僕がVTuberとVR、ブロックチェーンに懸ける理由 「自律分散型メタバースと民主主義2.0」

by ゲストライター ゲストライター on 2019.1.7

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編集部注:本稿はgumiの代表取締役会長、國光宏尚氏のnoteからの転載。本誌取材で語った「Web3.0」の次のビジョンを彼の言葉で解説したもの。ご本人の許可を得て転載させていただいた。全3回の予定。(初回

VTuberはYouTube上では人間のYouTuberとの差はありません。これがVR時代になると大きく変わってきます。ヘッドセットを被ると、本当に目の前にいて、握手も、話もできる。ライブはどれだけ観客がいても全員最前列。世界中どこにいても。

VRライブ、去年はclusterの輝夜月ライブ、VARKのYuNiライブなどが大成功を収め、可能性の大きさを証明できた年になったと思います。VRライブは演出面でもリアルを遥かに超えてきます。リアルライブでは演出は照明を使ったVJくらいですが、VRでは音楽に合わせてどんな演出でも作れます。

「雨が降る中」という歌詞の時に雨を降らせたり、「桜舞い散る」という歌詞の時に桜を舞わせたり。こういった一つ一つが没入感、実在感を増すことに繋がります。近い将来、人間のアイドル以上にバーチャルのアイドルに恋をする人は確実に増えると思います。VTuberは老いもせず、スキャンダルとも無縁。まさに無敵のアイドルと言えるのではないでしょうか(笑)

VTuberの可能性はバーチャルなタレントを産み出すだけに留まりません。近い将来に全ての人がアバターを持ちVTuberになる日がくると思います。去年VRコミュニティ、VR Chatが一部で大流行しました。VR Chatでは各人が自分の好きな3Dモデルをアップし、そのキャラになりきって活動ができます。面白いのが日本人が集まるサーバーで、そこにいるキャラの90%以上が美少女で、その中に入っている95%以上がオジサンです(笑) 。何故かみんな美少女になりたがる(笑) 。

ここで興味深いのが美少女になりたてのオジサンの所作は、当初はオジサンなのですが、数日経つとドンドン可愛くなってきます。数週間もするとリアルな女性より可愛くなる。あるオジサン曰く、女性は可愛くみせるための努力をしないけど、オジサンは努力をするから可愛くなるのは当然らしいです(笑)。

ここで興味深いのは行動の変容です。美少女アバターになると、周りが美少女として扱ってくるので、美少女らしくしなければと思って美少女になっていく。自分らしくという言葉があります。ここでいう自分らしい行動とはなんでしょうか?本当に元々持って生まれたものなのでしょうか?生まれ持った外見があり、周りの人が期待している自分があり、それを演じているだけなのではないのでしょうか。周りの人が期待している自分を演じることに、多くの人が疲れてきているのではないでしょうか。

最近よくSNS疲れという言葉が出てきています。これは一つの外見、一つの人格、一つのコミュニティというリアルな世界を、ネット上でも引きずって逃げ場所がなくなることへの息苦しさではないかと思います。

VRの世界では誰もが、複数の外見、複数の人格、複数のコミュニティを、自分で選択して生きれるようになります。もし嫌になれば他に変えれば良い。そうなるとヒトはより自由に生きれるようになれるのではないでしょうか。

VRと言えばソードアートオンラインを思い浮かべる人が多いと思います。SAOが実現できると本当に素晴らしいと思います。ただこの世界には二つ問題があります。一つはSAO内でリアルなお金を稼げない。後は中央集権的な支配者がいるということです。VRワールドでの理想はVR内でお金を稼ぐことができて実際に生活ができ、非中央集権で皆んなが自由に生きれるコミュニティ。これを実現させるのがブロックチェーンです。

以前のインタビューを再校します

僕がブロックチェーンじゃなければできないことで見ているものが大きく分けて二つあり、一つ目は「トラストレスで自律的でDecentralized(非中央集権)」なネットワークです。

ビットコインの面白い部分を挙げるとすると、今までは信用保証をどこかの機関がやっていました。例えば日本円であれば、政府や日銀で、楽天ポイントであれば楽天、AmazonポイントであればAmazonです。

一方でビットコインは、誰も信用保証をやっていません。これがトラストレスな点です。
では誰が信用保証をしているかというと、マイナーになるわけですが、マイナーは誰かに頼まれたわけではなくて、自分の利益の為に勝手にやっています。これが自律的な点です。

さらに、マイナーはどこか一社でやっているわけではなく、皆それぞれ分散してやっています。これがDecentralizedです。

もう一つブロックチェーンじゃなければできないこと、面白い特徴だなと考えているのが、「デジタルデータがコピーできないからユニーク、つまり唯一性を持ち、かつトレーダブルなものになったことから資産性を持った」という点です。

