緑内障検査機器開発のクリュートメディカルシステムズ、東大IPCなどから3.2億円を調達——米市場進出と量産化加速へ

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「アイモ vifa」
Image credit: Crewt Medical Systems

クリュートメディカルシステムズは2日、直近のラウンドで3億2,000万円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、東京大学協創プラットフォーム開発(東大 IPC)、芙蓉総合リース、フューチャーパートナーズ。シリーズ C ラウンド相当と推定される。同社にとっては、2015年6月の約3.8億円(シリーズ A ラウンドと推定)、2018年12月の約2.5億円(シリーズ B ラウンドと推定)に続くもの。東大 IPC は2018年12月のラウンドに続くフォローオンでの参加。累積調達額は約9.5億円に達した。

クリュートメディカルシステムズは2013年4月、光学機器製造大手の HOYA(東証:7741)からスピンオフする形で創業。2015年12月に可搬型視野計「ヘッドマウント型視野計アイモ」を発売し、国内200の眼科施設に導入されている。視野の一部が失われる緑内障は有効な治療法が存在せず、基本的には早期に発見し症状の進行を遅らせることが有効とされる。眼科での一般的な視野検査では暗室が必要になり、片目ごとに遮蔽が必要になるため時間を要するが、アイモを使うことで半分ほどの時間で検査を済ませられる。

しかし、緑内障の患者や潜在患者には高齢者が多い。初代のアイモに使われていたヘッドマウントディスプレイは、重さが2キログラムほどあるため、高齢者が頭部に装着するにはやや重かった。同社ではその後、より使い勝手を良くした新モデル「アイモ vifa(開発名:スパロー)」を開発した。現在は、より汎用性が高く簡易的に使える「パフィン」を開発している。これらの視野計は眼科だけでなく運転試験場などにも設置できることから、頻繁な検査と眼科医との連携により、症状の早期発見が可能になる。

「パフィン」(開発中)
Image credit: Crewt Medical Systems

クリュートメディカルシステムズの視野計はまた、白内障や角膜混濁の症状確認に用いられるコントラスト確度検査、変視症や加齢黄斑編成の症状確認に用いられるアムスラー・チャート、色覚検査、斜視・弱視や眼球運動障害の症状確認に用いられるシノプトフォアなど、さまざまな視機能評価のプラットフォームとして応用することができるという。同社では今回調達した資金を使って、2021年に発売したアイモ vifa の量産化や、今春発売予定のパフィンの開発を加速する。

また、クリュートメディカルシステムズでは、アイモ vifa をすでに FDA(アメリカ食品医薬品局)登録済で、ハーバードメディカルスクールやユタ大学の協力を得て臨床評価の機会を獲得し、アメリカへの市場拡大を図る。緑内障は年齢とともにリスクが高まるため、高齢化が進んでいて、予防医療への関心が高い市場ほど事業機会が増えることが期待されるため、最初の海外市場としてアメリカを選んだ形だ。国際的な眼科学会や眼科医などの協力を得て、事業の国際展開をさらに進めるとみられる。

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