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MITらが開発するロボットのボート「Roboat」、自動運転でアムステルダムの運河に橋をかけ歩行者の混雑緩和を狙う

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いざという時、広い池や運河、裏庭のプールに架かる橋が必要なことはないだろうか?MIT の研究者と Amsterdam Institute for Advanced Metropolitan Solutions(AMS Institute)が開発したロボットなら、そのニーズに応えられるかもしれない。ロボットのようなボート、略してロボートと呼ばれるこのボートは、様々な配置の組み合わせをすることで「変形…

Roboat
Image credit: Rob Matheson / MIT

いざという時、広い池や運河、裏庭のプールに架かる橋が必要なことはないだろうか?MIT の研究者と Amsterdam Institute for Advanced Metropolitan Solutions(AMS Institute)が開発したロボットなら、そのニーズに応えられるかもしれない。ロボットのようなボート、略してロボートと呼ばれるこのボートは、様々な配置の組み合わせをすることで「変形できる」よう設計されたプラットフォームだ。

MIT の Rob Matheson 氏がブログへの投稿で述べているように、センサー、スラスター、マイクロコントローラー、GPS モジュール、カメラその他のハードウェアが装備された長方形の物体であるこのロボートは、MIT と AMS Institute が共同で実施している Roboat プロジェクトの成果である。プロジェクトの長期的な目標は、アムステルダムに160以上ある運河で人やモノを運び、歩行者の混雑緩和に役立つ橋を自動で組み立てるようにすることだ。

最近の開発状況をみると、最新アルゴリズムがプランニングと追跡を処理して、ロボートの一団が障害物を避けながら水上を移動できるようになっており、3年にわたる共同作業の成果がここに表れている。MIT CSAIL ディレクターの Daniela Rus 氏によると、対象を定めて繫ぎ止めをするラッチ機構を使い、予め定められた進路を移動できる3D 印刷のプロトタイプを制作したという。Rus 氏は次のように述べている。

ロボートは別のロボートと結合と切断ができるようになりました。アムステルダムの路上での活動を水上に移せるようにしたいと考えています。

Roboat
Image credit: Rob Matheson / MIT

ロボートには、コーディネーターとワーカーという2つの基本要素がある。さらに4つのプロペラ、無線マイクロコントローラー、自動ラッチ機構、センサーシステムを備えている。接続されているすべてのワーカーを認識して通信するコーディネーターには、その他にナビゲーション用 GPS、ローカライゼーション、配置、速度を計算する機能を担う慣性計測装置を備えている。

つなげられているロボートは、元々の形状と新たに作る形状との違いを比較し、その場にとどまるか移動をするかを判別する。その後、分離して新たな配置を作る時間が割り当てられる。その際は、衝突しない場所を事前に計算し、最終目的地に向かう最短の進路を見分ける。多くの最適化技術を利用することにより、コーディネーターが最終的な場所へ各ロボートを動かすために配置と速度を計算し、安全な進路を特定するのに100ミリ秒もかからないと研究者たちは述べている。

MIT のプールを舞台に行われた実世界の実験では、論文の共著者がロボートを直線でつながれた状態から再構成させてみせた。ロボートは側面で互いにラッチされ、前後で接続されて直線や L 字型になった。プロトタイプは長さ1メートル、幅50センチだったが、将来はアルゴリズムをスケールしてロボートを長さ4メートル、幅2メートルにするほか、豪雨など厳しい気象条件に対処しつつ、運河の壁のような滑りやすい建造物につなげられるようシステムを頑強にする課題が残されている。

同チームでは年内に、RoundAround と呼ばれるプロジェクトの一環としてアムステルダム市中心部にある NEMO 科学技術博物館と開発中の地域を結ぶ60メートルの運河をまたぐダイナミックな橋を展開したいと考えている。計画通りに進捗すれば、ロボートは運河で巡回運航してドックや乗り場で乗客を乗降させたり、途中で障害物を見つけたら停まったりルート変更したりすることができるようになる。

