生成AI使いバズ動画量産や自動宣伝ツール、ラストマイル克服の新型ECなど7社登壇ーーMonthlyPitch、全社ご紹介

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創業期の起業家向けピッチステージ「Monthly Pitch」は10月11日に75回目となるイベントを開催しました。これまでに登壇した企業は557社で、今回は7社が新たにステージに登壇しています。会場とオンラインに集った投資家に向け、起業家たちはサービスのプレゼンテーションを披露しました。

本来は投資家と起業家のみの招待制・非公開イベントですが、本誌BRIDGEではメディアパートナーとして参加しております。本稿では登壇したスタートアップの内、公開できる7社の情報をお届けいたします(一部のピッチ内容は非公開となっています)。

(執筆協力:園田遼弥)

生成 AI で平均211万回再生の縦型バズ動画を量産 by ごっこ倶楽部

田中聡さん

Studio GOKKOCLUB が挑戦する領域は「エンタメ×生成 AI」です。この領域の課題は面白いコンテンツが誕生していないことです。日進月歩の AI の進歩に対して、人気を博すコンテンツが生まれていません。面白いコンテンツが生まれていない原因はシンプルで、制作コストがかかり過ぎてしまうためです。具体的には、1クールのアニメ制作費用は約5億円、ドラマの場合は約3億円で、制作期間も半年から2年ほどかかるケースがほとんどです。その結果、PDCA を回して質を高めることもできません。

GOKKOCLUB が手掛けるのは、最も加熱している縦型動画市場です。その中でも注目を集めているショートドラマカテゴリーにおける重要指標は、すべて独占しています。制作本数も年間500本と他を圧倒する本数です。量産可能な理由は縦型かつショートドラマで、コストが低いためです。2023年9月末時点でのオーガニック総再生数は、10億回を突破しました。

またごっこ倶楽部はクリエイター集団であるため、アーティストや他のクリエイターとのコラボも積極的に実施しています。有名アニメ作品の映画プロモーションや漫画の実写化、有名歌手の曲を主題歌にしたドラマ制作など、多くの話題作とのコラボ実績があります。

競合優位性は大きく2つです。1つ目は SNS でのバズを狙ってつくれることです。投稿した縦型動画は2本に1本が100万回再生を超え、動画の平均再生数は211万回にのぼります。2つ目は脚本から撮影、編集、分析に至るまでを社内で完結しています。これにより作品の全権利を保有できるため、コンテンツを使い回して PDCA を加速することが可能です。

縦型ショートドラマ市場は、127兆円もの市場規模が見込まれる。ごっこ倶楽部は生成 AI を駆使して、同市場で世界を獲りにいきたい。(田中氏)

店舗の顧客再訪率を向上させる自動宣伝アシスタント「ナッピー AI」by NappsTechnologies

榎本友幸さん

NappsTechnologies は、一人ひとりに合わせて AI が自動宣伝するアシスタント「ナッピーAI」を開発しました。有名グルメサイトにおける飲食店の集客は、新規獲得に偏っています。しかし、新規獲得のコストはリピーター獲得の約5倍かかります。一方、低コストのリピーター向け施策、たとえば空席の通知などは、効率的に配信できていない状況です。

そこで NappsTechnologies は、一人ひとりに合わせて自動宣伝するAI 宣伝アシスタント「ナッピーAI」を開発しました。まずは店舗ごとにカスタマイズしたアプリを作成し、顧客のお気に入りメニューや購買データを収集します。次に収集したデータをもとに生成 AI が一人ひとりにパーソナライズされた自然な文章を自動送信することで、顧客のリピート率を向上します。

ただ、飲食店といっても扱う食材やメニュー、ジャンルなどにより、販売方法や商品データがバラバラです。そのため一般的に店舗ごとに最適化したアプリはスクラッチ開発で、コストも高額です。しかし、NappsTechnologies ではノーコードのアプリ開発が可能です。具体的には、Figma のデザインデータからアプリを自動作成するもので、エンジニアが1週間かけて実装していたことも、わずか1分で完了します。また、デザインに対して役割を付与することで、お気に入りや予約など、機能をカスタマイズできることも特徴の1つです。

ビジネスモデルは月額制や手数料方式など、店舗の特性に応じた課金体系を選んでもらえます。中小規模の店舗には導入費用無料で来店数に応じた手数料方式を採用し、大規模店舗には月額もしくは年額の固定費で提供するケースが多いそうです。

