ゲイツ氏やメッシ氏訪問で注目集める、「百川-7B」「小可」「智星」などLLM続々——中国スタートアップシーン週間振り返り(6月12日~16日)

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「Xiaoke(小可)」
Image credit: CETC(中国電科)

本稿は、Technode(動点科技)が、6月12日〜6月16日に配信した「News Feed」記事の中から主要ニュースを翻訳したものです。

ゲイツ財団、創薬研究所に5,000万米ドルの支援を約束(6月16日)

6月15日、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、北京にある Global Health Drug Discovery Institute(GHDDI、全球健康薬物研発中心)への継続的な支援を発表した。同財団は、世界の最貧困層に深刻な影響を与える結核やマラリアなどの感染症を治療する救命薬の開発に向け、今後5年間で5,000万米ドル相当の資金を GHDDI に提供し、世界の健康増進に貢献するとしている。

GHDDI は、新薬研究に特化した独立運営の非営利研究機関だ。北京市政府、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、清華大学が関わる共同作業により、2016年に設立された。今回の資金提供の発表は、ビル・ゲイツ氏の訪中2日目と重なった。界面

「Sogou(捜狗)」創業者の AI スタートアップ、オープンソースのLLMを公開(6月16日)

検索エンジン「Sogou(捜狗)」の創業者 Wang Xiaochuan(王小川)氏が設立した AI スタートアップ Baichuan-Inc(百川智能)は、70億のパラメータを持つ大規模言語モデル「baichuan-7B」を15日に公開した。この発表は、新しい AI スタートアップの設立から2カ月後に行われ、同社の従業員は TechNode(動点科技)に対し、Sogou でこのモデルの訓練を開始したと語った。

中国のテック大手 Tencent(騰訊)は2021年9月、国内3位の検索エンジンの Sogou を買収し非公開(上場廃止)にした。Wang 氏が Baichuan の最初のマイルストーンと見なす baichuan-7B はオープンソースである。同社は、このモデルが最も影響力のある3つの中国語評価ベンチマークで「優れた結果」を達成したとしている。百川智能

メッシの「Taobao Live(淘宝直播)」出演、250万人以上の視聴者を集める(6月15日)

Lionel Messi 氏14日、Alibaba(阿里巴巴)のライブプラットフォーム「Taobao Live(淘宝直播)」で20分間のライブ配信を行い、250万人を超える視聴者を魅了した。このイベントは、e コマースインフルエンサーの Li Xuanzhuo(李宣卓)氏と、中国国営放送のサッカー解説者 He Wei(賀煒)氏が司会進行した。Li 氏は、Messi 氏の出演前、出演中、出演後のいかなる商業的側面も、Messi 氏とは無関係であることを明らかにした。

短い時間ではあったが、Messi 氏は中国訪問の感想やサッカー人生、将来の計画などを語った。Messi 氏が中国を訪れた感想や、サッカー選手としてのキャリア、今後の展望などを語った後、彼には端午の節句に食べるチマキが贈られた。Messi 氏はまた、22日から始まる3日間の伝統的な祝日を前に、中国語で「平和で健康な端午の節句」を見守るファンたちに祈りを捧げた。第一財経

ByteDance(字節跳動)、Nvidia に10億米ドル以上の GPU を発注(6月15日)

ByteDance(字節跳動)が今年、クラウドサービスや AI のための重要なインフラを確保するため、Nvidia に10億米ドル以上の Graphics Processing Unit(GPU)を発注していたことがわかった。さらに、クラウドコンピューティング事業を展開する別の非開示の企業も、少なくとも10億人民元(約200億円)相当の注文を行った。ByteDance の購入だけで、Nvidia が昨年中国で販売した商用 GPU の総数に迫っている。晩点

Didi(滴滴)、中国200都市で特急配達サービスを開始(6月14日)

配車サービスプラットフォームの Didi(滴滴)は13日、中国の200都市で特急配達サービスを開始した。ユーザが都市内で小さな荷物を「迅速かつ安価に」モノを送ることができるようになるとしている。現地の物流パートナー3社と共同で開始されたこのオンデマンドサービスは、食品、医薬品、書類など緊急に必要とされるものの配送を提供し、6月末までに300以上の都市に拡大する予定だという。

