企業向けデジタルマーケティングツールに特化した SaaS（Software-as-a-Service）企業として13年の歴史を持つ Movable Ink が、ジェネレーティブ AI ゲームに真っ先に飛び込んだ。

同社は、OpenAI の 大規模言語モデル（LLM）「 GPT-4」を使い、ブランドの利用可能なオンラインコンテンツを自動的に参照し、ターゲットオーディエンスがクリックするような魅力的なメールの件名を作成する新機能「Generation Model」を発表した。

Movable Ink の CEO Vivek Sharma 氏は、VentureBeat の取材に対し、次のように述べあ。

件名、送信時間、頻度が、開封率を高める最も強力な要因です。Generation Model は、パーソナライズされた件名を可能にし、予測モデルは、送信時間と頻度を可能にします。Movable Ink の AI を利用している平均的なクライアントは、コンバージョンが19%向上し、収益が23%上昇しています。

このモデルは現在、クローズドベータ版として Movable Ink の一部の顧客に提供されているが、同社は、既存製品の AI Prediction、Vision、Insights モデルとバンドルして、「Movable Ink AI」という新しい統合ソフトウェアツールセットとして提供する。

プレスリリースで、Sharma 氏は Generation Model について次のように説明している。

当社のAI Prediction、Vision、Insightsモデルを強力に補完するもので、これらすべてがシームレスに連携し、マーケターを強化すると同時に顧客を喜ばせる、あらゆるブランドにとって Win-Win となるモデルと呼んでいます。私たちは、メールに根本的に異なるアプローチを導入し、マーケターが顧客の個々のニーズを真に理解し、行動を起こすことを可能にします。

ユニークな顧客プロファイルを生成する

Movable Ink の Insights Model は、進化する嗜好やエンゲージメントデータに基づいて独自の顧客プロファイルを生成し、マーケターはどのコンテンツが最も効果的で、オーディエンスに共鳴しているかを予測・報告することができる。これらのインサイトは、今後のキャンペーンを微調整し、より良い結果を導くために活用することが可能だ。

既存の Prediction Model は、エンドツーエンドのマーケティング メール自動化を可能にする。エンドユーザの行動や嗜好、過去のキャンペーンデータを分析し、理想的なコンテンツを自動的に選択し、新しいメールを作成、各エンドユーザにとって最も理想的なタイミングと頻度で送信し、エンゲージメントを最大化する。

Vision Model は、コンピュータビジョンと自然言語処理（NLP）を活用して、コンテンツ内のさまざまなビジュアル要素やテキスト要素を検出、分類、タグ付けするものだ。パターンを発見し、効果的なクリエイティブ要素を特定することで、マーケティング担当者はインサイトを導き出し、それぞれの受信者に合わせて戦略を自動的に調整することができる。

GPT-4 を使った Generation Model を追加することで、マーケティング担当者は、すべてのツールを組み合わせて、最も効率的にパーソナライズされた顧客メールを開発することが可能となる。

データの混在はありません。件名は、キャンペーンに合わせるというよりは、メールを定義する主要なクリエイティブ（つまり「メールの内容」）に合わせています。件名はまた、例えば興奮、好奇心、緊急性、懐かしさなど、さまざまな感情状態に合わせて調整されます。（Sharma 氏）

著名なブランドにも力を発揮

Lands’ End をはじめ、いくつかの著名なブランドは、すでに Movable Ink の AI 機能を活用し、600万人のアドレス可能な顧客に対して大規模なパーソナライズを実現している。

Lands’ End のチーフイノベーションオフィサー Sarah Rasmusen 氏は次のように述べた。

私たちはすでに、人間の作業負荷のキャパシティと規模でのパーソナライゼーションという点で注目すべき成功を目の当たりにしています。今後、私たちのチーム内で AI を活用し続けることは、正しい方向への明白な一歩です。それは、私たちがより速く、より良く、よりスマートに革新するための力を与え、例えば、私たちがお客様と関わる方法や新しい市場に迅速に浸透する方法に大きな影響を与えることを可能にします。

Movable Ink は、マーケティング担当の顧客にカスタマージャーニーのあらゆるタッチポイントでパーソナライゼーションを提供するとともに、ブランドが収益を最大化し、ワークフローを簡素化できるようにすることを目的としている。ニューヨーク市に本社を置き、500人以上の従業員が北米、中米、ヨーロッパ、オーストラリア、日本の顧客にサービスを提供している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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