LLMアプリ開発基盤のAllganizeが31億円、インスリンパッチのCareMediが29億円調達——韓国スタートアップシーン週間振り返り(11月6~10日)

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Image credit: Allganize, CareMedi

11月6日~11月10日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは9件で、資金総額は1,501億ウォン(約172億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • LLM オールインワンソリューション「Allganize(올거나이즈)」が270億ウォン(約31億円)を調達した。同社は現在、200以上の機関や企業に AI ソリューションを提供している。最近、自然言語の質問に対し正確な答えを見つける AI 認知検索ソリューション「Alli Answer(알리 앤서)」にジェネレーティブ AI 技術を導入し、「Alli LLM オールインワンプラットフォーム」に拡張した。2025年に日本での上場を目指す。
  • ヘルスケア開発会社 CareMedi(케어메디)が260億ウォン(約29億円)を調達した。従来製品に比べ1.5倍多い300単位(3ml)を搭載しながら、重量と厚さは3分の2に減らしたパッチ型インスリンポンプ「CareLevo(케어레보)」を開発した。調達した資金は、研究開発、生産技術の確保に活用される予定だ。
  • デジタルヘルスケア企業 DoBrain(두브레인)が210億ウォン(約23億円)を調達した。アプリベースの小児開発ヘルスケアサービス運営、子供のためのオーダーメイド認知訓練プログラムを提供している。自閉症患者のためのデジタル治療薬の開発研究を進めている。
  • 脳疾患映像 AI ソリューション「Neurophet(뉴로핏)が200億ウォン(約22億円)を調達し、2016年の設立以来の累積調達額は500億ウォン(約57億円)に達した。同社は、AI を活用した脳映像分析技術をベースに、アルツハイマー性認知症関連のトータルソリューションを来年にローンチする計画だ。
  • デジタルヘルスケア企業 MeZoo(메쥬)が既存株主らから180億ウォン(約20億円)を調達した。同社は、遠隔患者リアルタイムモニタリングプラットフォームを開発しており、今回の調達で評価額は1,200億ウォンと認められた。
  • クラス購読サービス「Class 101(클래스101)」が160億ウォン(約18億円)を調達した。同社はグローバル統合サブスクプラットフォームをローンチし、趣味、キャリア、マネー、キッズなど5,300以上のクラスを運営している。調達した資金により、サブスクサービスの高度化を計画している。

トレンド分析

消えた物流スタートアップ投資は回復するか?

物流・配送サービスは、今年の投資の冬の直撃弾を受けた分野だ。Startup Recipe データによると、この領域スタートアップが10月までに調達した資金は556億ウォンにとどまった。2021年の4,355億ウォン(約500億円)、2022年の4,005億ウォン(約460億円)と比べると、大きく落ちた数値だ。食品 B2B 流通ソリューション「Smart Food Network」の400億ウォンの調達が最高額で、昨年の最大の調達額が1,600億ウォン(180億円)だったことを考えると、今年の下落幅がどれだけ大きいかがわかる。件数も昨年同期比43%下落したことが分かり、100億ウォン(約11億円)以上の大規模調達は5月以来、一社も無かった。

物流・配送スタートアップは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大きくなった。e コマースの高まりの恩恵を享受し、ここ数年間急速に成長したが、市場の低迷が本格化し、e コマースの成長傾向も鈍化したことで、VC もこの分野の投資を減らしている。詳細分野では、ラストマイル配送、物流自動化、貨物輸送仲介などがある。

特にユニコーンを夢見て資金調達競争を行ったラストマイル配送スタートアップのニュースは完全に消えた。経営難に陥った各社は、従業員を減らすのはもちろん、経営権を売却したスタートアップも出てきた。マイクロフルフィルメントをはじめ、物流センターを拡大し市場先取する戦略も、調達市場が凍りついたことで修正されている。ラストマイルスタートアップと業務協力を推進していた流通大企業も関心を集めたようだ。実際、政府が発表した上半期の起業動向を見ても、世界的景気の鈍化、輸出入不振などの影響で道路貨物運送業などの分野の創業減少が目立ったことが分かった。

不振な市場状況にもかかわらず、物流市場のデジタルトランフォーメーション(DX)を導く技術スタートアップは着実に登場している。AI・ロボットを活用し、配送・包装・分類・在庫管理など効率性に集中した物流自動化ソリューションが代表的だ。初期発展段階にある企業であるため大規模な資金調達はまだ難しいが、市場回復に伴い変化する市場トレンドに応える技術力を備えた企業なら資金調達の機会があるようだ。

物流・配送サービス分野の投資の冬は当分続く模様だ。しかし、長期的には物流市場の DX が加速すると予想されるほど、技術力を備えたスタートアップ成長の可能性はあると考えられる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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