オンライン医薬品EC「東京美肌堂クリニック」運営のLATRICO、シリーズAで3億円を調達

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Image credit: LATRICO

オンライン医薬品 EC プラットフォーム「東京美肌堂クリニック」を開発・運営する LATRICO は26日、シリーズ A ラウンドで3億円を調達したと明らかにした。このラウンドに参加したのは、コロプラネクストと HIRAC FUND。同社はこれまでに、スピンアウト元から2回の調達を行っているが、外部投資家を招くのは今回が初めてとなる。累積調達額は5億5,000万円。

LATRICO は、2017年に創業した PE ファンドであるミダスキャピタル(2017年に、BuySell Technologies=東証:7685 を買収したことで知られる)からスピンアウトする形で2020年に設立された。医薬品は、医師の診察を受け処方しておらう医療用医薬品と、薬局・薬店などで購入できる OTC 医薬品(さらに、OTC 医薬品には、要指導医薬品と一般用非薬品がある)に大別される。

一般的に、医療用医薬品と OTC 医薬品では、同じ症例に対しても効用が期待される成分やその含有量が異なるため、医療用医薬品の方がよく効くことが多い。個々の患者への医師の診察に基づいて処方されるため、個人差による副作用や誤った服用に対するリスクを軽減できるからだ。ただ、医師の診察を受けなければならないので、これまでは患者がクリニックに出向く必要があった。

東京美肌堂クリニックが可能にするのは、医師とのマッチングとオンライン診察の機会提供だ。LATRICO は東京総合美容医療クリニックと提携していて、同クリニックの医師が LINE 越しに診断し、患者は適切と思われる医療用医薬品を提案してもらい、クリニックや薬局に出向かなくても薬をサブスク形式で受け取ることができる。屋号からもわかるように、現在はスキンケアに特化している。

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LATRICO 代表取締役の濱口友彰氏によれば、肌に何らかの課題を抱えていても、サプリメントや美白化粧品などを使っている人は多い。疾患治療前(未病)にも使える医療医薬品が多数あるのに、わざわざクリニックに出向かなければならない面倒さから活用されていないこと、遠隔診断など条件付きなら働ける医師のリソースを活用できる可能性などから、この事業を立ち上げたという。

東京美肌堂クリニックの LINE の「友だち」は10万人を超えた。当初はニキビに悩む人が多く、皮膚科に通っていた人が東京美肌堂クリニックを使い始めるケースが多かった。最近は、オンライン診察中に後ろの方で子供の声がしているのが耳にされることから、クリニックに出向くのが難しかったり、外出による新型コロナの感染リスクを避けたかったりする、子供のいる女性の利用が増えているらしい。

オンライン診察による医療用医薬品の活用が期待できる分野では、AGA(男性型脱毛症)の分野だと「HIX」を展開するエムボックスや「delling(デリング)」を展開するソラリウム、女性用ピル処方の「スマルナ」を展開するネクイノなどが存在する。濱口氏は、将来他分野に拡大する可能性は未定ながら、啓蒙が必要なものの潜在ニーズの大きいスキンケア分野に当面は特化していくと語った。

LATRICO ではこれまで、主にオンライン広告などで顧客を獲得してきたが、オウンドメディアを使った啓蒙を含むオーガニックなマーケティング活動を強化していきたいと考えており、今回調達した資金は、こうしたマーケティング、システム開発、人材の確保などに充当する計画としている。

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