MIT の Carlo Ratti 教授は次のように述べている。

これは、世界で初めての自動ボートで作られた橋となります。船が行き来しているため、開閉式の可動橋やとても高い橋を作らなくてはならず、通常の橋を建造するのはきわめて高価になります。ところが、水上で漂いながらダイナミックで機敏に反応する建造物になる自動ボートを活用することで、運河の両岸をつなぐことができるのです。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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オランダ発の移民向け越境銀行取引プラットフォーム「Rewire」、シリーズAで1,200万米ドルを調達——イスラエルのViola Fintech がリード

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大手銀行と世界規模で提携し、移住者向け国際銀行取引プラットフォームを開発しているアムステルダム拠点のフィンテックスタートアップ Rewire が、シリーズ A ラウンドで1,200万米ドルを調達した。同ラウンドはイスラエルのテック企業 Viola が所有するクロスステージのベンチャーファンド、Viola Fintech がリードしている。 その他、BNP Paribas (VC ファンド Oper…

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大手銀行と世界規模で提携し、移住者向け国際銀行取引プラットフォームを開発しているアムステルダム拠点のフィンテックスタートアップ Rewire が、シリーズ A ラウンドで1,200万米ドルを調達した。同ラウンドはイスラエルのテック企業 Viola が所有するクロスステージのベンチャーファンド、Viola Fintech がリードしている。

その他、BNP Paribas (VC ファンド Opera Tech Ventures 経由)、 OurCrowd、 Moneta、Yair Tauman 教授、 Yaron Lemelbaum 氏、Leon Vaidman 氏、そして戦略的パートナーである Standard Bank of South Africa が新規・既存投資家として参加した。

調達した資金の一部は、世界規模での事業拡大とさらなるヨーロッパ市場への普及活動に使われ、移民が多く住むドイツやイタリアなど、すでに運営が行われている既存事業を補う。さらにフィリピン、インド、タイなど母国の現地銀行との提携拡大および強化に充てられる。

Rewire は Guy Kashtan 氏、Saar Yahalom 氏、Or Ben-Oz 氏、Adi Ben-Dayan 氏の4人によって設立された。収入の大半を母国に送金する出稼ぎ労働者のために、国際銀行取引プラットフォームを提供している。同社のテクノロジーにより、労働者は現地で利用できるデジタル銀行口座に預金ができるようになった。また、Rewire 発行のデビットカードで母国への送金が容易に行える。

現在、アフリカ大陸で最大級の金融機関、Standard Bank of South Africa (SBSA)と提携しながら運営を行っている。SBSA は20カ国に存在しているが、それらの国では居住者の多くが労働ビザを取得してヨーロッパに渡ってしまう。この提携の一環として、同行のサービスは Rewire のソリューションと統合され、それにより同社はヨーロッパの顧客に国際口座を提供できるようになった。Rewire はアジア・アフリカの異国から来た顧客にサービスを届けるため、事業を拡大中だ。

同社は主にヨーロッパ在住のフィリピン人、インド人、ナイジェリア人、タイ人、ネパール人、スリランカ人の移住者コミュニティに向けてサービスを提供している。

Viola Fintech Fund の共同設立者兼パートナーであり、Bank Leumi の元副 CEO の Dani Tzidon 教授は Rewire の取締役会に加わり、Bank Hapoalim の元取締役 Yair Tauman 教授、 Moneta Venture Capital Fund の共同設立者 Adoram Gaash 氏、Payoneer の元副社長を務めた Oded Zehavi 氏、そして Rewire の設立グループからの代表者といった取締役らと共に活動を行っていく。

Rewire の CEO である Guy Kashtan 氏は、以下のように述べている。

誰でも、どこの国にいてもアクセスできる公平なデジタル銀行取引プラットフォームを作り上げることができると弊社は信じています。近年、国境を越えた移住の急増を目の当たりにし、以前は銀行システムによって不利益を被っていた移民のために、Rewire は効率的で、透明性の高い、そして手頃な料金で利用できる国際銀行プラットフォームを提供できるチャンスを見つけたのです。