コンテンツビジネスは、インターネット以前はデータを売っていて、音楽であればCD、映像であればDVD、ゲームであればパッケージですが、インターネット時代になってデータが複製可能になってしまったため、価値が無くなってしまいました。だからコンテンツそのもの、歌や映像、ゲームが売れなくなってしまいました。

そのため、コンテンツを売るビジネスからサービスを売るビジネスに変わり、僕らも基本無料でコンテンツを展開して、そこから様々なサービスを提供することでお客様から対価を頂いています。

映像業界も、コンテンツを売るわけではなく、自分が観たいものを見つけやすいというサービスを売るようになって、コンテンツ販売業からサービス業になりました。

データが複製可能なインターネット時代で、データそのものを売るのが難しくなってきている中、ビットコインを見てて面白いなと思うのは、ただのデジタルデータにも関わらず価値がある点です。

ブロックチェーンの特徴として、改ざんができないことを挙げる人が多いですが、それよりもはるかに重要だと感じているのは、コピーできないことです。

ビットコインも音楽ファイルみたいにコピーが可能になったら、価値がなくなります。
コピーできない、これがユニークなデータだということをブロックチェーンが保証することで、ただのデジタルデータが資産性を持ったということが、非常に興味深い点なのです。

ゲームって例えば様々なキャラクターが出てきますが、現状は資産性が無いですよね。
もしゲーム中のキャラクターが資産性を持ったらどうなるでしょうか。

昔、セカンドライフの土地を買った人がいましたが、もしあのセカンドライフの中の土地がブロックチェーン上で管理されて資産性を持ったらどうなるでしょうか。

他にもMMOのRPGで、そこに登場する剣や、鎧などが、仮にブロックチェーン上で管理されてユニークで資産性を持ったらどうなるでしょうか。

そう考えると、今までのゲームとは大きく変わっていくのではないか、と考えています。
例えば、MMOのゲームにブロックチェーンを組み込み、海賊王を目指す大海賊ゲームみたいなものがあると仮定します。

MMOでトッププレイヤーが引退する時、その引退する次の日くらいに、そのトップレイヤーが、持ち物や宝をその世界のどこかに置いてきた、見つけたやつが海賊王だ、といった感じで発表したとすると、みんな探しにいくわけじゃないですか。

それで、どこかのゲーム内のエリアで、そのトッププレイヤーの剣を発見した人がいて、ブロックチェーン上でそれが昔トッププレイヤーの持っていた剣だと参照できると、その剣はプライスレスな価値を持ちます。

そういうMMOの世界で自分の持っている持ち物が誰かに渡って継承されていくような形になれば、今までにないゲームになるのだろうなと考えております。

他に例を挙げれば、サバイバル系のシューティングゲームが流行していますが、こういうゲームはゲーム上でキャラクターが殺されても大したペナルティはなかったのです。

しかし、もし全ての武器がブロックチェーン上にあったと仮定すると、それらが資産性を持つことになり、この銃は10万円、この鎧は20万円で、全部の装備を合計すると50万円、といったようなことになります。

そして、キャラクターが殺されると武器が奪われてしまう、となると、キャラクターが死ぬことって凄く怖くないですか?(笑)

だからもしゲームにブロックチェーンの技術を取り入れれば、ゲームの中に新しい経済圏を作れるようになると思います。

さらに面白いのが、リアルの人生の中のことがほとんどゲームで再現できると思うのです。

友情や愛情もその範疇で、ゲームの中で結婚する人や親友を作る人がいますが、ここからVRがさらに進化してくると、視覚とか聴覚とか触覚などの五感が、現実と変わらなくなる世界がここから数年で到来してくるのではないかなと考えております。

唯一ゲームでできなかったことがあって、それはお金を稼ぐことでした。

しかし、もしゲームの中にブロックチェーンの技術が入ってきて、ゲーム内アイテムに資産性が出てくると、リアルで働くことが得意な人は、リアルで稼げばいい一方で、ゲームの中でモンスターを狩るのが得意な人はモンスターを狩りまくってお金稼ぎができるようになります。

今までのリアルな世界だけじゃない、ゲームの中に新しい経済圏を作っていけること、そしてデジタルデータがブロックチェーン上にあり、ユニークなものになり、資産性を持つようになることは大きな意味を持ちます。

更に「Decentralized(非中央集権)」というのも大きな特徴です。Bitcoinが分裂する。ハードフォークという言葉を聞いたことがあるかと思います。通貨が分裂というのは理解が難しく、仮想通貨に対する不信感の原因にもなったかと思います。ただ、これを通貨ではなくオープンソースソフトウェア(OSS)と考えると、よくある当然の現象です。

オープンソースはハードフォークを繰り返しながら進化してきました。プロジェクトの方向性に大きな違いが出た時には、分裂してお互いが正しいと思う道を進む。結果、より良いプロジェクトになっていった方がコミュニティの主流になって生き残っていく。ダーウィンの進化論のように環境の変化に適応できたものだけが生き残っていく。自然淘汰の原理です。