(今後の展望として)飲食店だけではなく、美容室やマッサージ店、家具屋などの B2C の店舗ビジネス向けに、国内で5万社、120億円規模を目指してサービスを展開していく。(榎本氏)

アフリカの中小企業向け経営管理 DX アプリ「LINDA PESA」 by LINDA PESA

山口亜祐さん

LINDA PESA はアフリカのスモールビジネスオーナーの信用づくりに取り組んでいます。代表の山口氏は5年前に、とあるスタートアップ企業の経理部長としてタンザニアに渡った際、経営管理の面で多くの課題に直面したそうです。

たとえば決算期に在庫の実査に倉庫を訪れた際、倉庫に壁がなく品物が簡単に盗み出されてしまう状態であったり、仕入れ先と裏で交渉し不正ができてしまう状況であったりしたといいます。また、現地の経営管理台帳はミスや不正により、正確なデータが収集されていなかったそうです。

そこで LINDA PESA は経営管理アプリ「LINDA PESA」を開発し、アフリカのスモールビジネスのDXを実現しました。たとえばスーパーマーケットのレジ係員のスマホに LINDA PESA をインストールし、商品のバーコードを読み込んで売上を計上することで、ミスや不正を防止できます。

店舗オーナーは店舗を訪れることなく、管理画面で、売上状況や在庫数を確認可能です。あるべき在庫数と実際の在庫数を比較すれば、不正の早期検知にも活用できます。POS システムから、在庫、現金、経営管理を1つのアプリにまとめたことが LINDA PESA の強みであり、IT リテラシーが低いユーザでも簡単に使える仕様です。

アフリカのうち北アフリカを除いたサブサハラアフリカの人口は、2020年の8.5億人から2050年には21億人に増加する見込みです。中小企業は4,400万社あり、全企業数の90%超を占めます。これは全労働人口の80%以上が中小企業の従業員であることも意味します。しかし、4,400万社のうち金融サービスにアクセス可能な割合は20〜30%程度です。そのため、ほとんどのビジネスオーナーは、資金調達はもちろん、巨大なサブサハラアフリカのマーケットにアクセスすることすらできません。

多くの中小企業が金融サービスにアクセスできない原因は、正確な経営管理データが収集できず、信用情報が蓄積されていないためです。

「LINDA PESA」を活用して金融機関にアクセスできる中小企業を増やし、サブサハラアフリカの市場に、新たなマネー流動を創出していきたい。(山口氏)

共同購入の仕組みを DX した通販サイト「カカクナラ」 by 遊びまクリエイト

濵﨑貴識さん

遊びまクリエイトが提供するのはシェア購入の通販サイト「カカクナラ」です。カカクナラは生協型の共同購入の仕組みを、DX により、現代にフィットした形にするサービスです。しかし、遊びまクリエイトが目指すのは生協ではなく、価格で選ぶなら「カカクナラ」しか考えられない世界だといいます。

原油高・円安の影響を受け、2023年以降も食品や日用品は値上げが継続される見込みであることから、少しでもリーズナブルに買い物ができる仕組みが求められています。これを遊びまクリエイトは、生協的にまとめ買いし、ユーザどうしでシェアすることで実現します。カカクナラは、近隣に住む3〜5人グループで共同購入する仕組みにより解決します。

カカクナラで商品を購入すると、その地域の加盟店に1ケース単位で商品が配送されます。ユーザは加盟店に立ち寄り、ケースの中から自身の分の商品を受け取れるので、ユーザどうしで住所が知られてしまうリスクも防げます。さらに、1ケース単位で配送するため、個別配送するより配送料金が抑えられ、商品価格が安価です。この仕組みは特許も取得済みです。

また加盟店のクーポンを発行することで、ユーザが商品を受け取りに訪れたついでに買い物をすることを促します。さらに深刻化する物流の担い手不足も解消します。

まずは生協を利用していたり、生協が不便で退会したりした共同購入に理解のある層からアプローチし、最終的には大手ECサイトと肩を並べる存在まで成長したい。(濵﨑氏)

冷蔵・冷凍宅配を効率化し食品をお得に届ける「レコセレ便」 by レコセレ

白寧杰さん

レコセレはスマホでお得に注文し、店舗で商品を受け取れる食品 EC サイトです。食品のEC化率は5%未満と極めて低く、課題の多い領域といわれています。食品の EC 化率が低い理由は、BtoCの冷蔵・冷凍宅配の配送効率が悪く、コストが高いためです。冷凍の弁当宅配サービスや食品のクール便の送料は、1,000円前後と高額なケースが多く見受けられます。

