中国のニュースキュレーション大手「Jinri Toutiao(今日頭条)」、ゲーム配信サービス「Jinri Games(今日遊戯)」をローンチ

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ByteDance(字節跳動)の本社
Image credit: Masaru Ikeda

ByteDance(字節跳動)の情報プラットフォームアプリ「Jinri Toutiao(今日頭条)」は、6月14日付で新サービス「Jinri Games(今日遊戯)」をローンチしたと発表した。このサービスは現在 Android ユーザ限定で利用できる。

同サービスでは現在、ダウンロード、おすすめ、ギフト集めができる。このサービスにはJinri Toutiao のアプリ内「My Wallet(我的銭包)」から入ることができる。

今回のローンチは、Jinri Toutiao が正式にゲーム配信・運営業界に参入する証となる。Jinri Toutiao がアプリの My Wallet 内からゲームサービスに入れるということからして、無料ゲームは少ない可能性が高い。背後にある動機は明らかだ。提携ゲームとプラットフォーム自体の両方から収益、現金報酬を生み出そうという動機である。

これは、中国のソーシャルネットワーク大手で、現在 ByteDance の主なライバルである Tencent(騰訊)の WeChat(微信)上のミニプログラムゲームとはやや異なる点だ。とは言え Jinri Toutiao もWeChatも、中国のデータ通信業競争を率いている点では同じだ。「The Strongest Bomb(最強第一弾)」など無料のWeChatゲームでは、プレーヤーがスコアやランキングリストを共有できるようになっており、ソーシャルネットワーキング要素をより重視している。

Jinri Games(今日遊戯)のページ
Image credit: ithome.com

現在 Jinri Toutiao のゲームサービス上に載っているものとしては、古代の伝説に基づくIP活用の中国語オンラインゲーム「Chu Liuxiang(楚留香)」、同人ゲームに似た、オンラインのマルチプレーヤー戦略・心理ゲーム「Identity V(第五人格)」がある。これら2つのゲームはどちらも NetEase(網易)が開発したもので、中国のゲーム市場ではすでに人気を得ている。

Jinri Toutiao の誇るデータ通信の強みは、ゲームの今後の一層の発展を当然促進させるだろう。市場では、Jinri Toutiaoのユーザは1億人前後だと見積もられている。Tencent の WeChat が世界中で月間ユーザ数10億を獲得しているのにはいまだ届かないものの、Jinri Toutiao ほどの大きな中国語プラットフォームでゲームが購入できるということは、デベロッパーにとってはやはり魅力である。とりわけ、ゲーム開発スタジオの(お金でユーザ流入を買う)トラフィックバイ戦略にとってはそうだ。

中国の商用ゲームや同人ゲームのスタジオは現在、コミュニティ、プラットフォーム、ライブストリーミング、その他の新型メディア分野といったチャネルに投資を行い、認知度およびゲームプレーヤーの購買意欲を高めようとしている。この業界事情に詳しい筋によると、熾烈な競争やその他の事情により、世界で最も大きいゲーム配信サービスでプレーヤーコミュニティの1つである Steam などのプラットフォームは、中国のゲームを売り込む上で自らの影響力低下を感じているという。その結果、十分な資本やその他の資金援助のないゲーム開発スタジオは、流通計画や協力戦略を多様化させ、市場変動を抑えようとしているのだ。Jinri Toutiao が行っていることは、魅力的な方法かもしれない。

その一方で、ゲームビジネスは Jinri Toutiao 自身にとって、もう1つのリスク回避手段でもある。同社はここのところ国家による批判の的となっているのだ。国家の英雄的人物たちを侮辱する内容の配信を同社が許可したためである。商用ゲームや他の関連プロジェクトに比べて、高い経営上のリスク、そして比較的低い収益は、同社が近い将来に打開したいと願っているものである。

【原文】

【via Technode】

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