台湾のAIスタートアップiKala(愛卡拉)、31億円をシリーズB+調達——中華電信がリード、アジア展開強化へ

Photo by Lin Zhiyuan(林芷圓)氏

台湾の AI スタートアップ iKala(愛卡拉)は26日、Chunghwa Telecom(中華電信)がリードしたシリーズ B+ ラウンドで、2,080万米ドルを調達したと発表した。これまでに調達した資金の総額は5,000万米ドルを超えた。同社はこれまでに Wistron(緯創)、Hotung Group(和通創投集団)、Pacific Venture Partners(怡和創投)、Cherubic Ventures(心元資本)などから出資を受けている。

iKala の共同創業者兼 CEO Sega Cheng(程世嘉)氏は、新たな資金調達は2つの点に適用されると述べた。

  1. AI のコア技術への投資を強化し、iKala AI Lab(AI 研発中心)を設立。AI コンサルティングサービスの提供を加速させる。

iKala AI Lab には140種類の AI と言語モデルがあり、累積26億を超えるパラメータを持ち、200の国の言語を認識して推論でき(GPT-4は約17億5,000万パラメータ)、50人の専門家がコア技術の開発に携わっている。(Chung 氏)

  1. 海外市場の拡大 …… 台湾と日本に次いで、東南アジア市場への展開を続ける。

AI は過去2年で急速に発展し、より高速な進歩はこれからが本番だ。すべての産業が AI を活用する必要がある。私たちはこの時期に、通信大手と共に AI への変革を遂げ、その経験を世界に持ち込めることを嬉しく思う。両社はクラウド、AI などの分野で戦略的協力を行い、企業の AI 変革の実現、ハイブリッドクラウドや CDP(顧客データプラットフォーム)の付加価値サービスなどのITソリューションの展開を支援する。(Chung 氏)

iKala のチームは、現在 IPO 計画の準備を進めているが、上場のタイミングと場所はまだ検討中だと語った。

Chunghwa Telecom(中華電信)企業顧客事業部総経理 Pen-Yuang Chang(張本元)氏、iKala (愛卡拉)の共同創業者兼 CEO Sega Cheng(程世嘉)氏
Photo by Lin Zhiyuan(林芷圓)氏

2つのコア事業

iKala には現在、「iKala Cloud」と「ikala MarTech」の2つの主要事業がある。

  1. iKala Cloud …… マルチクラウドインフラで企業のクラウド基盤の強化、運用効率の向上、イノベーションと研究開発の加速を支援する。
  2. iKala MarTech …… インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「KOL Radar」を含み、顧客のウェブマーケティング戦略の分析、適切なインフルエンサーの選定を支援。さらに「iKala CDP」では、データ収集、統合管理、機械学習、分析モデリング、マーケティングオートメーションまでのサービスを提供し、顧客関係の強化を支援する。
Image credit: iKala(愛卡拉)

KOL Radar は最近、競合製品分析の新機能をリリースし、KOL Radar の独自の大規模データ分析を通じて、ブランドは選定された競合の SNS パフォーマンス追跡が可能に。iKala提供

チームは最新の収益構造について、クラウド(iKala Cloud)が60%、マーテック(ikala MarTech)が40%を占め、両事業の収益比率が徐々に近づいていると説明した。

2023年末時点で、iKala は世界1,000社以上の企業、5万社以上の広告主とブランドに対してサービスを提供しており、これには多くの Fortune 500 企業を含む。サービス提供地域は台湾、日本、韓国、香港、シンガポール、タイ、香港、マレーシアなどに及ぶ。

KOL Radar は最近、競合製品分析の新機能をリリースした。この機能では、KOL Radar の独自のビッグデータ分析を通じ、ブランドが SNS パフォーマンスを追跡できるようになった。
Image credit: iKala(愛卡拉)

さらに、iKala のインフルエンサーデータベースには、約300万人のグローバルインフルエンサーリストが蓄積されており、ブランドがターゲット市場に合わせて各国のインフルエンサーデータを取得し、AI のインフルエンサーデータを活用して海外の未知の市場を開拓し、さまざまな市場のインフルエンサーマーケティングのトレンドと課題を把握し、国境を越えた宣伝の障壁を下げることができる。

Chunghwa Telecom 企業顧客事業部総経理 Pen-Yuang Chang(張本元)氏は次のように語った。

今回の投資は単なる金融取引ではなく、Chunghwa Telecom と iKala の戦略的提携の始まりだ。iKala が金融、小売、製造業などの顧客から得てきた豊富なデータと、10年以上にわたる AI 研究開発の実績から、さらなるビジネスチャンスを創出できる可能性に期待して、今回の協業に繋がった。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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