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Yuki Sato

Yuki Sato

ベルリンを拠点に活動中のテックライター&翻訳者。欧州のスタートアップの状況を日々探索中。Twitter: @yuki_sat , Blog: serialforeigner.com

執筆記事

WeWork競合のKnotelがベルリンのワークスペース Ahoy!Berlin を買収、欧州進出を加速か

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先週21日、WeWorkの競合でもあり、フレキシブルなオフィススペースの提供をしているKnotelは、ベルリンでワークスペースを運営するAhoy!Berlinを買収したことを発表した。 Knotelは2015年12月にニューヨークで創業した若いスタートアップだが、今年の4月に不動産事業を行うNewmark Groupが主導したシリーズBラウンドで資金調達した7000万ドルを含めて、これまでにすでに…

ベルリンのテックフェスティバルTOAに登壇したKnotelのCEOのAmol Sarva氏(著者撮影)

先週21日、WeWorkの競合でもあり、フレキシブルなオフィススペースの提供をしているKnotelは、ベルリンでワークスペースを運営するAhoy!Berlinを買収したことを発表した。

Knotelは2015年12月にニューヨークで創業した若いスタートアップだが、今年の4月に不動産事業を行うNewmark Groupが主導したシリーズBラウンドで資金調達した7000万ドルを含めて、これまでにすでに1億ドル近くを調達してきた。

今年の4月の時点で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドンの45のオフィルビルと契約を結んできた。ベルリンは、ロンドンに続いて欧州では2つ目の進出先だ。

KnotelのCEOのAmol Sarva氏は、「多くのイノベーティブなCEOたちがベルリンに本社を置いてきました。彼らは、野心を達成するために多くのアジャイルなオフィスをもっています」とベルリンを評価する。

一方、今回Knotelに加わることになったAhoy!Berlinは、2012年にNikita Roshkow氏とNikolas Woischnik氏が立ち上げたコワーキングスペース・ワークスペースで、元々はTechBerlinという起業家コミュニティからスタートした。Woischnik氏はベルリンで草の根で盛り上がっていったスタートアップシーンの中心的な人物で、先週ベルリンで開催されていた同市最大級のテックフェスティバルTech Open Airも創業している。

上:Ahoy!Berlinの受付階(2016年、著者撮影)

Ahoy!Berlinは、フリーランサーをターゲットにしたオープンスペースや小規模のスタートアップ向けのプライベートオフィスのほかに、ダイムラーが運営するイノベーションハブであるFleetboard Innovation Hubや大手スーパーのEdeka傘下にあるオンラインフードデリバリーサービスのBringmeisterなどが大きなスペースを利用しており、WeWorkなどのコワーキングスペースに比べると、比較的大きなサイズのオフィスが入っているのが特徴的だ。

Knotelもまた、競合のWeWorkがフリーランサーや小規模のチームをターゲットにしているのに比べて、より大きな規模の会社をターゲットにしており、各企業ごとのアイデンティティやカルチャーを家具やスペースデザインに反映させたオフィスづくりを強みとうたっている。その点、Ahoy!Berlinのこれまでのワークスペース運営とも戦略が重なる部分がある。

ベルリンではスタートアップスペース、コワーキングスペースがここ数年で急激に増加中だ。2014年にオープンした「イノベーターコミュニティ」のFactory Berlinも昨年末にクロイツベルクに大きなキャンパスを新設したばかりだ。WeWorkや競合でイスラエル発のMindspaceなど、ベルリンのワークスペースの領域は、その他のスタートアップ都市と同様に競争が加熱している。今回の買収のような統合が今後進むことも予想される。

関連記事:人口も賃料も上昇が続くベルリンで続々とオープンするスタートアップスペース、課題は地元住民との調和

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2万名が世界各地から参加、ベルリン最大級のテックフェスティバル「TOA 2018」を振り返る

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欧州の中でもスタートアップ都市としての注目度が増しているドイツの首都ベルリンで、現地を代表するテックフェスティバルである「Tech Open Air(以下TOA)」が先週19日から22日にかけて開催された。 現地のスタートアップコミュニティが、「専門領域を超えた知識の交換、コラボレーションを通して人をつなげ、ともに成長すること」というビジョンを掲げ、当初はクラウドファンディングを通じて2012年に…

上:現在70年代以来のブームがきているというインスタントカメラのポラロイド社の28歳のCEO、Oskar Smolokowski氏のトーク(著者撮影)

欧州の中でもスタートアップ都市としての注目度が増しているドイツの首都ベルリンで、現地を代表するテックフェスティバルである「Tech Open Air(以下TOA)」が先週19日から22日にかけて開催された。

現地のスタートアップコミュニティが、「専門領域を超えた知識の交換、コラボレーションを通して人をつなげ、ともに成長すること」というビジョンを掲げ、当初はクラウドファンディングを通じて2012年にスタートしたTOAも今年は7回目を迎えた。

筆者自身も14年度から通算で5度目の参加となり、年々規模が拡大していくTOAを目にしてきた。大規模イベントであるため、一部のイベントやセッションにしか足を運ぶことができなかったものの、写真とともに今回のTOAをざっくりと振り返ってみたい。