移住者とその家族それぞれの金銭的な将来性をサポートし、それを実現するというビジョンが弊社にあります。そして今回手に入れた資金は、短期間のうちに移住者の生活に有意義な変化をもたらす、大手グローバル金融機関としての自信をさらに示すことができます。

ヨーロッパでの運営を支援するため、Rewire は最近アムステルダムに事務所を開設した。新たに任命された Alex Bakir 氏がチームを組成し、ヨーロッパ地域での拡大を推進する役割を担う。現在、ヨーロッパ移住者を代表するコミュニティマネージャーを雇用している。

Viola Fintech は大手ベンチャー投資会社と共に、世界のフィンテック企業に出資する1億2,000万米ドル規模のクロスステージベンチャーファンドである。同ファンドは、金融機関業界と革新的なスタートアップの間のギャップを埋めることを目的としている。

【via e27】 @E27co

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オランダ警察、AIを活用して最も解決できそうな未解決事件を特定

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The Next Web によると、オランダ警察は人工知能(AI)を使って未解決事件に取り組もうとしている。 同警察は、コールドケース(未解決事件)アーカイブにある1,500件のレポートと3,000万ページを超える文書のデジタル化に取り組んでいる。このうち電子的に保存されているのは15%にすぎない(オランダ警察が定義するコールドケースとは、12年を超える実刑判決に相当する1988年以降に起きた事件…

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Image Credit: Diego Parra

The Next Web によると、オランダ警察は人工知能(AI)を使って未解決事件に取り組もうとしている。

同警察は、コールドケース(未解決事件)アーカイブにある1,500件のレポートと3,000万ページを超える文書のデジタル化に取り組んでいる。このうち電子的に保存されているのは15%にすぎない(オランダ警察が定義するコールドケースとは、12年を超える実刑判決に相当する1988年以降に起きた事件で、少なくとも3年間未解決のものをいう)。デジタル化が完了すると、マシーンラーニングのアルゴリズムが記録内で照合を行い、最も有望な証拠のある事件を特定する。これにより事件の処理にかかる時間が数週間から1日に短縮される。

システム構築者の1人である Jeroen Hammer 氏は The Next Web に以下のように語った。

今はマシーンに対し、犯罪科学的なスクリーニングを実行するよう学習させているところです。私たちの目標は、現在デジタル化しているコールドケースを AI が読み解き、問題解決につながる有望な証拠を含む事件がどれかを特定することです。

この AI は事件を「解決される可能性」にしたがって順位付けし、有力な DNA 証拠をあぶり出してくれる。同社チームには、他の犯罪科学の手法にもこの自動分析を拡張する計画がある。さらには社会科学や目撃者の証言など犯罪科学系以外のデータにも応用されるかもしれない。

将来的にHammer 氏は、捜査に参加したいと考えているパートナーに利用してもらえるような API を作成したいとも考えている。

彼は The Next Web にこう語った。

今のところ、このようなことをしている人は少数で、私の知る限りコールドケースでは実例がありません。実際、証拠を分析するのに使える最新手法はないか国の犯罪科学組織に問い合わせをするという予定を自身の Outlook カレンダーで毎年リマインド設定している警察官はいます。

この AI 駆動のコールドケースアナライザーは、革新的なソリューションで捜査上の痛点に対処しようとしているオランダ警察の一部門「Q」が開発したものである。初期の成功事例には、コールドケースカレンダーがある。これは、事件の解決に役立ちそうなヒントを提供してもらうために刑務所にいる受刑者を招集するものだ。

捜査専門家の Roel Wolfert 氏はオランダのニュース企業 NOS に以下のように語った。

こうしたシステムを活用することで、複数ある事件の関係を見分けるなど、将来はもっと多くの分析が可能になるでしょう。捜査中の事件にも応用できるかもしれません。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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仮想通貨を支持する国はどこか? そして、ブロックチェーンコミュニティへの影響は?

