資・事業とアプローチする起点は違うが、共に新しい事業を生み出す装置として世界的な輝きを放っている点では同じだ。

このアンドリーセン・ホロウィッツの創業者、マーク・アンドリーセン氏とベン・ホロウィッツ氏については最近のヒット書籍「HARD THINGS」(発行:日経BP社/2015年)でご存知の方も多いかもしれない。

二人が創業や経営に関わったネットスケープ社やラウドクラウド社は共に米ドットコムバブルの象徴であり、その激しすぎる苦難の道のりは書籍に記された通り。泰蔵氏もまた日本のITバブル崩壊期に試練を受けた一人でもある。

同時期に苦難を乗り越えた起業家が時を超えてまた同じステージに上がることに人生の妙味を感じる。

「乱痴気騒ぎ」のMOVIDA JAPANーーバンドのようにスタートアップしよう

IMGP2674
MOVIDA JAPANがプログラム開始した当初の頃の写真

話を元に戻そう。「システマティックにベンチャーを立ち上げる」インディゴというプロジェクトから数年。ソフトバンク・グループでしばらくの活動を続けた泰蔵氏が表舞台に戻ってきたのが2011年の「MOVIDA JAPAN」だ。

当時はデジタルガレージらが立ち上げた和製Y Combinator「Open Network Lab」がシード・アクセラレーション・プログラムを開始した頃で、複数のベンチャーキャピタルが同様のプログラムを進行していた。(ちなみにMOVIDAは夜遊びとか乱痴気騒ぎを意味する言葉だそう)MOVIDA JAPANもその内のひとつで「バッチ」と呼ばれる一定期間に集中的な支援プログラムを提供するスタイルを取っていた。

当時の立ち上げについて、泰蔵氏は日経ビジネスの取材に対しこのように語っている。

兄・正義や世の中の価値観の下で結果を出そうと猛進してきた。(中略)しかし、気づけば40歳も目前。「不惑」の年齢を迎えるはずが、分刻みのスケジュールに追われる超多忙な日々の中で惑うばかりの自分がいた。

「俺は一体、何を成すべき人間なのか」――。

およそ2年かけて出した答えは「自分の経験を若き起業家に伝える。そして2030年までに東アジアにシリコンバレーを超えるベンチャーの生態系を作る」ことだった。(引用:孫泰蔵 孫家の「伝道師」の志/日経ビジネスオンライン

泰蔵氏にMOVIDA JAPANとは何だったのか、その経験を尋ねてみた。

「最大の学びは、私たちが教えるとか支援するっていうことじゃなく、あの場所が出来たことでしょうね。お互いがお互いを高め合う場所。シリコンバレーのエコシステムの小さなもの、それを体感できたことが大きいです。また、同じぐらいの時期に私はソフトバンク・グループにて活動もしてきました。そこでは経験も積んだし、人脈も広がりました」。

Materials for media.002

泰蔵氏と話をする時、よくこのエコシステムの図が使われる。私がMOVIDA JAPANを取材した当時もやはりこの図を見ていた。

「この絵はですね、MOVIDA JAPANが始まる前から使っていました。でもどこから着手したらいいんだろうと。でもやっぱり種から芽がでるここからかな、とこれをやってみた。nana(music)の文原(明臣/CEO)くんに『よしオフ会やろう』って言ってる傍でビリオンダラークラスのM&Aをやってみたり。このギャップが自分にとっては凄まじいインプットになりましたね。3年ぐらい手探りであらゆるパートをやってみて、そしてやっと整理された。それがMistletoeなんです」。

Mistletoeが考える課題解決の方法ーー「ORCHESTRATES INNOVATIONS」

Materials for media.001

インディゴ・MOVIDA JAPANと駆け足で振り返ったが、結局彼がやっていることは大きくは変わらない。新しい力を生み出して、社会の課題を解決する。ただ、今回のMistletoeは彼が「整理された」と語るように、これまでと違う厚みを感じることができる。それが起業家同士をインテグレートするという考え方だ。

「起業家は成功のためにどうしてもフォーカスが重要になってきます。しかし今みたいな大きな課題を解決しようとすると、単体ではなかなか難しい。そこで一人一人の起業家が解決する力をインテグレート(統合)する、そういう動きを考えてるんです」。

泰蔵氏が「メタ・アントレプレナー」と呼ぶ上位概念は、Mistletoeで「ORCHESTRATES INNOVATIONS」と表現されている。数多くの技術と知識をさらに組み合わせ、「化学反応」を起こして大きな課題を解決する。そのための人・物・金を提供するのが彼らの考え方なのだ。

「ということで、ようやくやりたいことが『定まった』のです。二つのミッション、イノベーションをオーケストレーションすること、それを加速させるエコシステムを育成すること。これがMistletoeのやるべきことなのです」。

この数年、彼や日本市場が育成してきた起業家や投資家の層が厚くなったからこそ取り組める手法ではないだろうか。

IMGP0317

実は泰蔵氏、最初の会社を学生起業して今年で20周年になる。

インタビューの終わり、私は創業時と今も変わってないことはあるのかとひとつ、尋ねてみた。すると彼はこんな風に言葉を返してくれた。

「私、元々「メタボールカンパニー」っていう言い方をしていたんです。球状星雲っていうんですかね。遠くから眺めるとひとつの塊になってる。インディゴも中とか外とかそういう線引きはなくて「僕」という周囲にもわっといる感じになってる。ハレーすい星みたいに飛んでいく人もいれば、くるくる回り続けてる人もいる。当時、それが自分の目指す会社像みたいなことを言ってるんですね。

もしかしたらそれは変わっていないのかもしれません」。

----------[AD]----------