今、世界中でポピュリスト政治家が跋扈して民主主義が大きな危機に直面しています。民主主義の最大の欠点は少数意見が無視されることです。例えばカリフォルニアに住んでいる殆んどの人は反トランプです。全米でみても半数近くは反トランプです。しかし例え49.9%が反対しても50.1%が賛成であれば、その49.9%の意見は無視されてしまいます。実際の国家ではカリフォルニアのハードフォーク(独立)という選択は不可能に近い。

これは中央集権型の今のGAFAも同じで、例えば今のFacebookの方向性に賛同できないと思っても、それを分裂させて別のFacebookを始めることはできません。ただこれが「Decentralized(非中央集権)」なOSSであれば49.9%の人が反対をしていればハードフォークをして、独自路線を進むことができます。

ここで重要なのは、意見が割れた時に分裂できるということではなく、意見が分かれた時に少数意見を無視するのではなく、少数意見でも自分たちが正しいと思う方向性にチャレンジができるということです。そして、最終的により多くのコミュニティメンバーが支持した方が主流になっていく。コミュニティや国家運営にも仮説検証を高速に回すことができると、多くの人にとってより良い社会制度というのを見つけていけることになるのではと思います。

SAOの問題点の話に戻すと、仕組みが中央集権であったため茅場晶彦の理不尽なルールにも従うことを強制されていました。これが「Decentralized(非中央集権)」であれば不満に思ったコミュニティメンバーはSAOをプログラムごとハードフォークさせて新しいSAOを作れば良く、そちらの制度設計や運営の方が優れていれば多くのメンバーが移ってきて主流になっていく。無数のワールドがそれぞれの信じるビジョンの元に運営されて、お互いがお互いの成功失敗から学び、その中でコミュニティメンバーにとって最善の制度や運営ができたところが生き残り主流になっていく。

少数意見を無視するのではなく、取り入れながら仮説検証を繰り返していくことで、我々の社会制度を一段階アップグレードしていけるのではないかと思います。

我々の住んでいるリアルな社会はしがらみが余りに多く、仮説検証を行うのがすごく難しいです。将来は、VRワールドで色んな制度の仮説検証を行い、そこで良かったものをリアルな社会に適応する。そんな日も来るかもしれません。

「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」というイギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの有名な言葉がありますが、少数意見を無視しない、仮説検証可能な民主主義というのを作り出すことができると、我々は遂に最悪の政治から脱却できることになるかもしれません(笑)。

遠くない未来に、全ての人が、一つの外見、一つの人格、一つコミュニティに縛られて生きる世界から、複数の外見、複数の人格、複数のコミュニティ、そして複数の経済圏を自分で選択して生きていく世界。ヒトがより自由に自分らしい生き方ができる社会。VR内でお金を稼ぐことができて実際に生活ができ、非中央集権で皆んなが自由に生きれるコミュニティ。そんな世界を創り出していきたいと思います。

それが僕がVTuber、VR、そしてブロックチェーンをやっている先にみている未来です。

先日、平成ネット史(仮)という番組をみてて感じたのが、ネット初期は日本は独自のサービスや文化を形成できていました。それが大きく変わったのが2007年のiPhone発売から。それ以降のスマホ、ソーシャル、クラウドの戦いでは、GAFAに代表される米国のテックジャイアントたちに蹂躙されることになってしまいました。

VTuberの大流行とTwitterがいまだに大ブレークしているのは日本の大きな特徴です。日本は多神教で八百万の神というくらい、ありとあらゆるものに生命を宿させ神格化させます。ゆるキャラなどが多いのもその流れだと。VTuberはそんな日本の文化にマッチしたのだと思います。日本でのTwitterの普及はサブ垢が大きな役割を持っていると思います。一つの人格やコミュニティではなく複数の人格やコミュニティを既に使い分けている。その意味でVRメタバースは日本でこそ、大ブレークする土壌ができていると思います。

アメリカのネットはリアル×実名×効率化で成長をしてきました。日本はバーチャル×匿名×反効率化(物質的な生産性を上げることではなく、精神的な満足度を上げる)、ここに大きなチャンスがあると思います。日本がVRとブロックチェーンで世界を牽引していく。そんな未来を皆んなで実現していけたらなと思います! Make Japan Great Again!(笑)。

明日は具体的に、取り組んでいることを紹介できればと思います。ガルガンチュア(VR MMORPG)、VARK(VRライブPF)、コロン(VTuberスマホライブPF)、トピア(VTuber SNS)、フィナンシェ(ブロックチェーンSNS)、My Crypto Heroes(ブロックチェーンゲーム)

原文:僕がVTuberとVR、ブロックチェーンに懸ける理由 「自律分散型メタバースと民主主義2.0」

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