高齢者の健康状態を監視できるAIウエアラブル「CarePredict」、シリーズAで950万米ドルを調達——CESで消費者版を正式公開、日本にも進出へ

by Kyle Wiggers Kyle Wiggers on 2019.1.5

CarePredit のハードウェアモニタリングソリューション「Tempo」と付属アプリ
Image Credit: CarePredict

高齢者の独り住まいにはリスクが伴う。アメリカ国立老化研究所(National Council on Aging)によれば、年間で65歳以上のアメリカ人の4人に1人転倒しており、転倒が原因で19分に一人が亡くなっているという。尿路感染症(UTI)などの健康障害では、毎年約810万人が医師の診察を受けている。介護者や高齢者が心配すべき身体的問題だけではない。うつ病のような精神病は、年間推定700万人の年上の成人に影響を及ぼしている。

技術者出身で元 IBM コンサルタントの Satish Movva 氏は30歳。彼は、機械学習を搭載したウエアラブルを使って、高齢者の QoL(生活の質)向上を狙うヘルステック・スタートアップ CarePredict をフロリダ州フォートラウンデールで設立した。同社によれば、CarePredict を使うことで、尿路感染症を臨床診断よりも最大で3.7日速く、うつ病を実診断よりも2週間速く予測できる、実用的な洞察を提供できるそうだ。また、高齢者コミュニティで転倒事故を25%減らすことができたという。

このような数値は、投資家に感銘を与えているようだ。CarePredict は2日、シリーズ A ラウンドで950万米ドルを調達したと発表した。Secocha Ventures、Las Olas Ventures、Startup Health Ventures がリードインベスターを務めた。2017年12月に実施した400万米ドルの資金調達、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation)からの助成金と合わせ、今回の調達を受け、同社の合計調達額は1,970万米ドルに達した。

CarePredict が得た資金の一部(約11万米ドル)は、WiseWare の買収に費やさられた。WiseWire は、Saks Fifth Avenue、Macy’s、Nordstrom といった百貨店で高齢者の活動をトラッキングできるジュエリーを販売していたスタートアップだ。しかし、今回調達した資金は CarePredict の海外展開と間近に迫った D2C 型プロダクトのローンチに費やされことになるだろうと、Moova 氏は語った。

声明の中で、彼は次のように語っている。

世界の65歳以上人口は6億人超で、介護者人口も急速に減少している。我々の CarePredict のような技術はそんなギャップを埋め、愛する人々が必要とする質の高いケアを常に受けられるようにする。

このような課題を認識しつつ、我々のソリューションは、疾病を継続的な観察から検出するのではなく、予測できるように構築された。それも、最小限の人的努力で実現できるようにだ。

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CarePredict の web ダッシュボード
Image Credit: CarePredict

CarePredict のプロダクト「Tempo」は、Moova 氏が言う ADL(日常生活の活動)を検出するセンサーとともに、タッチボタンセンサー、内蔵マイクやスピーカーを搭載した手首装着型ブレスレットだ。洗練された AI アルゴリズムの助けを借りて、Tempo は飲食、入浴、グルーミング、歯磨き、トイレ利用、ウォーキング、着席、睡眠などの ADL を検知できるほか、シールで貼付できるビーコンと無線通信し、これらの活動が部屋の中のどこで起きているのかを特定することができる。

Tempo は概ね7日間を費やして着用者の通常活動パターンを学習、継続的に収集したデータを、リアルタイム警告、web ベースのダッシュボード、セルフサービスによるレポートといった形でユーザに提供する。着用者が規制区域に侵入したり、トイレに長い時間いたりすると、緊急連絡が web、メール、SMS、CarePredict のモバイルアプリ経由で介護スタッフに通知される。普段行わない飲食などの状況は、毎日の健康レポートで特記事項として報告される。

CarePredictは現在、アメリカとカナダにある介護施設、認知症介護施設(メモリケア)、自律生活支援施設、在宅ケアで利用可能。まもなく、日本、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、中国、ドイツでもローンチする予定だ。高齢者施設チェーンの約10社が Tempo を使っているか、使う計画を持っていると Moova 氏は語った。

CarePredict は最近、Spring Creek Enterprise と複数年契約を交わし、Tempo のシステムをアラスカ州アンカレッジの新しい介護生活コミュニティに導入することとなった。SRI Management とは、フロリダ州オカラに完成した介護生活センターに関連し協業の約束を交わした。また、Tradition Senior Living は2つの施設で約600人の入居者に Tempo を使ったケアを提供すると発表した。

CarePredict は先月、全米民生技術協会(CTA)のアクセシビリティコンテストで入賞した5社のうちの1社だ。

介護施設や認知症介護施設の入居者の日常生活活動を計測することで、高齢者生活コミュニティのスタッフや管理チームは、かちあるヘルスケアの内容が何であるかを理解し、積極的により優れたケアを提供できるようになるだろう。また、入居者の満足を高められることで、彼らの平均滞在日数を伸ばし収入を伸ばすことも可能になる。(Moova 氏)

消費者版の Tempo は1月に開催される CES 2019 で正式デビューの予定で、数ヶ月中には市中で入手可能になる見込み。Moova 氏はコスト構造について明らかにしなかったが、CarePredict は潜在的投資家にかつて、Tempo センサー1台につき169米ドル、モニター料は月額で約30米ドルという価格を説明していた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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