金融機関のAI利用を「正しく」支援する AI リスク管理 ValidMind、シード資金を獲得

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Credit: VentureBeat made with Midjourney

AI リスク管理スタートアップの ValidMind が銀行の規制遵守を支援するため810万ドルを調達した。

ValidMind は金融機関向けの AI とモデルリスク管理に特化したスタートアップだ。同社は本日(訳註:原文の掲載日は3月27日)、シード資金として810万ドルを調達したと発表した。このラウンドは Point72 Ventures が主導し、他の複数のベンチャーキャピタル企業も参加した。

この新たな資金調達は、銀行が AI の利用拡大を迫られる一方で、これらのテクノロジーが規制に準拠していることを確認する必要があるという中で行われた。Consumer Financial Protection Bureau のレポートによると、チャットボットを使用する銀行は、顧客に不正確な情報を提供するリスクがあり、消費者の信頼を損なう可能性があるという。さらに、EU’s AI Act や、提案されている U.S. AI Bill of Rights などの新しい規制は、銀行における現在のモデルリスク管理(MRM)プロセスとレガシー MRM システムの限界を押し上げているのだ。

ValidMind の CEO 兼共同設立者である Jonas Jacobi (ジョナス・ヤコビ) 氏が最近 VentureBeat とのインタビューで説明したように、「金融機関の MRM チームは、ビジネス側からはより多くの AI ソリューションをより速く展開するよう圧力をかけられ、規制当局からはコンプライアンスを確保するよう圧力をかけられるなど、対応に苦慮している」のだ。

ValidMind がコンプライアンスを支援する方法

Jacobi 氏は、米国の SR 11-7のような現行の規制は、AI について明示的に言及していなくても、すでに AI モデルをカバーしていると説明した。「米国の銀行は、すでに規制を受けているため、他のすべての銀行よりも先行しているだろう」と彼は述べた。

しかし、ほとんどの銀行におけるモデルリスク管理プロセスは、広範な手作業を伴うものだ。「我々のクライアントと話をしていると、モデルリスク管理チームの努力の約30%が、手動でこれらの記録を更新することに費やされていることがわかる」と Jacobi 氏は述べた。

ここで ValidMind の出番となる。同社のプラットフォームは、規制遵守に必要なモデルの文書化、テスト、検証プロセスの一部を自動化するのだ。

Jacobi 氏によると、「年間40万ドルのフルロードのデータサイエンティストが、50%を文書作成に費やしているとすると、その80%を自動化できれば、週に16時間の節約になる」という。

彼は、これにより金融機関がイノベーションを妨げることなく AI の採用を加速できると考えている。「規制がイノベーションを阻害するとは思わない。適切なツールを適用しなければ、そうなるだろう」と Jacobi 氏はコメントした。

AI ガバナンスソリューションへの投資家の関心

今回の新規資金調達は、銀行が AI の利用を拡大するにあたって、ValidMind が長期的なパートナーとしての地位を確立するという目標を支援するものだ。同社はまた、営業、マーケティング、カスタマーサクセスチームの拡大も計画している。

Jacobi 氏はまた、今回の資金調達の成功は AI ガバナンスソリューションへの投資家の関心を示していると述べた。

「大幅にオーバーする資金を獲得できたこの資金調達ラウンドの成功は、企業とチームにとって非常にエキサイティングなことでした」。

今回の新規シードラウンドにより、同社の総資金調達額は1,110万ドルに達した。AI モデルリスク管理はまだ初期段階の分野だが、ValidMind のソリューションは、金融サービス分野における AI イノベーションと規制の交差点に特化しているようだ。

AI の「認証機関」になる

Jacobi 氏は、最終的に ValidMind を「認証機関」に進化させ、銀行のモデルリスク管理スタッフの負担を軽減するためのオンデマンド検証サービスを提供することを構想している。彼は ValidMind の長期的なビジョンを次のように説明した。

「我々は、企業が AI の導入にさらなる信頼を加えるのをどのように支援できるでしょうか。それには、今日我々が行っている規制要件に関する一種の小さなリスク AI リスク、コンプライアンス面での支援が明らかに含まれます」。

AI が金融サービスにおいてより重要になるにつれて、ValidMind は AI モデルのライフサイクル全体にわたって整合性を確保することを目指している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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