メインイベントとサテライトイベントに2万名が参加

上:会場はベルリンを東西に突き抜けるシュプレー川沿いにあり、ボート上でもイベントが開催された。(著者撮影)

まず、TOAの構成だが4日間のプログラムは、メイン会場で行われる2日間のトークイベントと展示ブースを中心としたメインイベント、ベルリン市内のさまざまな企業やスタートアップがホストして開催するサテライトイベント、TOAのスピーカーや投資家、メディアなどが中心に参加する限定メンバー用のOpen Circleの主に3つで構成されている。

チケットが数百ユーロするメインイベントと比較するとサテライトイベントはより手頃な値段で気軽に参加できる形態となっているが、両方の参加者を合わせると、主催者いわく今回はおよそ2万名がTOAに参加したとのことだ。

テクノロジーの本質や意味を問う

もともとTOAは、ベルリンのアイデンティティともいえるアートシーンとテックシーンをうまく融合させ、異なる領域の者同士がアイデアを交換させることを重視してきた。スタートアップの成長ノウハウなど事業戦略に関わるトークも少なくないが、むしろそうしたところから一歩下がって、テクノロジーの可能性について自由に想像したり、テクノロジーや人間の本質について問うものも多い。

上:ポラロイド社のトークセッションのスライド
(著者撮影)

たとえば、現在70年代以来のブームがきているというインスタントカメラのポラロイド社の28歳のCEO、Oskar Smolokowski氏のトークは、スマートフォン時代で誰もが高機能のカメラをいつでもどこでも使える状態にあるにかかわらず、ユーザーがポラロイドカメラを求める理由と背景を考察するものだった。

写真を撮る、その場で撮った写真を近しい友人と楽しむという目的が明確で、その機能が限定されているからこそ、敢えてお金を払ってでもカメラを買う人が増えているというのは、多機能なデバイスとユーザーとの関係性を考える上でとても興味深い題材だった。

ブロックチェーン、機械学習など旬なテーマも

そのほか、メインイベント、サテライトイベント、展示ブースを通じて今年は特に目立っていたテーマがブロックチェーンだ。決済システムのRippleのCTOによるトークや、ブロックチェーンプラットフォームのLiskの展示ブースなども存在感があり、またサテライトイベントでも今年オープンしたばかりのブロックチェーン関連のビジネスに特化したコワーキングスペースのFull NodeやブロックチェーンベースのエクイティファンドレイズプラットフォームのNeufundがイベントをホストするなど、ベルリンにおけるブロックチェーンコミュニティの急速な成長が感じられた。

また、Google CloudのChief Decision Scientistを務めるCassie Kozyrkov氏による、機会学習の本質を噛み砕いて説明するトークセッションも人気を集めていた。

ダイムラー、グーグルなど大企業の存在感

上:展示スペースの Haus of Tech
(著者撮影)

そのほか、展示ブースなどで存在感を出していたのはドイツを代表する自動車メーカーの一つであるダイムラー社やT-モバイル、グーグルなどの大手企業だ。こうした大手企業の参加がTOAで圧倒的に目立ち始めたのはここ2、3年のことであり、ベルリンのスタートアップシーンにおけるエコシステムの変化を感じるところだ。

グーグルは、今年の秋にはベルリン市内に新たにグーグルキャンパスをオープンさせる予定だ。すでにGoogle for Entrepreneur という起業家支援チームによる活動はここ数年ベルリンで続いているが、さらにローカルなコミュニティに受け入れられたいという意図もあるかと思う。グーグル内外のスピーカーによる、トレンディなテーマを扱ったトークセッションを終日専用ブースで開催し、多くの参加者を引きつけていたのが印象的だった。

また、ダイムラー社のブースもグーグルと並んで目立っていたが、同社が運営しているインキュベーターに参加している5-10チームもブースを有し、同社のデジタル化戦略にあったプロジェクトを披露していた。関係者によると、今回はダイムラー社の社員も多くTOAに参加しているとのことで、自社がデジタル化の波にのって大きく変わろうとしている姿を多くの社員に知ってもらいたいという動機もあったようだ。

上:ダイムラー社のブース内、インキュベーターに参加しているチームのブース(著者撮影)

日本企業からも多くの参加者が

筆者はTOAに参加するのが今回5回目となったが、日本からの参加者が増えたのは昨年からのことだ。今年も昨年に続いて、TOA TokyoというTOAの世界ツアーイベントを東京で開催しているメディア企業のインフォバーンが公式ツアーを企画したこともあって、会場でも日本人らしき参加者の姿をよく見かけた。

日本人に限らず、ベルリン以外の場所からTOAに参加する人の割合は、ここ数年でかなり飛躍したように感じる。その分、初期のローカルな起業家コミュニティが作り上げていた独特の熱量みたいなものはかなり穏やかになったが、スタートアップエコシステムの成長とともに関係者の構成が変化していくのは必然とも言えるだろう。

ざっくりとした紹介となってしまったが、ベルリンのスタートアップシーンを体感するには、TOAはもっとも良い場所であると思う。次回は来年の夏に開催予定だ。

上:船上で開催された Cavalry Ventures 主催のピッチ・ネットワーキングが目的のサテライトイベント
(著者撮影)

