CyberAgent Pitching Arena 2024(7):インドネシア発、女性の一生を支えるヘルスケアスタートアップYoona

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Image credit: Masaru Ikeda

これは、CyberAgent Pitching Arena 2024年版の取材の一部だ。

サイバーエージェント・キャピタル(CAC)は20〜21日、東南アジアのスタートアップと投資家が参加するピッチイベント「CyberAgent Pitching Arena」の2024年版をタイ・バンコク市内で開催した。日本や東南アジアから10社が登壇し、数十名の投資家が参加した。

サイバーエージェント・キャピタルではかねてから国内スタートアップや投資家を対象に「Monthly Pitch」を開催しているが、その国際展開として、2019年にジャカルタで海外版 Monthly Pitch を開催。以降、2021年1月に第2回目となる東南アジア版では「Monthly Pitch Asia」として、2021年9月に開催された第3回から「CyberAgent Pitching Arena」として運営している(2022年のピッチの様子はこちら)。

イベントでは、サイバーエージェント・キャピタルの取締役・パートナーの北尾崇氏による開会の辞に続き、インドネシア、ベトナム、タイ、日本からのスタートアップ10社がピッチを披露。続いて、投資家から寄せられた質問に対して回答する Q&A セッションが展開された。投資に関心を持った投資家は今後、各スタートアップの代表らにコンタクトすることになる。

今回は、ピッチ登壇したスタートアップ10社のうち、Yoona を取り上げる。

Yoona(インドネシア)

Image credit: Masaru Ikeda

インドネシアのスタートアップ Yoona は、思春期から更年期まで、女性の一生を通じた包括的なヘルスケアソリューションを提供することを目指している。創業者の Susanna Anggraini 氏と Dina Ginong Hermawati 氏によると、Yoona の使命は、長年タブー視されてきた女性の健康問題に正面から取り組むことだ。

多くの女性が、自分の体や健康について十分な情報を得られずにいます。私たちは、そんな状況を変えたいのです。(Anggraini 氏)

Yoona の最初の製品は、100%オーガニックの生理用ナプキンだ。従来の生理用品に含まれる有害な化学物質、特に塩素の使用に疑問を投げかけている。

多くの女性が知らないことですが、一般的な生理用ナプキンには塩素が含まれ、これが発がん性物質のダイオキシンを生成する可能性があります。(Hermawati 氏)

Yoona の製品は、このような健康リスクを排除しつつ、高い吸収性を維持しているという。しかし、Yoona のビジョンは単なる製品提供にとどまらない。同社は、AI ドリブンのパーソナライズされた予測型ウェルネスアシスタントの開発も計画している。このアシスタントは、ユーザの睡眠パターンや生理周期を追跡し、適切なアドバイスや製品を提案する。例えば、睡眠不足を検知して休息を促したり、排卵日を予測して妊活のサポートを行ったりする機能が想定されている。

Image credit: Masaru Ikeda

Yoona は設立からわずか2年足らずでインドネシア全土で約1億人の女性にリーチし、50万個以上のナプキンを販売。さらに、7つの主要な島で3,000以上の店舗に製品を展開し、インドネシア最大のオーガニックナプキンブランドとなった。また、同社の web サイト Yoona.id は、月間70万人以上の訪問者を集める女性健康情報のハブとなっている。

同社はすでに、サイバーエージェント・キャピタルをはじめとする複数の投資家から支援を受けている。Yoona は、東南アジアの1億6,000万人の女性を対象とする350億米ドル規模の市場に挑戦している。その中でも特に、インドネシアの1億人の女性が当面のターゲットだという。

私たちは、まだインドネシア市場の表面をかすっただけです。まずはインドネシアの富裕層10%を獲得することに注力し、その後東南アジア全体への展開を考えています。(Anggraini 氏)

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