レコセレは、提携店舗をハブとした新しい物流網「レコセレ便」を形成しています。ユーザはオンラインで商品を注文し、レコセレが提携する飲食店や美容室、スーパーなどで商品を受け取ることが可能です。配達を集約して効率化することにより、従来なら1,000円程度かかる冷蔵・冷凍便の送料を200円程度まで抑えることに成功しました。

レコセレの強みは、物流とマーケットプレイスの両方を運営していることです。レコセレは自社のマーケットプレイスに出品したい食品メーカーや食品卸売業者に向けて、販売およびローコストの配送を一気通貫でサポートしています。また、マーケットプレイスの食品に特化した UI/UX により、エンドユーザの購買を促進しています。

まずは食品卸売業者の出店を加速し、核家族世帯などによるまとめ買い需要に応えていく。その後は、需要が高まりつつある冷凍弁当・惣菜市場に参入し、最終的には食品全般を取り扱うECサイトに成長していきたい。(白氏)

多様なプロ人材と教育現場をマッチングする「複業先生」 by LX DESIGN

金谷智さん

LX DESIGN は「テクノロジーとコミュニティの力で社会の学びを共創する」をミッションに、複業で教師をしたい人材と学校をマッチングするサービス「複業先生」を展開しています。教育現場に求められる役割は、新しいキャリアや起業、金融、プログラミングに関することなど多様化しています。

しかし多様な教育は、教員の人手不足や、外部人材の安心かつ効率的な起用手段がなかったため、進んでいないのが現状です。そこで LX DESIGN は、世界中のエンジニアやクリエイター、起業家と教育現場をマッチングする「複業先生」を開発しました。複業先生を活用することで、民間人材の知見やネットワークを教育現場に手軽に導入可能です。

学校側はオンラインで導入したいテーマを選択し、審査を通過した外部人材に授業を依頼可能です。学校側が選びやすい UI/UX により、従来はすり合わせに時間がかかっていた授業の依頼もスムーズに完結します。学校単位や特定地域をまとめる教育委員会単位で登録可能で、オンボーディングのサポートも提供しています。

LX DESIGN のサービスには、DX の普及や規制緩和などの追い風が吹いているそうです。国内では3万5千学校で100万人の教員が働いており、国の20兆円の予算が投じられているのにもかかわらず、人手不足や教育の質の向上が進んでいないため複業先生のニーズは高まり続けています。

私自身、代々、校長を務める家系に生まれ、幼少期から教育現場で働くことを意識して過ごしてきた。そのため弊社では、教育現場への理解が深い運営オペレーションや学校教育に貢献したいという共感ベースのコミュニティを提供できる。(金谷氏)

メディカルプロダクト開発特化型の人材プラットフォーム「xCARE」 by xCARE(クロスケア)

福永将さん

xCARE は医薬品・医療機器開発を効率化する HR プラットフォーム「xCARE」を展開しています。医薬品開発の成功確率は3万分の1と非常に低いものです。xCARE はこの確率を高めることで、患者に新しい医療の選択肢を届けます。

現在、メディカルプロダクトの開発主体が、大手企業からベンチャー企業に移り変わりつつあります。そこで必要になるのが、外部人材の効率的な起用です。なぜなら、開発には一過性で専門性の高いタスクが多く、正規雇用ではトゥーマッチになるケースが多いためです。しかし、業界には外部人材を効率的に起用できるプラットフォームが存在しません。

一方、人材側のニーズとして、定年退職後にフリーランスとして働きたいシニア世代や、若手世代でも副業でスキルや稼ぐ力を身に付けたい人が増えています。しかし、既存のクラウドソーシングプラットフォームでは、自身のスキルが発揮できる理想の職場を見つけることが困難な状況です。

xCARE は世界初の、メディカルプロダクト開発に特化した、プロジェクトマネジメント機能がある人材プラットフォームです。ユーザは医薬品メーカーや医療機器メーカー、バイオベンチャーなど多岐にわたります。

メディカルプロダクト開発の業界で外部人材を効率的に活用するためには、業界に特化したプロジェクトマネジメントが必要不可欠です。そのため、xCARE には200名を超える日米欧の開発エキスパート人材が在籍しています。これにより企業は採用するよりも低コストで高品質な商品の開発が可能となります。

患者さんの笑顔のために、メディカルプロダクト開発×人材の領域で、これまでになかった新しい価値を提供していきたい。(福永氏)

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