関連記事:7500人が参加したベルリン最大のテック祭「TOA 2016」ーー世界中から参加者・企業が集まる理由

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スマートスピーカー市場でGoogle Homeが初めてAmazon Echoを抜いてトップに、中国市場も急伸

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Google HomeやAmazonのEchoをはじめとして、スマートスピーカー市場は世界のコンシューマ向けテック製品の領域において、もっとも伸びている市場のひとつだ。分析調査会社 Canalysのリサーチによると、2018年の第一四半期には、これまでスマートスピーカー市場ではトップを走っていたAmazonをGoogleが初めて抜いたという。 Canalysの調査内容によれば、2018年第一四半期…

Photo by Kevin Bhagat on Unsplash

Google HomeやAmazonのEchoをはじめとして、スマートスピーカー市場は世界のコンシューマ向けテック製品の領域において、もっとも伸びている市場のひとつだ。分析調査会社 Canalysのリサーチによると、2018年の第一四半期には、これまでスマートスピーカー市場ではトップを走っていたAmazonをGoogleが初めて抜いたという。

Canalysの調査内容によれば、2018年第一四半期に売れたスマートスピーカーは900万台と、1年前の同期間に比べると210パーセント成長しており、そのうちの320万台がGoogle HomeとHome Miniで、250万台が AmazonのEchoであるという。

この市場が成長している背景には、Google、Aamazonともに海外市場に積極的に進出している点があり、今回初めて米国内の売り上げが全体の50パーセントを切ったことも特筆に値するだろう。米国の次に大きな市場は中国で180万台、そして次に韓国で73万台とのこと。また、特にGoogleはインドでは現地のサービスプロバイダーと組んでより多くのユーザーにリーチすることに注力しており、新市場で健闘しているようだ。

世界の中でもこの市場が特に盛り上がっているのが中国で、アリババが開発したスマートスピーカー「Tmall Genie」は昨年7月にリリースされたばかりだが、既に200万台を売り上げており急速に伸びている。Xiaomiも同時期にスマートスピーカー Mi AIを、テンセントもTingtingをリリースしている。

Amazonはいち早くこの市場に参入し、開発者も巻き込んでエコシステムを拡大しようと努めていたが、ここにきてGoogleの追い上げ、そして中国勢の急伸に圧されているようだ。

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PayPalが同社史上最大22億ドルで「欧州のSquare」iZettleを買収、その意図は?

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17日、PayPalはストックホルム発の決済スタートアップiZettleを、同社史上最大額の22億ドルで買収することを発表した。iZettleはいわば欧州版Square、実在店舗向けにクレジットカード端末とPOSソフトウェアを開発・提供する企業だ。 PayPalによるiZettleの買収は、22億ドルというPayPalの過去の買収事例と比べても突出して大きな額であったこと、さらにiZettle自身…

Image Credit: iZettle

17日、PayPalはストックホルム発の決済スタートアップiZettleを、同社史上最大額の22億ドルで買収することを発表した。iZettleはいわば欧州版Square、実在店舗向けにクレジットカード端末とPOSソフトウェアを開発・提供する企業だ。

PayPalによるiZettleの買収は、22億ドルというPayPalの過去の買収事例と比べても突出して大きな額であったこと、さらにiZettle自身が近々IPOする予定とみられていたことから、大きな驚きを呼んだ。さらに、iZettleのIPO評価額は11億ドル強と思われていたことから、その約2倍の買収がさらなる反響を招いている。

PayPalが22億ドルを出してまでiZettleを買収したい理由はどこにあるのだろうか?

いくつかのメディアが指摘するのは、PayPalの欧州の実在店舗でプレゼンスを高めたいという意欲が大きいというもの。スウェーデン発のiZettleはこれまで12カ国に進出しており、そのほとんどは欧州だ。iZettleの既存のマーケットを活用して、欧州進出を加速できることは魅力だろう。

また、iZettleの主な利用者は実店舗のスモールビジネスになるが、モバイル・オンライン決済が成長している今、小売店舗に対してオフライン・オンライン・モバイルとオムニチャンネルを提供したいというのは、iZettleとPayPalがつながるべき大きな理由になる。PayPal自身もPayPal Hereというカード端末を出したもののあまり拡大しておらず、カード端末には苦戦していたようだ。今回の買収は、お互いの強みを補完しあえるものになるのではないだろうか。

一方で、2010年の創業したiZettleは、これまで1億5000万ドルをベンチャーキャピタルから調達し、そのうちの4700万ドルは昨年12月に調達したばかりだった。そのうち、少なくとも8300万ドルはデットファイナンスだった。借り入れ額の大きさは、IPOとその後の経過に同社が不安を抱く一因となっていた可能性もある。また、競合のSquareは昨年には英国に進出しており、今後欧州展開を加速していくと見られていた。そうした状況も鑑みると、iZettleは今回の買収で多少肩の荷が下りる思いかもしれない。

