ギフトを贈ることはよくあることだが、ファンがアイドルに贈りたい場合、どこに送ればいいのかというジレンマがある。
Throne は、クリエイター(またはアイドル)とファンの間の「ファイアウォール」であり、クリエイターは Throne を通じてウィッシュリストを作成することができ、ファンはリンクをクリックしてクリエイターからリストの商品を購入することができる。Throne はクリエイターとファンの間で、双方の住所と決済情報が開示されないことを保証する。
些細なギフトに見えるかもしれないが、それは大きなビジネスチャンスになり得る。Throne は設立から3年で、すでに利益を上げている。
Throne でギフトを受け取ったクリエイターは40万人以上
Throne は2021年以降、40万人のクリエイターに利用され、毎日20万人以上のクリエイターに数千のギフトオプションを提供しているという。
これまで、一部のクリエイターは自宅の住所を公開する必要がないように郵便局から私書箱を借りる方法を選択し、プライバシーの懸念を軽減してきた。私書箱は、クリエイターが自分の住所を明かしたくないという問題を解決する一方で、ロッカーのサイズや容量が限られているため、多くの困難があった。
Throne の共同設立者 Patrice Becker 氏と Leonhard Soenke 氏はシリアルアントレプレナーで、前プロジェクトのカレンダー管理アプリ「Meeter」を終えた後、ギフト贈呈の煩わしさからクリエイター仲間を助けるために Throne を立ち上げた。
クリエイターが Throne にアカウントを作成すると、ウィッシュリストを投稿したり、クラウドファンディングを立ち上げたり、Instagram や Discord などのソーシャルメディアと連携したりすることができる。ウィッシュリストは、Nike、Amazon、Zara など、Throne が提携しているブランドから調達される。ファンがクリエイターへのギフトを購入すると、Throne はその取引に手数料を請求し、これらのブランドは匿名でクリエイターに商品を送ることに協力する。
投資家に資金を返却
興味深いことに、Throne は最近、投資家に資金を返却し、シリーズ A ラウンドの資金調達を中止した。
Throne が事業の初期段階で資金調達に SAFE を採用したことは注目に値する。
SAFE(Simple agreement for future equity)は、多くの投資計画に対応するため、2014年に Y Combinator が仮契約の簡易版として導入したものだ。法的には融資ではなく出資金の前払という性格を持っていて、契約書には「次回の投資契約の内容も認める」といった簡略化された条項が盛り込まれることもある。これにより、投資家はすぐに出資金を支払うを行う必要があるが、株式は後日取得することになる。
SAFE を通じて個人投資家から調達した資金は少額だったが、個人投資家と迅速に契約できたことで、Throne は最初の開発資金83万米ドルを迅速に確保することができた。
プライバシーの危機に直面
昨年、Throne はセキュリティ侵害の犠牲となったため、今年も Throne が利益を上げ続けるかどうかが注目される。
ドイツのサイバーセキュリティ研究チーム「Zerforschung」は、Throne の Amazon アカウントが Amazon のセッションクッキーを通じてアクセスできたと主張した。研究者によると、Throne の Amazon アカウントがハッキングされると、誰でもログインして数千件の注文と購入者の名前と住所を閲覧することができたという。
Throne も事件後に声明を発表し、プラットフォームのセキュリティシステムは完全に更新され、データセキュリティは今後同社にとって主要な焦点になると述べ、事件についての詳しい説明はないとした。
台湾のスタートアップ Giftpack もこのサービスをターゲットにしており、AI によるレコメンデーション、カスタマイズされたギフト、その他の機能を法人向けギフトに提供している。AI の時代になっても、人間同士の交流や愛情は代替できないのかもしれない。
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