デジタルグッズ版Amazon狙う「Whop」、ピーター・ティール氏ら1,700万ドルを出資/GB Tech Trend

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Image credit: Whop

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

ChatGPTのプラグインからTradingViewのチャートに至るまで、あらゆるデジタルグッズを販売するオンラインマーケットプレイス「Whop」がシリーズAラウンドでの1,700万ドルの調達を発表しました。投資家にはInsight PartnersやThe Chainsmokers、そしてPeter Thiel氏も名を連ねます。

Whopはインフルエンサーやデジタルブランドがデジタルグッズ(コミュニティへの参加権やオンラインコースなど)を出品できるマーケットプレイスを運営しています。実際、多く目に付くのはDiscordやTelegramコミュニティが展開するデジタルグッズやサービスです。しかし、一見すると同社が参入する領域には競合が多いように思えます。「Patreon」「Gumroad」「Shopify」に至るまで、デジタルグッズを展開できる大手サービスは数多くあります。Whopの狙いはどこにあるのでしょうか。

1つ考えられるのは、従来ソーシャル上で展開されていた広告やスポンサーコンテンツの市場の逆転を狙っているという点です。先に述べた「Patreon」「Gumroad」「Shopify」は、いずれもクリエイターやブランドが自分のデジタルグッズを展開するためのコマース機能付きのサイト作成を展開していますが、マーケットプレイスを運営しているわけではありません。そのため個人や各ブランドが独自にコンテンツ発信などをして、販売サイトへユーザーをたどり着かせる必要がありました。

そこで販売サイトへの流入フローを逆転させようとしているのがWhopです。ユーザーが一元的にデジタルグッズを検索できる場所ができれば、インフルエンサーやブランドは出稿していたデジタル広告費用を、そのままWhopのマーケットプレイス上のリスティング広告や検索結果の優先表示プランに充てる可能性もあります。Amazonが自社マーケットプレイス上で広告出稿するようにした戦略と同じです。まさにWhopはデジタルグッズ版Amazonのポジションを狙っていることが考察されます。

ただし、この戦略を満足させるにはAmazonほどの需要供給を発生させる必要があります。この点は競争市場を毛嫌いするPeter Thiel氏が投資家に入っていることから、何かしらの市場独占的な勝ち筋を見出しているのかもしれません。おそらく、Ethereum決済機能を兼ね備えていたり、クリプト系コミュニティと比較的強い繋がりを持っていたりすることから、OpenSeaにも掲載されない小口のデジタルグッズの大量出品など、次のWeb3トレンド到来時に跳ねる算段があるのかもしれません。

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