「iZettleは今後、PayPalのスモールビジネスの店舗向けプロダクトとサービスにおいて卓越した存在となります。その点について、私はとてもわくわくしています。(中略)私たちは引き続き、すばらしい拡大の機会をもつグローバルファミリーの一員として、これまでと同じような形で仕事をしていきます」

iZettleのCEO・コーファウンダーのJacob de Geer氏は、サイト上で今後の意気込みについてこのように語っている

参照:
Why Sweden’s iZettle sold to PayPal for $2.2 billion rather than IPO / VentureBeat
PayPal will spend $2.2 billion to buy the Square of Europe — iZettle — in its biggest acquisition ever / recode

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YouTube、安全なコンテンツを人がキュレーションする子供向けアプリをリリース予定か

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YouTubeは、これまで度々、子供向けアプリのコンテンツに不適切なものが含まれていることについて批判を浴びてきたが、BuzzFeedの報道によると、今後数ヶ月以内にアルゴリズムに依らない、人が安全なコンテンツをキュレーションする形の子供向けアプリがリリースされる予定であるという。 つい先月にも、既存の子供向けアプリYouTube Kids上で、不適切なコンテンツは除外するという方針にも関わらず、…

Image Credit: Christian Wiediger via Unsplash

YouTubeは、これまで度々、子供向けアプリのコンテンツに不適切なものが含まれていることについて批判を浴びてきたが、BuzzFeedの報道によると、今後数ヶ月以内にアルゴリズムに依らない、人が安全なコンテンツをキュレーションする形の子供向けアプリがリリースされる予定であるという。

つい先月にも、既存の子供向けアプリYouTube Kids上で、不適切なコンテンツは除外するという方針にも関わらず、陰謀論の動画が含まれているという報道が注目を集めていた。そうした動画には、「地球は平坦である、人類による月面着陸はなかった、地球は異星人によって支配されている」というような内容が含まれている。

こうした報道に対して、子供向けのコンテンツのみが表示されるようなアルゴリズムを組んでいるものの、「時に看過ごしてしまうこともあります」とYouTubeも取材で語っていた。

「エルサゲート」で浮き彫りになったプラットフォームの問題

批判は最近始まったことではない。「エルサゲート」という言葉とともに、YouTube上の子供向け動画に不適切なコンテンツが含まれている実態が浮き彫りになったとは昨年のことだ。

人気ディズニー映画の『アナと雪の女王』のエルサと不祥事を指すゲートを組み合わせた造語「エルサゲート」は、ディズニーのキャラクターなどを、アニメの登場人物を使って「純真さ、無害さ」を装いながら、実際には過激な性的描写、小児性愛や暴力が含まれるコンテンツがYouTube上で拡散されている現象を指している。

これまでYouTubeは、子供にとって有害な内容をプラットフォーム上から除外するべく、様々な措置をとってきた。不適切な動画に対して広告を禁止したり、アルゴリズムではなく人による監視を取り入れてきた。昨年11月の段階で、YouTubeは270のアカウントと15万件以上の動画を削除したという。広告主側の企業もまた、この問題が浮上してから、YouTube上から広告を引き上げるという措置を取っていた。

昨年12月には、不適切な動画を削除するために1万人のスタッフを雇用する計画をYouTubeは発表している。また、先月には人気の陰謀論動画に対しては、Wikipediaの情報を追加することで、別の視点を提供するといった対応もスタートさせた。

こうした対策を取る一方で、今度はコンテンツをチェックするスタッフのメンタルヘルスをいかにケアするか、という新たな問題も出ており、先月にはチェックするスタッフが動画を視聴する時間を1日4時間までに制限するというルールをスタートしたと、同社のスーザン・ウォシッキーCEOは発表した

今回報道された新たなアプリのリリースについてはYouTube側の正式発表はまだないが、問題の解決までにはまだ時間がかかりそうだ。

参照:YouTube will reportedly release a kids’ app curated by humans(The Verge)

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フェイスブック、自社APIの規定を大幅変更——外部の開発者がアクセスできるユーザーの情報を制限

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ケンブリッジ・アナリティティカ社によるフェイスブックのデータ不正利用の件で、フェイスブックは様々な対応に追われている。 先週水曜日4月4日、フェイスブックは自社のAPIの利用について大幅な変更を加えることを発表した。この変更に伴って、サードパーティの開発者が使えるフェイスブックやインスタグラムのデータが、大幅に減少した。 フェイスブックのマイク・シュロプファーCTOは公式ブログ上で、同社が今後どの…

Image Credit: Thought Catalog via Unsplash

ケンブリッジ・アナリティティカ社によるフェイスブックのデータ不正利用の件で、フェイスブックは様々な対応に追われている。

先週水曜日4月4日、フェイスブックは自社のAPIの利用について大幅な変更を加えることを発表した。この変更に伴って、サードパーティの開発者が使えるフェイスブックやインスタグラムのデータが、大幅に減少した。

フェイスブックのマイク・シュロプファーCTOは公式ブログ上で、同社が今後どのように外部の開発者によるデータアクセスに制限を加える計画であるかを発表した。主な内容を以下に挙げてみたい。

