多様化する3Dプリンタとこれからの可能性 #fabcross

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テスト
右から片岡氏、相馬氏、加藤氏

新しいものづくりに挑戦しているエンジニア、またこれから挑戦しようというエンジニアたちを応援することを目的としたウェブサイト「fabcross」。昨年10月にスタートしたこのサイトが、今回トークイベント「fabcross Meeting vol.01 〜ブームで終わらせない『次世代ものづくり』のあり方」を開催した。

第3部のセッションでは「3Dプリンタの可能性と多様性」をテーマに、3Dデータを活用する会理事長の相馬達也氏、RepPap Community Japan代表の加藤大直氏、ビークル執行役員の片岡豪太氏が登壇した。

プリンティング可能な素材が多様に



「RepRap」は3Dプリンターのオープンソースコミュニティ。MakerbotやCUBEなど原型もここから誕生した。加藤大直氏は、このオープンソースコミュニティの日本拠点「RepPap Community Japan」の代表を務めている。

3Dプリンターでプリンティングが可能な素材は多様化しており、木材フィラメント、半透明のプラスチック、導電性のプラスチックで電子回路もプリントでき、最近では柔軟性のあるスニーカーもプリンティングできるようになってきている。

オープンソースで様々な3Dプリンターが誕生してきており、プリンティング可能な素材やスペックなども多様になってきている。3Dデータを出力したいユーザは、自らの目的に合わせて適切な3Dプリンターを選びやすくなってきている。

3Dデータの種類は多岐に渡る

3dgan

一般社団法人3Dデータを活用する会・3D-GAN理事長の相馬達也氏は、3Dプリンターはデータが肝だ、と語った。

3Dデータは、製造・建築・土木・宝飾・アクセサリーの分野においては、CAD/CAMという呼び名で。アニメーション・映像・立体視映像・画像・ゲーム製作・地図情報・医療の分野においては、CGという呼び名で一般化しており、すでにこれらの産業分野で不可欠なものとなっている。

同じ3Dデータを使いながら、3DCADと3DCGの距離は遠いものとなっている。あらゆる産業が従来の構造から変革を迫られる中、3Dデータを共通項とすることで、3Dデータ業界を生み出そうというのが3Dデータを活用する会が考えていることだ。

相馬氏は3Dプリンターに注目が集まる一方、3Dデータをモデリングできる人は圧倒的に少ないことについて言及した。また、3Dプリンターに関心を持っている人は、音楽ではなくオーディオに関心を持っているような人であるとコメント。より広い人に3Dデータに関心を持ってもらう必要があるとした。

モノづくりの流れの中に3Dプリンターを組み込む

crew3d

ビークルは「3Dプリンタを持っている人や会社」を簡単に探し出し、出力依頼などのコンタクトを取るためのデータベースである「Crew3D」を運営するほか、3Dプリンターの代理店として活動している。先日、開催されたMONOフェスでは、代理店として取り扱っている「AFINIA(アフィニア)」などのパーソナル3Dプリンターを出展していた。

片岡氏は技術の15年周期についてコメント。30年前にパーソナルコンピュータが、15年前にはインターネットが大きな変化をもたらした。2012年〜2013年においては、3Dプリンターなどによる「ラビットプロトタイピング」が変化をもたらしたとしている。

ただ、3Dプリンターを点だけで捉えるのではなく、サービスやモノづくりの過程の一つだと捉え、前後の流れを意識していく必要があると語った。入力するデータをいかに作成し、それをどう入力して、いかに出力していくか。そういった流れを意識していくことが重要になる。

3Dプリンターがブームで終わらないためには

3Dプリンターの認知は広がり、多くの注目が集まるようになった。これを単なるブームにしないためには、3Dプリンターだからすごいわけではなく、このすごい3Dプリンターを使って何ができるようになるのかを考える人が増えていくことが重要だろう。

3Dデータを活用している産業は多岐に渡り、出力可能なプリンターも多様になってきている。このツールをいかに生活に近いシーンで活用していくのか。その視点がこれから先は重要になってくるだろう。

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