Google Cloud、企業向けサービスでジェネレーティブAI製品・サービスの提供を拡大

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Image credit: Google Cloud

Google Cloud は7日、新しく発表された多数の新しいツール、サービス、プログラムにより、企業が新たなテクノロジーを導入・活用するのを支援するためのジェネレーティブ AI をさらに大きく推進する。

この取り組みには、Vertex AI や Duet AIといった Google のジェネレーティブ AI 製品へのアクセス拡大、新しい教育プログラムやコンサルティングサービス、特定のユースケースのためのブループリント、DataStax、Neo4j、Twilio、Typeface といった企業とのパートナーシップ拡大が含まれている。

同社は、Vertex AI プラットフォームをより広く利用できるようにし、画像の生成、言語間の翻訳、テキストの要約などが可能な60以上の機械学習(ML)モデルへのアクセスを提供すると発表した。また、企業がジェネレーティブ AI を導入するための新しいコンサルティングサービスや、開発者の効率化やマーケティング部門におけるコンテンツ作成のスピードアップといったタスクのための AI アプリケーションのサンプルを含む「アクティベーションパッケージ」を発表した。

Google がビジネスユーザー向けにジェネレーティブ AI を導入したのは、この技術が広く注目され、採用されつつあることを受けてのことだ。Google の言語モデル「PaLM 2」ようなツールは、一貫性のあるテキストを生成することができ、画像生成ソフトウェア「Imagen」は、ユーザがゼロから写実的な画像を作成できる。しかし、このような複雑なAIシステムを開発・導入するには、かなりの専門知識とリソースが必要であり、Google はクラウドサービスやパートナーシップを通じて、その提供を目指す。

Google Cloud のジェネレーティブ AI が利用可能に

Google の機械学習(ML)プラットフォーム「Vertex AI」は、顧客のニーズに合わせたジェネレーティブ AI システムの開発・導入を全面的にサポートするようになる。そのモデルガーデン機能では、言語間の翻訳、テキストブロックの要約、説明文から写実的な画像の生成などが可能な、Google とそのパートナーによる60以上の事前学習済み AI モデルを利用できる。

Google は、自社のクラウドサービスやパートナーシップによって、多くの企業がジェネレーティブ AI の恩恵を受けるために必要な専門知識やリソースを提供できると考えている。Vertex AI で生成モデルとツールが新たに利用可能になったことは、オフィスソフトウェアやビジネスオートメーションにおける人工知能の役割が拡大することを示唆している。

新サービス「Generative AI Studio」は、本番使用の AI モデルをカスタマイズ、改善、管理するためのツールを提供する。これは、企業が業務や顧客に直接影響を与える AI システムの制御と監視を強化することを目的としている。

また、Google は、オフィス生産性スイートである Google Workspace 向けのエンタープライズ版 Duet AI を、数ヶ月のテスト期間を経て、予約販売を開始したと発表した。Duet AI は、Google のコラボレーションアプリ全体で生成モデルやその他のAIを使用し、文書の作成、データの視覚化の作成、会議での生産性の向上などの作業を支援する。

今回の発表は、人工知能を企業向けソフトウェアやサービスに組み込むというGoogleの広範な戦略を浮き彫りにするものだ。ソフトウェア開発、マーケティングコンテンツ作成、オフィス生産性向上のためのプラットフォームに AI を組み込むことで、Google は自社のクラウド技術の企業利用を促進する機会を得る。

新しい AI コンサルティングと教育の提供

また、同社のプロフェッショナルサービスグループ Google Cloud Consulting は、企業経営者、ソフトウェア開発者、Google Cloudの 顧客向けに、ジェネレーティブ AI を取り上げた複数の無料学習プログラムを開始した。さらに、検索の自動化、ドキュメントの要約、ビジネスプロセスの合理化、パーソナライズされたコンテンツの生成など、ジェネレーティブ AI の導入に焦点を当てた4つの新しいコンサルティングサービスを導入する。

今回のコンサルティングは、Google が強力な AI システムをより広く利用できるようにしたとはいえ、多くの企業がこのテクノロジーの恩恵を十分に受けるためには、実地での指導やサポートが必要であることを示唆している。特に、生成モデルは、特定の顧客ニーズやユースケースに合わせて微調整する必要がある場合が多い。この学習プログラムは、ジェネレーティブ AI とML に関する知識を、広く、そして戦略的なビジネス活用のために蓄積することを目的としている。

さらに、Google は、金融、小売、ヘルスケア、メディアなどの業界において、ソフトウェアエンジニアリングの生産性向上、マーケティングコンテンツ作成の加速、顧客体験の向上などのタスクにジェネレーティブ AI を適用する方法を示す最初のブループリントを発表した。これらは、企業がカスタマイズされた AI ソリューションを構築するための出発点となるもので、Googleやコンサルティング・パートナーがアドバイスを提供する。

今回の発表は、クラウド事業を通じて高度で複雑な AI システムの企業導入を推進する Google の野心を浮き彫りにするものだ。企業が戦略的なニーズに合わせて ML を導入できるよう、技術と人材の両方を提供することで、Google はAmazon や Microsoft といったクラウドのトップライバルにさらに対抗できると考えている。

新しい技術の活用を目指す従来型の企業は、社内の専門知識の発掘や構築に課題を抱えることが多い。Googleの動きは、昨年の売上高が262億8000万米ドルだった同社のクラウド事業が、AI やその他の技術へのアクセスだけでなく、それらを採用する方法についてのガイダンスも提供することを目的としていることを示唆している。

Google Cloud、AI エコシステムの提携を拡大

Google は、いくつかの主要なパートナーシップの拡大も発表し、競争ではなく協調によって企業の AI 利用を進めるという同社の戦略を強調した。

Googleは、Deloitte、Capgemini などとのコンサルティング会社の提携により、GoogleのAIプラットフォームやツール、特に画像の生成やテキストの要約といったタスクのための生成モデルについて15万人以上を訓練すると発表した。

また、組織内の検索の改善やマーケティング・コンテンツ作成の加速など、一般的な AI アプリケーションのテンプレートを提供する新しい「アクティベーション・パッケージ」を発表した。Google のコンサルティング部門は、データのパターンの解明、情報の要約、ビジネスプロセスの合理化、顧客に合わせたパーソナライズされたコンテンツの生成など、企業のAI活用を支援するサービスを提供する。

今回の発表は、外部企業とのパートナーシップや専門知識が、従来の企業における AI の幅広い利用を促進するという Google の信念を示すものだ。大規模なコンサルタント会社やテクノロジープロバイダーと協力することで、Googleは新たな産業への参入を拡大することができる。また、今回の提携は、エンタープライズ向けに Google の AI システムの実用的な使用例を実証することを目的としている。

パートナーシップや顧客との提携を重視する姿勢は、Google の最大のクラウド競争相手である Amazon や Microsoft が、企業との取引や技術導入を推進するために大規模な専門サービスグループを自社で構築してきた戦略とは対照的です。Google は、外部の企業と協力することで、社内に知識を蓄積することなく、新しい業界やユースケースに専門的な知識を提供することができる。また、このアプローチにより、Google は大手企業の顧客に対して、自社の AI やクラウドサービスをアピールすることが可能だ。

それでも、Google は自社のクラウドコンサルティングの拡大に投資を続けている。このグループは現在、数千人の従業員が顧客と協力してGoogle の技術を連携しており、企業が AI を導入する際に提供することを目指す内部と外部のリソースの混合を強調している。今回の発表では、機械学習のような複雑なツールがより広く利用されるようになるにつれ、ブレンドが有利に働く可能性があることが示唆された。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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