  • Events API:イベントの出席者やイベントページ上の投稿といった、フェイスブック上で作成されたイベントに関する情報は、以前はAPIを通じて利用可能だったが、今後は出席者のリストとウォール上の投稿がアクセス不可となる。将来的には、フェイスブックが承認した、必要条件を満たしているアプリのみがEvents APIを利用できるようになる。
  • Groups API:これまではフェイスブック上のグループページの情報にアクセスするためには、管理者またはメンバーの承認が必要だった。今後は、Groups APIを利用する全てのサードパーティーアプリは、Facebookと管理者の承認が必要になる。また、承認されたアプリであっても、投稿やコメントに付随するグループ参加者の個人名やプロフィール写真といった個人情報へのアクセスができなくなる予定。
  • Pages API:これまでは、フェイスブックページの投稿やコメントに外部のアプリはアクセス可能だったが、今後のアクセスにはFacebookの承認が必要になる。

同社はまた、インスタグラムのAPIに関しても、ユーザーのフォロー・フォロワー情報など、多くのAPIの機能を利用不可とする措置を4月4日に実行している

「こうした変更によって、ユーザーの情報をよりよく保護しつつ、同時に開発者が便利なエクスペリエンスをつくることも可能にできると信じている」とし、「今後もさらに変更を加える予定」とシュロプファーCTOはコメントしている。

これまで外部の開発者によるAPIの利用を通じて、フェイスブックのエコシステムは爆発的に拡大していった中、今回の変更が開発者コミュニティや外部のアプリ事業者にもたらす影響が多大であることは間違いない。

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教育分野で広がるAIの活用——パーソナライズされたサポートで学生のコース選択や入学手続きをスムーズに

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<ピックアップ>How AI could help improve the education enrollment process 教育分野でのAIの適用方法については様々な試みと模索が続いているが、AIをベースにしたサービスを通じて学生に適切なコースをアドバイスする、入学手続きをスムーズに行えるようにサポートするといった取り組みも注目を集め始めているようだ。 VentureBeatの記事で紹介…

Photo by Tra Nguyen on Unsplash

<ピックアップ>How AI could help improve the education enrollment process

教育分野でのAIの適用方法については様々な試みと模索が続いているが、AIをベースにしたサービスを通じて学生に適切なコースをアドバイスする、入学手続きをスムーズに行えるようにサポートするといった取り組みも注目を集め始めているようだ。

VentureBeatの記事で紹介されていた例が興味深い。

Udacity:チャットボットスタートアップと提携してコース選択をアドバイス

一つはオンラインコースを提供する人気サイトUdacityの例だ。2012年にローンチしたUdacity は人気とともに提供する授業の数が急増。毎年16万人もの生徒がUdacityのオンラインコースに「入学」しているという。

ユーザーの増加とともにUdacityが直面した新たな問題の一つが、ユーザーが山のようにあるコースの中から、自分のスキルとそれまでの経験値にあったコースを選ぶのが難しくなってしまっている、というものだった。一方で、人的リソースと予算の面でユーザーに対して個々のカウンセリングを提供するのは難しいという状況だった。

そこで、Udacityは最近 Passage AIという会話インターフェースに特化したスタートアップと提携、この課題の解決を試みた。

Passage AIが開発した自然言語処理を用いたチャットボットを通じて、Udacityのサイトを訪問する生徒が適切なコースを見つけ簡単に入学できるようにアシストするというアイデアだ。Udacityのサイト訪問者の5%に当初テストを実施したところ、クリックスルー率が40%上昇したとPassage AI のCEO Ravi Raj氏はいう。

AIで煩雑な入学手続きにつまづいているかどうかを判断、手続きをサポート

もう一つが、AIを通じて大学の入学申し込み手続きを手助けするという事例だ。アメリカの大学の多くでは、入学申請をする際に経済援助の申し込み、高校の成績の提出、学生ローンの申し込み、授業料の支払いなど様々な手続きが必要になり、特に低収入の学生にとっては煩雑な手続きになりがちだ。

こうした問題を抱えていたジョージア州立大学は AIベースのメッセージングプラットフォーム AdmitHub と提携して、新入生候補の人々へのサポートを開始した。

入学許可手続きに必要なタスクの進捗度合いを分析して、そのユーザーが支援が必要かどうか、どこでつまづいているのかを判断。その分析結果に基づいて、Admit Hubが作る会話システム Pounce が、パーソナライズされたテキストメッセージを生成するというもの。

また、自然言語処理・生成を使って、24時間一般的な問い合わせに対してもスムーズに回答できるように。ディープラーニングのアルゴリズムを使っているため、生徒とのやりとりが増えれば増えるほどスマートになっていく。

実際、Pounceによる支援を受けた学生は、入学許可手続きに必要なタスクを完了する、その後入学する確率が高まっているという。入学前という段階から、積極的に候補生に働きかけてサポートを提供するというプロアクティブなアプローチが新しいと注目を集めている。

今回は生徒へのパーソナライズされたサポート提供の事例を紹介したが、教育分野でのテクノロジーの活用は、オンラインコースの提供、学習コンテンツのパーソナライズ化、VRの活用などなど、ポテンシャルが非常に大きく、さまざまな形で学習エクスペリエンスの向上が期待できそうだ。

