ウェアラブルデバイスの中でも、スマートウォッチは人々からの注目を集める花型のデバイスだ。日本にも、スマートウォッチの開発に取り組むスタートアップが存在する。
IoT製品・サービスを開発・販売するVELDTは、2014年にスマートウォッチ「VELDT SERENDIPITY(ヴェルト セレンディピティ)」を発表した。
同デバイスは、腕時計としてのデザインにこだわり、アナログの文字盤に隠されたLEDライトと小型ディスプレイで、スマートフォンからの情報を通知してくれる。スマートフォンアプリとも連携し、収集したデータを表示してくれる。
まず、腕時計としての完成度が高く、ユーザはそこを気に入って「VELDT SERENDIPITY」を身につける。身につけてもらうことで、データの取得が可能になり、データを活かしたサービスが提供できる、とVELDT代表取締役CEOの野々上 仁氏は語る。
Apple Watchのような全面ディスプレイにしていないのは、VELDTが「ディスプレイレスコンピューティングを実現したい」と考えた野々上氏がこだわったためだ。エンジニアリングとクラフトマンシップの両立にもこだわり、それがユーザを惹きつけている。
今年3月には世界最大の腕時計見本市「Baselworld2016」では京都デニムとコラボした新作をはじめ、新しいモデルを発表。海外でも”ウェアラブルブランド”として注目を集めたという。その後、日本でもクラウドファンディングサイト「Makuake」でプロジェクトを立ち上げ、先行販売も行っている。
注目を集めるVELDTは、2016年7月7日にアコード・ベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズらがそれぞれ運用するファンドから、シードラウンドとして資金調達を実施した。調達した資金で、自社ブランドである「VELDT SERENDIPITY」の開発に加え、新たなデバイスの開発、B向けのサービス展開を目指す。
「VELDT」は、エグゼクティブ・アスリートと呼ばれるような人々を対象として開発されている。同社としてはさらに高単価の商品ラインを開発しつつ、より健康状態の把握を目的としたアクティビティトラッカー等の開発を視野に入れている。
「VELDT SERENDIPITY」自体は、さらに薄くできるよう開発を進め、女性にとっても選びやすいデバイスへと進化させていくという。
今回の資金調達に合わせて発表されたのは、SMKと共同して「VELDT」ブランド以外のIoT製品に対してOEM供給、ソフトウェアライセンスを行うという計画だ。SMKとは「VELDT」の次期製品で使用される回路の共同開発も行っている。
IoTデバイスを作り出していく上では、様々なハードルがある。ソフト面とハード面の両面でエンジニアを探す必要があり、プロトタイプと量産では考えなければならないことが変わり、少量のロットではコストカーブがなかなか下げられない。
IoTプロダクトを開発したいというニーズは、エレクトロニクスを主領域としてきた企業以外にも広がっている。IoTを活用したビジネスやサービスのニーズが高まる一方、ソフトウェアやハードウェア、デザインやエンジニアリング等分野を超えた開発リソースの確保やプロジェクト管理、量産時の品質確保やコスト管理等、大きなハードルが存在する。
VELDTは同社が持つIoT製品開発の知見・ソフトウェアやリソースネットワーク、電子部品で多くの実績を持つSMKの設計ノウハウと製造技術を活用して、企業のIoTプロジェクトのハードルを下げていくことを目指す。
「VELDT」というウェアラブルブランドが注目を集めるほど、企業向けのサービスに声がかかることも増えるだろう。
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