傘、オフィス空間、自転車、EV充電——4つのシェアリングサービスが「ChargeSPOT」と連携

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左から:Nature Innovation Group 代表取締役 丸川照司氏、INFORICH 代表取締役社長 秋山広宣氏、ドコモ・バイクシェア 代表取締役 武岡雅則氏、プラゴ 取締役CTO 岡田侑弥氏
Image credit: Masaru Ikeda

ChargeSPOT」を運営する INFORICH(東証:9338)は18日、シェアリングエコノミー分野の企業複数と連携を発表した。自転車、傘、オフィススペース、EV 充電など、これまでバラバラだったシェアリングサービスを単一のプラットフォームで利用できるようにする試みだ。

ChargeSPOT は、全国の街角でレンタルできるモバイルのためのバッテリ貸出サービスだが、シェアリングサービス各社との連携により、より多くのユーザへのリーチを狙う。ChargeSPOT の国内の設置台数は約42,400台(2023年12月時点)、課外を含む iOS アプリのダウンロード数は788万件。

この連携は、かねてから INFORICH が提供するアプリ「ShareSPOT」の機能を ChargeSPOT のアプリにも搭載することで実現した(iOS が先行対応、Android は後日対応)。

連携するパートナーは、自転車シェアのドコモ・バイクシェア、傘シェア「アイカサ」を提供する Nature Innovation Group、レンタルオフィススペースを展開する「いいオフィス」、EV 充電スポット「PLUGO」のプラゴ。また、後日、ここに荷物預りの ecbo も加わることが明らかになっている。

Image credit: Masaru Ikeda

INFORICH 代表取締役社長の秋山広宣氏は18日、都内で開かれた記者会見で次のように話した。

単に各サービスを束ねるだけでは意味がありません。一つのインターフェースから横断的に利用できることで、利用者の利便性が飛躍的に向上します。加えて、相互の顧客獲得の相乗効果や、新たなビジネスチャンスの創出、ブランド価値の向上などのメリットも見込まれます。

実際、利用者にとってはサービス毎に面倒なアプリのダウンロードや利用登録をする必要がなくなり、 ChargeSPOT アプリ一つで完結できるようになる。ユースケースとして、例えば、雨の日に急きょ傘が必要になった場合、従来ならば、アイカサのアプリを持たないユーザは新たにインストールする必要があったわけだが、こうしたシーンでも ChargeSPOT からの操作で、アイカサのスポットの検索と貸出操作が可能になるわけだ。また、各シェアリングサービスにとっても、新ユーザ獲得のチャネルになる可能性がある。

今回のスキームでは、ChargeSPOT が他のシェアリングサービスに送客した際に、ChargeSPOT が各社から手数料を受け取ることになるが、中長期的には決済やポイントの相互利用などの発展形も想定されている。例えばドコモ・バイクシェアで ChargeSPOT の保有ポイントを利用したり、アイカサで還元を受けたり、シームレスなエコシステム構築が期待できるだろう。今回 ChargeSPOT が「信頼できるブランド」と位置づけた企業には、それぞれシェアリングサービス業界の中核企業が名を連ねた。

Nature Innovation Group 代表取締役 丸川照司氏
Image credit: Masaru Ikeda

今回の連携に参画した理由は、日本ではオンラインとオフラインのサービスが分断されているためです。中国では WeChat(微信)や Alipay(支持宝)のようなアプリ(スーパーアプリ)で全てが完結しますが、日本ではそうしたプラットフォームがありません。ChargeSPOT ユーザの一部が私たちの潜在顧客になり得る相乗効果が期待できます。(Nature Innovation Group 代表取締役 丸川照司氏)

我々のサービスは全国58エリアで展開しており、北は北海道から南は沖縄まで幅広く展開しています。バイクシェアはマイクロモビリティの一種で、昼間人口の多い都市部で多く利用される傾向にあります。今回の ChargeSPOT との連携により、バイクシェアの認知が進み、新規顧客獲得が見込めると期待しています。(ドコモ・バイクシェア 代表取締役 武岡雅則氏)

ドコモ・バイクシェア 代表取締役 武岡雅則氏
Image credit: Masaru Ikeda

INFORICH では、こうしたシェアリングサービス連携の展開地域について国内に留まらず、海外への展開も視野に入れているという(ChargeSPOT は現在、日本に加え、香港、タイ、台湾、中国、シンガポールで展開)。今回日本で連携することになったシェアリングサービスが海外現地でサービスを提供できるようになるかどうかはケースバイケースだろうが、モバイルバッテリの街角貸し出しサービスを起点に、シェアリングサービス各社が連なってスーパーアプリ化していくアプローチは興味深い。

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