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人口も賃料も上昇が続くベルリンで続々とオープンするスタートアップスペース、課題は地元住民との調和

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欧州のスタートアップハブ都市としての勢いが衰えていないドイツの首都ベルリンで、スタートアップ関連のスペースが増加している。 グーグルが出資したことで数年前に注目を集めたベルリンのスタートアップコミュニティスペースFactory Berlinは、最初にオープンしたミッテ地区のキャンパスから約2年半後の昨年末、2番目のクロイツベルクキャンパスをオープンした。まだ改装工事が進行中の部分も多く残っているも…

先日オープンしたFactory、クロイツベルクキャンパスのカフェエリア
Credit: Yuki Sato

欧州のスタートアップハブ都市としての勢いが衰えていないドイツの首都ベルリンで、スタートアップ関連のスペースが増加している。

グーグルが出資したことで数年前に注目を集めたベルリンのスタートアップコミュニティスペースFactory Berlinは、最初にオープンしたミッテ地区のキャンパスから約2年半後の昨年末、2番目のクロイツベルクキャンパスをオープンした。まだ改装工事が進行中の部分も多く残っているものの、すべて完成後は5階建ての14000平方米の広大なスタートアップ関連スペースとなる予定だ。

会員数は2000名に、スタートアップ・企業向けの個室を重点的に提供

Factory クロイツベルクキャンパスの建物
Credit : Yuki Sato

クロイツベルク新キャンパスの特徴だが、ミッテキャンパスとの違いの一つは、スタートアップ・企業向けの個室、いわゆるプライベートオフィスと、10-20名が入るサイズの中規模のミーティングルームが格段に増えている点だ。

もともとミッテキャンパスは、固定席のないオープンデスクスペースが中心で、一部パートナーの大手企業が入っている個室もあるものの、ほとんどは少人数のスタートアップチームやフリーランサーがオープンスペースを利用している状況だった。一方で、既に3つの拠点をオープンさせている米大手のコワーキングスペースWeWorkや、同様に3拠点ベルリンにオープンしているイスラエル資本のMindSpaceの中心的な製品はプライベートオフィスだ。

コワーキングスペースがもつコミュニティ性やオープン性、効率的にオフィスを拡大できる柔軟性を享受しつつ、ある程度のプライバシーと集中できる環境が得られるプライベートオフィスは、資金を調達してこれから成長を加速させたいスタートアップチームや、イノベーションを画策している大企業のチームにとっては利点が大きい。

こうした市場のトレンドと需要を反映させた結果、プライベートオフィスが第二キャンパスでは増えたのではないかと思う。実際、クロイツベルクキャンパスのプライベートオフィスは、続々と予約が入っているようだ。

関連記事:コワーキングオフィス運営「Mindspace」が1500万ドルを調達し、ベルリン市内で拠点拡大へ

Factory クロイツベルクの「ライブラリー」は、静かに集中して作業する部屋
Credit: Yuki Sato

その他、システムもアップグレードされた。会員はFactoryの専用アプリを使って、メンバー専用スペース内のドアを開閉したり、ロッカールームを予約・開閉したり、会議室を予約するなどできる。従来は専用のSlackグループ上のメッセージを通じてなされていた機能が、徐々に専用アプリに移行している。

先日会員になったばかりの知人の話によれば、Factory Berlinのコミュニティメンバーの数は2000名に達したそうだが、コミュニティの規模が大きくなると共にオペレーションの自動化も進んでいる。

プライベートオフィスの充実に加えて、オープンスペースのデザインも進化している。筆者が特に気に入ったのは、こちらの「プレイルーム」。大量のボールが入った「ボールプール」やポッド型の空間で作業ができるエリア、そして卓球台が設置されており、気軽に入ってリフレッシュすることができる。

Factory クロイツベルクの「プレイルーム」
Credit: Yuki Sato

ブロックチェーンスペースにグーグルキャンパス・・・ベルリンでオープン予定のスペース

クロイツベルクキャンパスを見る限り、様々な工夫を凝らして魅力的なスペースにしようというFactory側の熱意が伝わってくる。ちなみに、コミュニティのメンバーになれば、月50ユーロという破格の料金で、Factoryの提供するオープンスペースやオンラインコミュニティ、会議室などといった一連のサービスを利用できるようになる。会員になるには、コミュニティへの貢献が可能かどうかを見られる審査と面接を経なければならないが。

Factoryがここまでスペースに投資をしている背景の一つには、ベルリンでスタートアップ関連スペース市場の競争が加熱している点がある。前述のWeWork、MindSpaceといった大きな資本をもつ企業が進出をしているし、また今後もこうしたスペースは増える見込みだ。

同じくクロイツベルク地区の元郵便局の建物は、ベルリンに本社を置くインターネットインキュベータのロケットインターネットの共同創業者であるザンバー兄弟の1人が購入し、近々ブロックチェーン関連のスタートアップが入居するコワーキングスペースがオープンする予定だ。

