これは、CyberAgent Pitching Arena 2024年版の取材の一部だ。

サイバーエージェント・キャピタル（CAC）は20〜21日、東南アジアのスタートアップと投資家が参加するピッチイベント「CyberAgent Pitching Arena」の2024年版をタイ・バンコク市内で開催した。日本や東南アジアから10社が登壇し、数十名の投資家が参加した。

サイバーエージェント・キャピタルではかねてから国内スタートアップや投資家を対象に「Monthly Pitch」を開催しているが、その国際展開として、2019年にジャカルタで海外版 Monthly Pitch を開催。以降、2021年1月に第2回目となる東南アジア版では「Monthly Pitch Asia」として、2021年9月に開催された第3回から「CyberAgent Pitching Arena」として運営している（2022年のピッチの様子はこちら）。

イベントでは、サイバーエージェント・キャピタルの取締役・パートナーの北尾崇氏による開会の辞に続き、インドネシア、ベトナム、タイ、日本からのスタートアップ10社がピッチを披露。続いて、投資家から寄せられた質問に対して回答する Q&A セッションが展開された。投資に関心を持った投資家は今後、各スタートアップの代表らにコンタクトすることになる。

今回は、ピッチ登壇したスタートアップ10社のうち、Men Stay Simplicity を取り上げる。

Men Stay Simplicity（ベトナム）

Men Stay Simplicity は、2019年にベトナムでローンチした男性向けパーソナルケアブランドだ。手頃な価格で高品質な製品を提供することをコンセプトとし、当初はスキンケア製品に特化していたが、現在では髪とボディケア製品にもラインナップを拡大している。この戦略的な製品展開が、ブランドの急成長に大きく寄与した。

Men Stay Simplicity は現在、ベトナムで主要な男性用スキンケアブランドの一角を占めており、月間25万人ものサブスクユーザを抱えている。この成功の背景には、シンプルさと科学的アプローチを重視した製品開発がある。創業者で CEO の Hoang Tuan 氏は、「シンプルで理解しやすく、使いやすい製品を提供することが我々の基本理念です」と強調している。

Tuan 氏自身も若い頃にニキビに悩まされた経験があり、その体験がブランドの方向性に大きな影響を与えた。彼はまた、ユニリーバでの7年間にわたるサプライチェーン経験を活かし、高品質な原料調達と効率的な製造プロセスを実現していて、これが原価率を20%以下に抑えながら、競争力のある価格設定を可能にした。

自分自身の経験から、ユーザの悩みに深く共感できます。それが製品開発の原動力となっています。（Tuan 氏）

Men Stay Simplicity は現在、ベトナム最大の e コマースプラットフォームで「Shopee」と「TikTok Shop」で急速に成長しており、男性向けブランドのトップ10に入っている。また、特筆すべきは、TikTok Shop では男性用スキンケアブランドとして唯一の地位を確立していることだ。

ベトナムの男性用スキンケア市場は、2028年までに1億ドル規模に成長すると予測されている。この成長市場でのリーダーシップを獲得するため、Men Stay Simplicity は製品ラインの拡大と流通チャネルの強化を計画している。具体的には、現在の e コマース中心の販売戦略に加え、実店舗での展開も視野に入れているという。

さらに、同社は革新的な成分や技術を積極的に取り入れた新製品の開発にも注力しています。例えば、肌を瞬時に2度冷却する成分を配合したシェービングクリームの開発など、ユニークな製品開発を進めている。Tuan 氏は、Men Stay Simplicity を、今後10年でベトナムを代表するコスメティック企業の一つに成長させる強い意欲を示した。

男性用スキンケア市場はまだ成長の初期段階にあり、今後10年間で大きな拡大が見込まれます。我々には大きなチャンスがあります。（Tuan 氏）