このサービスは、新規顧客獲得のため、15%割引キャンペーンを開始した。Didi は、2020年6月から家の引っ越しや貨物輸送サービスを提供しており、現在は Shaanxi Automobile Group(陝西汽車集団)と高速道路輸送用の自動運転トラックを開発している。滴滴

Miss Fresh(毎日優鮮)、IPO から2年で NASDAQ からの上場廃止に直面(6月14日)

中国のオンライン食料品配達会社 Miss Fresh (毎日優鮮)は13日、上場継続のための株主資本1,000万ドルという最低条件を満たさなくなったため、NASDAQ から上場廃止決定を受けたと発表した。同社の株式は、13日の取引終了時に10%近く急落して0.56ドルとなり、上場初日に記録したピーク価格から99.8%の下落を記録した。Miss Fresh は、NASDAQ Hearing Panel にヒアリングを要求し、ヒアリングのプロセスが終了するまで、上場廃止措置の停止を求めることを選んだ。

Miss Fresh は、2022年の決算をまだ公表していない。経営上の課題に直面した Miss Fresh は、昨年7月にオンデマンドの食料品配達サービスを停止し、大幅なレイオフを実施した。同社が長らく延期していた2021年の年次報告書を提出した11月までに、Miss Fresh の正社員は55人しか残っていなかったことがわかっている。毎日優鮮

AI 大規模モデルスタートアップ Zhixing AI(智星 AI)、プラグイン対応を開始(6月12日)

中国の AI スタートアップ Zhixing AI(智星 AI)は、プラグイン対応の新しいAIモデルを発売した。創業者兼 CEO の Zhang Chongyang(張重陽)氏は、これが中国初のプラグインサポートを提供するAIモデル製品であると主張している。Zhixing AI は現在、Bing Search やWolfram など7つのプラグインを連携しており、ユーザはリアルタイムの気象情報へのアクセス、複雑な数学的問題の解決、詳細な財務分析を行うことができるという。Zhang 氏は中国のテックメディア 36Kr(36気)の取材に対し、このモデルには App Store のようなエコシステムを想定しており、ユーザはこれらの相互接続されたプラグインを利用できるようになると述べている。

このエコシステムの開発は、今後数ヶ月間、Zhixing の主要な焦点となるだろう、と彼は付け加えた。Zhang 氏は以前、iFlytek(科大訊飛)、Microsoft、WeChat(微信)、Kuaishou(快手)な どの企業に勤務し、機械学習や AI の研究開発に力を注いでいた。Zhixing のチームは、Tencent(騰訊)、Alibaba(阿里巴巴)、Microsoft、Google などのトップテクノロジー企業出身の専門家で構成されている。現在、Zhixing AI は新しいラウンドの資金調達の準備をしている。36気

マイクロソフト、AI のトップ研究者を中国からカナダのバンクーバーへ移籍させる(6月12日)

Financial Times によると、Microsoft は、人工知能(AI)のトップ研究者の一部を中国からカナダのバンクーバーにある新しい研究所に移籍させている。Microsoft によると、この新研究所は、バンクーバーのエンジニアリングチームとの連携を強化するため、北京の Microsoft Research Asia(MSRA)本部と組織的に連携し、中国を含む世界中のさまざまな研究所からの研究者が配置される予定とのことだ。MSRA は、北京のエキスパートの新研究所への移転を促進するために、すでにビザの申請を始めていると、情報筋は Financial Times に語っている。Financial Times

CETC(中国電科)、進化したジェネレーティブ AI「Xiaoke(小可)」を公開(6月12日)

CETC(中国電科)の子会社は9日、北京で最新のジェネレーティブ AI モデル「Xiaoke(小可)」を正式に発表した。特殊なシナリオをサポートし、意思決定プロセスを支援するために設計された AI モデル Xiaoke は、中国の政府機関や企業のデジタル化を目指している。中国電科

【via TechNode】 @technodechina

【原文】

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