本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
ありそうでなかった「家賃×クレカ」サービス
家賃支払いに利用できるクレジットカード、ポイントプログラムを運用する「Bilt Rewards」が1.5億ドルの資金調達を発表しました。同社は1月にも2億ドルの資金調達を実施しており、2024年に入っての調達額は3.5億ドル。大型調達を立て続けに実施しています。
クレカ系スタートアップは存在するものの…
Bilt Rewardsのようにリワードプログラムを備えたクレジットカードを発行するスタートアップには、さまざまな競合企業が存在します。有名どころではスタートアップや中小企業向けに特化したクレジットカードを提供するBrexがあります。法人向けの支払いでマーケティング費用、ソフトウェアサービス、旅行などに対するリワードプログラムを通じて、企業向けの特典として提供しています。
そのほかにも複数のクレジットカードやデビットカードを一つにまとめて管理できるCurveでは、ユーザーが持つすべてのカードのリワードを一元化して使い勝手を向上させていますし、SoFiのようにポイントで学生ローンの返済や投資に使用できるリワードプログラムを提供し、若年層の利用を切り開いたスタートアップもいます。
「家賃払い」に参入しにくい理由
しかし、この家賃支払いでポイントを提供するというアイデアに限って言えば、明確な競合サービスは登場していません。発想自体はシンプルではありますが、実現は難しかったようです。
というのも、従来、クレジットカードの家賃利用は着金タイミングが1〜2か月後になったり、ポイントとクレジットヒストリーを両立させるための、規制当局との粘り強い交渉が必要だったりしてなかなか普及には至らなかったようなのです。
ただ、Built Rewards CEOのAnkur Jain氏は、住宅関連の保険スタートアップや、ローンスタートアップを各6年以上も経営してきた経歴を持っている強みがあり、最終的には交渉をまとめたと伝えられています。実現の難易度は別として、周囲の「支払い」にフォーカスしてみるとまだまだアイデアは残っているのかもしれません。
Members
BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。無料で登録する