関連記事:欧州最大のブロックチェーンハブ都市をめざして、ベルリンで始まるブロックチェーンスペース「Full Node」

また、同じくクロイツベルク地区のもともと変電所として使用されていた歴史的な建物には、グーグルが米国外で7つ目となるグーグルキャンパスをオープンさせる予定である。

地元民の反発もーージェントリフィケーションに対する批判が高まる

とはいえ、こうした動きを歓迎する声ばかりではない。Factoryのクロイツベルクキャンパスの建物も、元々はスタートアップコミュニティとはつながりのなかったフリランサーが使っていた場所であり、彼らが立ち退きを命じられたときもFactoryに対する反発、そしてこうした「スタートアップ投資家」が地元のジェントリフィケーションの原因になっていると、批判が沸き起こった。

特にクロイツベルクは、ベルリンにおけるアンダーグラウンドカルチャーの中心地であり、多くのインディペンデントなクラブやバーがある。ロケットインターネットのザンバー兄弟が所有者となった建物は、賃料の急激な上昇やライブイベントの実施に従来よりも厳しい制限を課したことから、もともとそこでクラブを運営していた人やクラブの利用者からも反発が起きている。

グーグルキャンパスオープン予定地の近くに貼られた、デモを呼びかけるポスター
Credit: Yuki Sato

グーグルキャンパスは今年の8月か9月にはオープンする予定となっているが、今でも近くを歩けば、グーグルキャンパスに反対するデモを呼びかけるポスターがあったりと、地元の歓迎ムードはほとんど感じられない状況だ。

個性的なカルチャーが根付いている場所、スタートアップを立ち上げやすい場所として特に数年前から起業家やエンジニア、クリエイターを惹きつけているベルリンだが、ベルリン外からの人口流入と同時に発生している賃料の上昇、住居不足、カルチャーの対立といったさまざまな問題に対する答えはまだはっきりと見えていない状況だ。

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都市は企業とともに変化・成長できるのか——高成長のハイテク企業を惹きつける都市の条件とは?

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地方自治体にとって、急成長中の強い企業を惹きつけられることほど嬉しいことはないだろう。税収入、雇用力の向上など、企業が拠点とする都市にもたらしてくれるメリットは数々ある。 もちろん、家賃や不動産価格の上昇、貧富の差など、メリットばかりではない。だが、たとえば米アマゾンの第2本社誘致のために多くの自治体が優遇パッケージを準備して誘致競争に入れ込んでいるように、強い企業を惹きつけることに尽力している自…

San Francisco
Photo by Jared Erondu on Unsplash

地方自治体にとって、急成長中の強い企業を惹きつけられることほど嬉しいことはないだろう。税収入、雇用力の向上など、企業が拠点とする都市にもたらしてくれるメリットは数々ある。

もちろん、家賃や不動産価格の上昇、貧富の差など、メリットばかりではない。だが、たとえば米アマゾンの第2本社誘致のために多くの自治体が優遇パッケージを準備して誘致競争に入れ込んでいるように、強い企業を惹きつけることに尽力している自治体は数多い。

関連記事:米アマゾンの第2本社の選考に落ちた都市の敗因は? 米各地のローカル誌や市長が分析

では、いったいどのような都市が成長する企業を惹きつけられるのだろうか? そうした都市に共通する条件はあるのだろうか? アメリカ起業家精神センターのリサーチディレクターであるイアン・ハサウェイ氏がまとめたレポート「米国内の高成長企業と都市:Inc, 5000の分析」は一つの示唆を与えてくれる。

このレポートは、Inc マガジンが毎年発表する急速な成長を遂げている企業のリスト Inc. 5000 の、2011年から2017年のデータをもとに分析したものだ。7年間にリストアップされた高成長企業のうち、実に29パーセントがハイテク業界であるという。

収益と雇用力のどちらにおいても高成長を遂げている、企業サイズは小さい傾向にある、創業後の年数が比較的短い傾向にある、知識集約産業の企業が多いなど、高成長企業に共通する特徴をまとめた上で、このレポートでは地域的な要因との相関関係についても触れている。

高成長企業の80パーセントは、100万人以上の大都市に拠点をもつ

地域的な要因との相関関係を分析した結果、高成長企業の98パーセントが都市(人口25万人以上の都市)を拠点にしていること、また80パーセントが大都市(人口100万人以上)に拠点を置いていることが分かった。

また、人口25万人以上の中規模都市に拠点を置く企業も13.6%存在する。コロラド州ボルダーやユタ州プロボなども、小さな都市ながら高成長企業が集積している街だ。

こうした高成長企業が拠点としている都市に共通する特徴を、このレポートでは次のようにまとめている。

  • 大学卒の労働者が占める割合が高い
  • ハイテク業界で働く人の割合が高い
  • 起業年齢の中心年齢層(35-44歳)が占める割合が高い
  • 創業の比率が高い

今回のレポートをまとめたハサウェイ氏は、VentureBeatの取材に対して次のようにコメントする。
「こうした場所で暮らす人々にとって魅力的な場所にすることがいかに重要か、その重要性を軽視するべきではありません。多くの人が、現実的で、生活コストも手頃で、人で混雑し過ぎていない場所を求めています。同時に、その都市に住みやすさや、彼らがそれまでの経験で慣れているカルチャーも備わっていなければなりません」

