シンガポール中央銀行、国内でのICO規制を明確化

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Coins 3 via Flickr by Branko Collin

シンガポール金融管理局(MAS)は本日(8月1日)、国内で最近相次いでいるイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に対する姿勢を明確にした。MAS によると、デジタルトークンが証券先物法の対象とする製品とみなされる場合、ICO は規制が適用される。

これが意味するのは、多くの ICO が規制下に置かれることになるということだ。そしてまた、一部の ICO は証券とされずしたがって規制されない、ということもわざわざ示されている。

e27では、ブロックチェーン業界で営業している複数の企業に接触を試みた。どの企業も一様にこの発表を歓迎しており、MAS が ICO に対し微妙なニュアンスを含めてアプローチしたところが重要だと話している。

Attores の設立者兼 CEO の David Moskowitz 氏は e27 にこのように語った。

MAS は、証券であるとされたトークンは規制する一方で、それ以外は規制されず、ケースバイケースで判断すると明言し、ICO に対して現実的なアプローチを採用しました。それにより、業界はイノベーションを継続し成長していくことができるでしょう。

MAS は、資金調達のために ICO の戦略に取り組もうとする企業の数が増加しているとコメントしている。同局は暗号トークンを次のように定義した。

便益を受けるため、もしくは特別な機能を実行するために、暗号論的に保証されたトークン保有者の権利の表象

MAS の発表では簡潔に「デジタル通貨」について述べられているが、これは、一般的に Bitcoin に関連するものだけに限られるものではないとしている。MAS はデジタル通貨を「デジタルトークンの一種」と正しく表現している。

MAS ではそのほか、国内には多様なデジタルトークンがあり、そのために ICO も同じく一様でないとした。そのため、MAS は以下のように、外部組織から法務面での助言を求めるよう企業に薦めている。

デジタルトークンのすべての発行者、デジタルトークンの発行を促し助言を行う仲介機関、デジタルトークンの取引を仲介するプラットフォームは、あらゆる関係法の準拠を確保するために独立的な主体による法務面での助言を求め、必要があれば MAS に相談すること。

MAS は2014年3月、デジタルトークンそれ自体が規制の対象となるものではないとしつつも、テロやマネーロンダリングに言及しながら、仲介機関は MAS の規制下に置かれる可能性があるという声明をリリースした

MAS が指摘したのは、取引の匿名性が持つ性質によって引き起こされるリスクと、きわめて短期間で多額の資金を調達できる点だ。MAS では、「暗号通貨」の領域に入らないトークンについて、テロやマネーロンダリングの懸念に対する対処法についても取り組んでいるという。

MAS は、デジタルトークンが証券法で規制される理由としてテクノロジーの進化を挙げた。その中で、ICO が財産の表象のほか、Bitcoin のように通貨として機能するとは限らない財産としてよくコインが発行されるという点を指摘している(ビデオゲームで使われるトークンがその良い例)。

さらに、ICO 期間中に発行されるデジタルトークンは、買い手に対する発行企業の負債となり、それは、証券法により規制されるべき取引である(訳注:原文にある IPO は ICO の誤りであると思われますので ICO と訳出)。

トークンが MAS の規制対象とみなされれば、発行企業は政府機関に目論見書を提出しなくてはいけない。代理取引を行うプラットフォームは MAS による承認を受ける必要があるだろう。

【via e27】 @E27sg

【原文】

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