クラフトビール版Amazon「TapRm」がディスラプトする業界規制の“しがらみ”

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Image Credit: TapRm

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ニュースサマリー:クラフトビール専門EC「TapRm」は11月26日、150万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はThe Brow Groupが努め、VU Venture Partners、Branded Strategic Hospitalityも参加した。

同社は昨年NYにて創業。米国にはビール生産者が直接小売販売できない法律があることから、仲介業者を挟む必要がある。しかし、仲介と小売業者の両方のライセンスを持つTapRmを利用すれば、レストランやバーからの大規模な発注を狙えるほか、直接一般消費者への販売も可能になる。

話題のポイント:アルコール特化版AmazonともいえるのがTapRmです。同社が提供する機能はいたってシンプルで、アルコールのECサイトです。商品的な差別化要素としては、Amazonなどで扱っていないオリジナクラフトルビール販売(地域限定など)に特化している点が挙げられます。

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上図を見ると、アメリカの大手スーパー「Whole Foods」や「Walmart」で目にするビールとは違う種類を扱っていることが一目でわかります。しかし、アメリカにおいてアルコールEC市場はそこまで盛り上がりをみせていません。

Profiteroが公開したデータによれば、アルコール購入者のうちECサイトを利用した割合はたったの8%でした。言い換えれば残りの92%は店舗での購入ということになります。ちなみに下のグラフを見ると日本は中国に続いて全体の2位に位置しており、アルコールのオンライン購入が比較的盛んであることが伺えます。

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Image Credit: Profitero

アメリカにおけるアルコール飲料市場に消費者が投じる金額は、米国商務省によれば年間2300億ドル以上ともいわれていますが、意外にもEC市場は未成熟だったのです。

この背景には、冒頭でも言及したアルコール販売に対して制定する法律「Three-Tier Distribution System」にあるのかもしれません。これは、酒類の販売の際、生産者は小売業者や消費者に対し直接販売をすることができず、卸売業者を通さなければならないと定められた法律です。

つまり、基本的にアルコール生産者は自身でECサイトを立ち上げ販売することができず、いわゆるDirect to Consumer(D2C)モデルの推進がやりにくいわけです。

こういった規制のしがらみに着目したプラットフォームがTapRmです。同社は小売と卸売業のライセンスを同時取得することで、生産者が直接的に酒類販売を実施できるプラットフォームの提供に成功した、というわけです。潜在的にメーカーは直接販売したかった、ということなのでしょう。

また米国では州法が存在し、「他の州では合法だったビール販売手法が、この州では法律違反だった」といったことも起こりやすいため、アルコール生産者にとっては変に自社で販路を開拓するより、TapRmを利用して販売する方が安全というメリットもあります。

Infographic: 2014 Was Another Great Year For U.S. Craft Beer | Statista
Image Credit: Statista

Statistaが公開したデータによれば、2014年におけるクラフトビール醸造所は合計で約3,400カ所。内訳としては自前の醸造所を持ち、自家製ビールを提供する酒場やレストランを指すブリューパブが約1,400ヵ所、小規模醸造所が1,870、残りは小規模な醸造所が続く形です。

2008年比で醸造所が2倍に増えている点から成長市場であることは明らかです。EC市場も合わせて盛り上がるのは時間の問題ではないでしょうか。

こうしたマーケット情勢とオンライン市場を組み合わせ、法的問題を解決することがTapRMの目指しているところでしょう。今後は、サブスクリプションモデルなど、あらゆる事業展開が実施されていきそうです。

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