リターンが返ってこない場合も8割負担「クラウドファンディング保険」CAMPFIRE と東京海上日動火災保険が3月から開始へ

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CAMPFIRE 取締役の髙村純一氏

補足訂正:当初タイトルに2月から開始へとお伝えしましたが、CAMPFIRE から開始時期が3月にずれ込むという連絡がありましたので訂正いたします。

クラウドファンディング CAMPFIRE は2月17日、東京海上日動火災保険と連携してクラウドファンディングプロジェクトの支援者を対象にした保険サービスを提供すると発表した。保険加入に特別な費用は必要なく、プロジェクトが不履行になった場合に支援金額の80%を上限とする保険金が支払われることになる。

2月中の保険運用開始後に申請された全てのプロジェクトが保険適応対象で、「All-or-Nothing」方式で目標金額を達成したプロジェクト、もしくは「All-In」方式で掲載したものの内、支援募集終了日から1年以内にリターンが履行予定となっている支援者に対して問題があった場合に保険が適用される。

適用となる状況としてはプロジェクトオーナーが横領や拐帯(オーナーが預かった金額や物品を持ち逃げ)した場合やオーナー企業の倒産といった事態が生じた際で、同社の説明では適用となりうる状況が発生した場合、CAMPFIRE および東京海上日動火災保険が所定の審査を実施して実行されることになる。

CF保険_CAMPFIRE

具体的にはリターン品が届かないという場合に支援者から CAMPFIRE 側に所定のフォームで問い合わせをし、CAMPFIRE 側からプロジェクトオーナーに連絡、実態を把握した上で前述のような問題が認められた場合、保険会社の審査を経て適用となる。なお、被保険者の故意によるものや、地震などの自然災害など適用外になる場合もある。

今回のプロジェクトを担当した同社取締役の髙村純一氏によれば、今回の取り組みは業界内でも初めての試みで、今後、他のクラウドファンディング事業者も続くことが予想されるということだった。

「昨年に手数料を下げたことでクラウドファンディングの認知も広がり、100名規模のセミナーなどが開催できるようになるなど興味ある方の参加が増えているのですが、やはりまだまだ不安要素が多いのも事実です。そんな中、保険の取り組みは去年から始まりました。特に支援側のリターンが返ってこないんじゃないかという不安を取り除いて安心してもらいたかったんです」(高村氏)。

海外でたまに耳にするクラウドファンディングクランチ(支援したがリターンが返ってこない)は、出資という本来の考え方からすると大きく間違ったものではない。一方で悪質な持ち逃げ事案はやはり支援者の二の足を踏ませることにもつながる。今回の保険制度はこういった事例を除去できるという点で評価できる。

高村氏にこれまでそういった悪質な事案(プロジェクトオーナーに連絡が取れないなど)があったか確認したところ、5年ほど遡ると数件やはり発生したことはあったそうだ。また、こういう事案が発生したとしても CAMPFIRE としては仲介に入るだけで当事者間での解決をサポートすることしかできなかったということなので、今回の取り組みはそれを一歩前に進めることになりそうだ。

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