ちなみに、アマゾンが第二本社に求める条件にも、「100万人以上の都市圏であること」という点の他に「テック人材を惹きつけ、かつ保持できるポテンシャルをもつ都市」という点が含まれている

将来的にテック人材や企業を惹きつけられる、保持できるかどうかのポテンシャルを見られてるということは、これからの都市計画の構想と実行力にかかっているともいえる。

サンフランシスコのようにテック一辺倒になりすぎたり、ジェントリフィケーションが進みすぎると、その息苦しさに疲れた人材が離れる結果にもなるわけで、そのあたりどのようにバランスをとるのか、長年地元に根付いてきたコミュニティとどのように調和をはかるのか、多くの自治体がその力量を試されている時代だといえるだろう。

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参照:

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東南アジアの物流スタートアップNinja Vanが8,700万ドルを調達、地域史上最大額で事業拡大へ

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シンガポール発、東南アジア地域の「ラストマイル」配送を手がける物流スタートアップのNinja Vanが、8700万ドルという大型の資金調達をしたことが先週複数のメディアで報じられた。この額は、東南アジア地域のスタートアップによるシリーズCラウンドの資金調達額としては史上最大規模のものだ。 今回の調達ラウンドに参加した欧州の物流企業Geopost(DPDgroup)は、今回の出資で同社の32パーセン…

シンガポール発、東南アジア地域の「ラストマイル」配送を手がける物流スタートアップのNinja Vanが、8700万ドルという大型の資金調達をしたことが先週複数のメディアで報じられた。この額は、東南アジア地域のスタートアップによるシリーズCラウンドの資金調達額としては史上最大規模のものだ。

今回の調達ラウンドに参加した欧州の物流企業Geopost(DPDgroup)は、今回の出資で同社の32パーセントの株式を取得している。現在の主要な株主は、その他にMonk’s Hill VenturesやFacebookの共同創業者Eduardo Saverin氏が立ち上げたB Capitalの他、日本のSamurai VenturesやYJ Capitalも含まれる

今回の資金調達は、2016年のシリーズBラウンドでの3000万ドルの調達に続くものだ。

成長の要因は、タイミングとローカルな課題の理解

順調な成長を遂げているように見えるが、Ninja Vanは業界経験のない20代の若者たちが立ち上げたスタートアップであり、特に創業初期はオフィスに泊まりこみながら寝る間を惜しんで事業をつくる数ヶ月を過ごしていたようだ。

ファウンダーの1人、Changwen Lai氏は、デリバティブのトレーダーという高給の仕事を辞めたあと、テーラーメイドのファッションブランドを立ち上げたものの、商品の配送で遅延や紛失がよく起きるという問題に直面する。その時にeコマース事業における配送の問題の大きさを痛感し、物流を解決するためのスタートアップNinja Vanを立ち上げた。2014年のことだ。

シンガポールにおける配送は郵便局のサービスが主だった当時、Ninja Vanは、注文の翌日に配送先の玄関まで届けることを掲げて、業界の変革にチャレンジする。

実際、これまでの事業成長の要因として、「従来の配送システムの非効率さについて理解している」こと、そしてeコマースが成長しているにもかかわらず、配送の問題を解決しようとするライバル企業が当時はまだ少なかったという「タイミングの良さ」を挙げている。

Ninja Vanの過去のインタビューを見ると、eコマースにおける配送の問題が、いかに地域によって異なるかが分かる。

たとえば、マレーシア展開後には現場のデータとの同期の問題という、インフラやシステムが整っているシンガポールでは起こらなかった問題に直面したことをイベントで語っている。

また、マレーシアでは、住所の情報だけではGoogleマップやGPSシステムで場所を特定することができなかったり、非公式の施設が多々あったりと、配送先の特定という根本的な問題にも直面したという。

こうして、各地域ごとのローカルな問題に現場で直面し、その背景を理解していって、徐々に問題を解決していったようだ。

東南アジアのeコマースの成長とともに、伸びる物流サービス

人口が6億を超える東南アジア地域のeコマースの規模とその成長は顕著であり、同時にeコマースのオペレーションを支える物流も今後大きな成長が見込まれる。Technavioの市場調査アナリストは、グローバルのeコマースロジスティクス市場は2020年まで、年平均成長率が10%になると予想する。中国のAlibabaの物流を担当するCainiaoも、昨年7億9900万ドルという大型の資金調達を行なっている。

関連:2017年の中国テック大手Alibaba(阿里巴巴)による投資トップ10は?——東南アジアへの投資を強化

一方で、収益の面ではまだ安定には遠いようだ。物流ネットワークを築く、配送用の車両を確保するなど、重い初期投資が必要になる類の事業であるだけに、今後いかに黒字化できるかが注目される。

また、昨年シリーズCで1億米ドルの大型調達をした香港の物流スタートアップLalamoveなど、この領域のライバルも増えつつある状況だ。

現在、アリババが所有するLazadaをクライアントにもち、社員は配送担当も含めて1000名を超えるNinja Vanだが、今回調達した資金をもとにどれだけ成長を加速できるか、大きな期待がかかっている。

参照:

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