
編集部注:本稿はgumiの代表取締役会長、國光宏尚氏のnoteからの転載。本誌取材で語った「Web3.0」の次のビジョンを彼の言葉で解説したもの。ご本人の許可を得て転載させていただいた。全3回の予定。
2007年から始まったスマホ、ソーシャル、クラウドが牽引したWeb2.0時代。その先にXR、IoT、クラウドAIが牽引するWeb3.0が来ると話しましたが、未来がもう少し明確に見えてきました。
<参考記事>
ここではinput/output(XR)、データの収集(IoT)、データの活用(クラウドAI)の3つの重要なクラスターの変化がもたらすイノベーションについて語りました。
input/outputは、ARグラス時代になるとスマホ時代からUI/UXが大きく変わります。タッチUIから音声UIへ。検索も減り、適切な情報が必要な時に自動的にリコメンドされるように。アプリを起動させないと始まらない「オンデマンド」から「リアルタイム」へ。
更に今までとは比べものにならない莫大なデータが得られるようになります。自分の目に飛び飲んできた全てのデータが取れるようになる。しかも個人情報と位置情報に紐付いて。
データの収集(IoT)は、承認欲求をインセンティブにユーザーからの能動的な投稿を促したソーシャル時代に限界がきており、次は「自動的に」データを吸い上げる仕組みが必要になります。ここで重要になってくるのが、ブロックチェーンベースのトークンエコノミー。
ブロックチェーンはインセンティブ革命。Bitcoinマイニングのように、例えばARグラスで自分の見ている風景をスキャニングしてアップすることでトークンが得られたり、運転時の走行データをアップしたり、空いている帯域をシェアしたり、ストレージをシェアしたりすることによってトークンが得られるようになると承認欲求よりも直接的で強いユーザー参加のインセンティブになります。
しかもこれは人間はもちろんMachine to Machineであっても、どれだけ小さなトランゼクションでもスマートコントラクトであれば問題なく可能になります。これらのことで、収集できるデータ量は飛躍的に大きくなります。
データの活用(クラウドAI)は、以前の記事ではクラウドAIとしたのですが、正確にはクラウド&エッジAIでした。GAFAMによって高性能のAIが誰にでも活用できるようになり、出来ることが飛躍的に大きくなるのは間違いないのですが、XRやIoTによって通信量やデータ量が爆発してリアルタイムで色んなことを処理しなくてはいけなくなってくると、クラウドだけで全てをこなすのは不可能になります。
エッジで出来ることは出来るかぎりエッジで処理して、どうしても必要な時にクラウドに飛ばすといった「クラウドとエッジ」の最適化が凄く重要になってくると思います。勿論これによって現在大きな問題になっているデータ独占やプライバシーも解決に向かえます。
クラウドも今のAWSのようなセントラルコンピューターというよりも、世界中のユーザーの持っているPCやスマホの有休リソースをP2Pで繋ぐ形になると思います。これから益々、スマホのスペックは上がり、通信帯域も大きくなるとその空いたリソースを活用することで、AWSなどは必要なくなってくると思います。
検閲などのセキュリティの問題も軽減されます。このネットワークに参加したユーザーにはトークンが支払われます。こういったブロックチェーンを活用したP2Pプロジェクトは、Theta、Wificoin(データ通信)、Filecoin、Archon(ストレージ)、Wax、Origin(マーケットプレイス)をはじめ色んな面白いプロジェクトが既に出てきています。
スマホ、ソーシャル、クラウド時代から、XR、IoT、エッジ&クラウドAI、そしてこのベースを支えるブロックチェーン。将来はヒト、マシーンに関わらず全てのモノがネットに繋がり、クラウド&エッジでシームレスにメッシュ状に繋がり、ネットワークの参加者にはトークンインセンティブがスマートコントラクトによって自分の貢献に応じて支払われる。絶対的な中央の管理者も存在しないのでデータ独占やプライバシーの問題もない。見栄や目立ちたいという承認欲求をベースにしておらず、ネットワークへの貢献に応じてトークンが支払われる。
ここでいう貢献は色んな形があり、スマホの空いてるリソースの提供、コードを書く、フェイクニュースをチェック、健康データを提供する、人助けをするなどなど、どのような貢献も可視化でき流通されるようになります。
中央集権型から自律分散型へ。情報のインターネットから価値のインターネットへ。GAFAMの独占になったWeb2.0時代が終わり新しい時代が始まる。
明日はこのことによって世の中が具体的にどう変わるかを語りたいと思います!
原文:Web3.0、GAFAのその先!中央集権型からから自律分散型へ。情報のインターネットから価値のインターネットへ
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