データマネジメントを運用から改善までノーコードで実現する「Srush」/KDDI ∞ Labo6月全体会レポ

樋口海さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

Srushはオールインワンのデータ分析ツール「データ統一クラウドSrush」を展開しています。代表の樋口さんは、営業やマーケターとして通信会社やメーカーで勤務していた際に、データ分析におけるエンジニアリングスキルの不足が大きな障壁となっていることを痛感し、Srushを創業するに至ったそうです。

近年、データのクラウド化が急速に進んだことで、企業が扱うデータ量は爆発的に増加しています。その一方で、システムのレガシー化や保守運用人材の不足が深刻な課題となっており、企業の貴重な資産であるデータが消失の危機に瀕しているのが日本の現状だと樋口さんは指摘します。

こうした課題の解決策としては、一般的にBIツールの導入が検討されるものの、実際には90%以上の企業が十分な成果を出せていないそうです。エンジニアがいないと運用が難しかったり、外資系ツールが多いためサポートに頼れなかったりするなど、日本企業にとって運用に乗りにくい実態があります。

BIツールはデータの可視化に長けている一方で、データの取得、統合、加工といった前処理には不向きであるという弱点もあります。結果として、8割以上の企業がExcelでデータ分析を行っているのが現状です。(樋口さん)

Srushは、こうした課題を解決すべく、エンジニアがいなくてもレガシーシステムやクラウドのデータを取り込めるオールインワンのツールを開発しました。同社は後発プレーヤーとして市場に参入する上で、既存のBIツールの弱点を徹底的に分析し、オールインワン、ノーコード、ワンストップサポートを差別化要因として打ち出すことで、新たな顧客と市場を開拓しています。

昨年末に実施したシリーズAラウンドでは、リードインベスターであるジャフコグループをはじめとする投資家から4億円を調達し、累計調達額は6.6億円に達しました。IT人材不足が深刻化する2025年の崖という外部環境を踏まえ、同社のポテンシャルと実績が高く評価された結果だと自信を見せます。

Srushは大手調味料メーカーや大手の居酒屋・レストランチェーンや大手化粧品企業など、多岐にわたる業界の企業で利用されています。これらの企業では、Srushを販売データや顧客データの統合基盤として活用し、いわゆるカスタマーデータプラットフォームとしての役割を果たしているとのことです。

データ分析の重要性が高まる中、Srushのようなオールインワンツールへの注目度は今後ますます高まっていくと考えています。Srushは日本企業のデータ活用を促進し、DXの加速化に貢献します。加えて、今後は生成AIや機械学習の機能を実装することで、データアナリストやデータサイエンティストのAI化を推進し、データ人材不要でデータ分析が進む環境の構築を目指す展望です。(樋口さん)

樋口さんは、最後に協業の提案を2点挙げました。1点目は事業連携です。企業DXのデータ基盤構築や企業のEC活用に向けた連携を模索しているといいます。2点目は販売パートナーです。Srushが得意とする小売りやメーカー向けのソリューション開発の共同推進や、大手飲食チェーンでの導入実績から得られた店舗運営における分析ナレッジの提供、地方企業への拡販パートナーシップなどを期待しているとし、ピッチを締めくくりました。

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する