手首につける救命胴衣「Kingii」が目標調達額780%超ーー水難事故で友人を亡くしたことを機に開発

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1秒で膨らむ、手首につける救命胴衣「Kingii」

水遊びが増える夏の時期。海水浴や川下りなど楽しいことばかりが連想されますが、自然の中で行う水遊びは常に危険と隣り合わせ。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が2014年10月に発表した数値によると、アメリカでは毎日約10人の人が水難事故で命を落としています。

そんな水難事故で友人を亡くしたことをきっかけに、それを防ぐ手段を考え抜いて開発されたのが「Kingii」(ケンギー)という手首につけられる非常用の浮き袋。Kingiiというのは、えりまきとかげのこと。この爬虫類がトラブルに見舞われると襟を大きく膨らませるように、Kingiiはワンプッシュで瞬時に膨らみ危険から身を守ってくれることから、こう名付けられました。

Kingiiのサイズは、ライフジャケット(救命胴衣)のわずか78分の1。Kingii本体にCO2を含むシリンダーが装備されており、これを取り替えることで繰り返し使うことができます。そのIndiegogoのプロジェクトについては、先週ご紹介しました。大きな反響で、既に目標達成額の780%以上を調達。ファウンダーからコメントが届いたので、改めて補足してご紹介します。

2014年3月に開発を開始したKingiiを着想したのは、Tom Agapiadesさん。友人と一緒に湖に出かけた時のこと。岸から50ヤード(約45メートル)離れたところにまで泳いでいった友人が、溺れて亡くなりました。

「途中から彼が助けを呼ぶ声が聞こえて急いで助けに行ったのですが、彼の元に到着した時には既に手遅れでした。この悲惨な事故があってから、どうして水中の安全を提供する、人が好んで使う道具が存在しないのかと考えるようになりました。そこからKingiiが生まれました」(Tom Agapiadesさん)

約1年半をかけて、いよいよプロダクトの出荷がもうすぐそこまで見えてきたKingii。開発するにあたっての最大の困難は、世界中のユーザーが無理なく使える形状を編み出すことでした。大人だけでも体格はさまざまなのに、小さな子どもでも、遊びの邪魔にならずに着用できる必要がある。この課題は、装着する場所として「手首」に注目することで解決に至りました。

Kingiiによると、水難事故の犠牲になった人たちのほとんどは、目の前に救命胴衣が用意されていたにも関わらず、それを着けないことを選んだ人たちなんだそう。かさばって動きにくい。見た目がかっこわるい。「できれば着けたくない」と敬遠される救命胴衣に代わるソリューションが、コンパクトかつシンプルに作られたKingiiなのです。

Indiegogoのプロジェクトは、残すところ1週間。Kingii本体と2つのシリンダーがついたパッケージは、79米ドルと送料。本体100体と200本のシリンダーがついた商用パッケージも。もちろん、日本にも発送してくれます。

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