ADBRO 台湾支社の責任者 Matt Liou （劉暐之）氏は、最近の台湾市場参入の経緊を語った。

私たちは、ネットワーク広告のブームが落ち着いた後、市場（の勝敗）は最終的にはサービスの本質に戻ると信じている。

一般的なネットワーク広告（アドネットワークで配信される広告）とは異なり、新規参入組の ADBRO は自然言語処理と画像視覚処理技術を導入し、読者の文脈に合わせたネットワーク広告を提供している。web サイトのレイアウトを変更することなく、一方で広告主のための広告効果の最大化を、他方で読者のためのユーザフレンドリーな広告推奨を実現している。

例えば、次のような体験があれば、ADBRO のサービスをよく理解できるだろう。web サイトを閲覧したり記事を読んでいる時、さまざまな広告やポップアップウィンドウに邪魔され、閉じるボタンが見つからず困ったことはないだろうか。広告主にとっては広告の効果が得られないのは問題だが、消費者の反発を招くことはさらに深刻な問題となる。

当初は東南アジア市場に注力していた ADBRO チームは、台湾域外での経験を積む一方で、台湾市場を注視し続け、2023年9月にオールドルーキーとして市場に参入した。

AI × 広告で、コンテンツと調和を目指す

ADBRO は完全にリモートで構成されたチームで、最初は Artem Titov 氏、Alexander Shvetsov 氏、Alexander Shulzhenko 氏によって設立された。3人はいずれもヨーロッパ出身だが、最終的にはシンガポールで会社を設立し、ベトナムを主要市場に選んだ。

ADBRO チームとベトナムとの関係は、「検索エンジンスタートアッププログラム」への招待から始まった。ポータルサイト NAVER の韓国での成功を目の当たりにし、ADBRO チームは Google と競合する検索エンジンをベトナムで開発することを望んでいた。

しかし、プログラムの実施過程で、アジア太平洋地域の広告業界に多くのチャンスがあることに気づき、さまざまな経験から独自の広告市場への見解を積み重ねた。後に Y Combinator（YC）のオンラインコース「Startup School」に参加した際、現 OpenAI の CEO サム・アルトマン（Sam Altman）氏指導の下、ADBRO チームは広告分野に AI／ML テクノロジーを導入することで、AI が広告業界での足場を確立する鍵となることを学んた。

広告に AI を導入するとはどういうことだろう？

従来のデジタル広告は読者の閲覧体験を犠牲にすることが多い。例えば、ユーザがニュースサイトを開くと、すぐに全画面の広告に遮られたり、誤ってクリックして販売サイトに強制的に誘導さたりすることがある。また、広告の内容も多くの場合、ニュースサイトの内容やユーザの関心とは無関係だ。

そこで ADBRO チームは、広告効果を最優先する配信と、読者の体験およびコンテンツとの間にバランスを見出せないかと考えるようになった。

AI を導入することで、読者の文脈やニュースコンテンツにより適した広告を推奨でき、さらにレイアウトを再設計することで、閲覧体験の向上も期待できる。これが ADBRO の独自性となっている。

従来からの課題に新しいソリューション

しかし、台湾ではネットワーク広告の歴史は長く、Liou 氏も、企業と契約交渉をする際、「ネットワーク広告」という言葉を聞くと拒否されることが多かったと率直に語る。

私たちは、こうしたのレッテルをはがそうと常に試みています。（Liou 氏）

なぜなら、ADBRO の広告配信とデザインロジックは従来の事業者とは全く異なるからだ。

ADBRO が提案する侵襲性の低い広告サービスは、1記事に1広告しか入らない。自然言語処理と画像視覚処理技術で、画像や記事を要素分析し、自動的に適切な製品を広告主に提案し広告配信する。

例えば、ユーザが肌や美容に関する記事を何度も読んでいた場合、ADBRO システムは自動的にユーザを同様の製品推奨の対象にカテゴライズする。そして肌の状態を説明する記事を読んでいる際に、関連する広告がその記事に挿入されるのだ。

また、ADBRO では、記事の画像枠に広告を埋め込むことで、ポップアップ広告やフルスクリーン画像のような侵襲性の高いマーケティング手法を避けられる。広告を見たくないユーザはスクロールしてスキップできるので快適だ。

メディアと広告の橋渡し役としての ADBRO は、メディア側と広告枠の提供について交渉し、将来の広告露出実績に応じた料金を支払う。同時に広告主とも交渉し、適切なメディアを推奨して広告マーケティングを行い、プロジェクトベースで料金を徴収している。

台湾市場への参入が遅れたものの、ADBRO チームは競合他社の動向を入念に観察・分析し、加えてアジア市場での長年の経験を生かすことで、今後も着実に台湾の企業とつながりを築き、台湾市場での存在感を高めていく考えだ。

【via Meet Global by Business Next（数位時代） 】 @meet_startup

【原文】