日曜日(10月9日)、中国国内のアトラクションチケット業界をけん引する LY.com(同程旅遊)が中国の不動産関連コングロマリット Dalian Wanda Group(大連万達集団)の 旅行部門 Wanda Tourism(万達旅業)との合併を発表した。この取引は現金買取と株式交換の両方によるという。
同社の発表によると、この合併が実行されれば LY.com の企業価値は200億人民元(約29億8,000万米ドル)にまで膨れ上がり、預金総額は50億人民元(7億4,600万米ドル)となる。
さらに、以前は17u.com(一起遊)であった LY.com は経営陣が10億人民元(1億4,900万米ドル)を同社に投入したと明かしている。これはつまり、設立者チームが引き続き決定権を握っていることになる。また、主要株主となるWanda Group、Ctrip(携程)そして Tencent(騰訊)は LY.com が独立して発展していくことをサポートする、と強調されている。
Wanda Group が Wanda Tourism を立ち上げたのは2013年、ホームグラウンドとなる不動産産業からの飛躍を目指して行った主要な試みである。同社は過去数年で各主要都市にある12の地元旅行代理店を買収し、2015年の年間売上は120億人民元(17億米ドル)に達した。
今回の取引で、Wanda Tourism が所有する旅行代理店12社は LY.com のリゾートスポーツ旅行関連部門に組み込まれることになる。これは今年6月に同社が大規模な組織改革を行った後新たに独立した2部門のうちの一つだ。もう一つは航空券や列車の乗車券、ホテル予約のオンライン販売部門だ。
Wanda Group は昨年このオンラインチケット購入サイトにトータルで60億人民元(8億9,500万米ドル)も投資したコンソーシアムに名を連ねている。今回の取引も両社がさらに互いのオンライン・オフラインリソースを統合していくためのステップにすぎない。
昨年資金調達を行った後、LY.com は A 株(中国国内向けの株式)上場プランを始動させており、今回の取引は IPO に向けて新たな資産を増やすためのものである。
同社設立者で CEO の Wu Zhixiang 氏は次のように述べた。
今回の取引が完了すれば、LY.com は2017年には利益を生むことが予測されます。私たちの見込みでは、2018年の売り上げは500億人民元(74億5,000万米ドル)となり、純利益は20億人民元(2億9,800万米ドル)を上回るでしょう。
捨て置けないのは、Wanda Group は昨年の取引で約束していた資本提供に失敗したという噂があることだ。今回の合併はその溝を埋めるものだとされている。LY.com の CEO、Wu(吴志祥)氏は地元メディア CBN(第一財経日報)のインタビューでこの憶測を一蹴した。
60億人民元の投資はみな当時の記者会見の後長きにわたって行われてきたものです。Wanda の資金提供も同様です。
しかし、インターネット系スタートアップの LY.com が伝統ある企業とビジネス統合していく道のりは簡単なものではない。
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