微生物による分解技術で資源循環を加速するフレンドマイクローブ/KDDI ∞ Labo10月全体会レポ

蟹江純一さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

フレンドマイクローブは名古屋大学発ベンチャーで、取締役会長として名古屋大学院工学研究科の堀克敏教授が在籍しています。フレンドマイクローブのビジョンは、微生物がもつ可能性を示し、微生物と共に持続可能な社会を実現することです。微生物はヒトの体内や深海、ISS(国際宇宙ステーション)など、さまざまな場所で生息可能であり、微生物自体のポテンシャルから広く活用の可能性が模索されているそうです。

古くから微生物は資源循環に貢献しています。地球上の廃棄物を分解して、資源循環のサイクルに戻すことが微生物の大きな役割です。しかし、ヒトによる消費活動が活発化したことで分解が追いつかなくなり、その分を石油燃料で焼却処分しているのが現状です。

Image credit: Friend Microbe

フレンドマイクローブは、微生物のポテンシャルを引き出すことで、分解のスピードを加速させ、産業廃棄物の削減や資源循環の強化を実現します。具体的には、資源循環に課題を抱える現場で、微生物をどのように活用するかを研究しているそうです。

食品関連では、動植物油を効率的に分解する微生物を研究開発し、社会実装しています。フレンドマイクローブがターゲットにするのは、分離・精製が難しい廃棄油で、現在では凝集剤や化学薬品で物理的に分離し、産業廃棄物として石油燃料で焼却処分しているものです。これを微生物で分解できれば、産業廃棄物がなくなるため、トータルでGHGの削減にもつながります。ほかにも現在は、機械油の分解についても研究開発しています。

市場としては、人口増加に比例して増える動植物油だけでも大きいそうです。また、もともと動植物油よりも排出量が多い機械油の市場も大きく、さらにロボット産業の発展に伴い拡大していくといいます。今後の展望としては、産業廃棄物を微生物で単に分解するのではなく、有用な物質に転換することも目指して研究開発を進めていくそうです。

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