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2017年は仮想通貨にとって驚くべき年であった。価値と人気の両面で非常に大きな成長を遂げ、もはや一時の流行とは呼べないものとなった。ビットコインの年初の取引は1,000米ドルに満たないもの、正確には960米ドルだったが、本稿を書いている2017年12月の時点でその価格は2万米ドルを超えるピークに達した。1年弱の間にその価値は千の位を超えて万にまで増加した。これほどの成長を遂げた貿易財は前代未聞であ…

Image credit: studiostoks / 123RF

2017年は仮想通貨にとって驚くべき年であった。価値と人気の両面で非常に大きな成長を遂げ、もはや一時の流行とは呼べないものとなった。ビットコインの年初の取引は1,000米ドルに満たないもの、正確には960米ドルだったが、本稿を書いている2017年12月の時点でその価格は2万米ドルを超えるピークに達した。1年弱の間にその価値は千の位を超えて万にまで増加した。これほどの成長を遂げた貿易財は前代未聞である。

しかし今年のヘッドラインはすべてビットコインだったわけではない。イーサリアムやその他多くのアルトコインも今年は未曾有の成長を遂げたからである。仮想通貨による ICO はスタートアップがプロジェクトのため資本を集める際の主要なクラウドファンディング方法となった。仮想通貨、スマートコントラクト、そしてブロックチェーンベースのアプリケーションといったものが世界中で話題だったように思える。

業界内で起きた成長のレベルに、世界中の政府やその他のステークホルダーからより大きな注目が集まっている。今年行われた投資の量が前例のないほどであったことを考慮して、業界を規制するための措置が取られてきている。世界各国がマーケットの取り扱いに関して多様な戦略を採っている。本稿では仮想通貨を認めているいくつかの国を考察していきたい。以下に述べる国の順番は仮想通貨に対する姿勢をランキングしたものではない。

1.日本

東京はもはやアジアにおける商業的な中心地ではないが、仮想通貨においては地域の拠点である。中国と韓国が仮想通貨に対し強硬手段をとる中で、日本はアジアにおける仮想通貨取引の成長の繁殖地となる機会を得た。

日本政府は PSA(資金決済に関する法律)を通じて、仮想通貨を支払い目的に使用することを合法化する枠組みを設定した。ビットコイン採掘では中国が独占しているかもしれないが、仮想通貨の取引や交換といった活動では、アジアに関する限り、日本がその大部分を担っている。日本政府の金融規制機関である金融庁は最近また、多くの仮想通貨取引所を認可するとともにそれらのプラットフォームで取引される仮想通貨も認可した。

政府の支援を受け、日本では仮想通貨の運用が非常に盛んである。また、今後数年間で多数の ICO が日本を舞台に選ぶということもあるかもしれない。仮想通貨に関して多くの国が口を閉ざし態度を曖昧にしている隙に、日本はマーケットの主要なプレイヤーになるべくポジショニングしている。業界はまだ生まれたばかりでマーケットが栄えるための友好的な環境を求めている。政府の規制は必ずしも悪いことではない。日本の仮想通貨情勢における金融監督当局の関与は、起業家、開発者、そして投資家が日本の仮想通貨マーケットに焦点を移すのに大いに必要とされるインセンティブを与え得るものである。

2.カナダ

2016年中頃までカナダの中央銀行は独自の仮想通貨を開発するという考えを強く退けていた。2017年8月になると Impak Coin が仮想通貨としてカナダで初めて認可を受けた。これはカナダ政府の仮想通貨に対する態度の進展を大いに物語るものである。同国の南隣、アメリカ政府が仮想通貨に関していまだやや曖昧な態度をとる中、カナダのこの動きは北米の仮想通貨情勢における影響力を強めるものである。

全体的にカナダは仮想通貨起業家にとって友好的な環境であり、多数のビットコインスタートアップや非常に多くのビットコインの ATM が存在する。仮想通貨の拠点とされる都市を複数持つ国は多くないが、カナダには2つある。トロントとバンクーバーである。この先進的な動きの成功には多くの国が目を向け、自らの国内に仮想通貨の拠点を開発する際の基準点としている。

Impak Coin の成功に続き、現在テストと開発を行っていると伝えられる他の仮想通貨もある。これらの仮想通貨は来年以降にリリースされると予定されており、仮想通貨に対するカナダの前向きな態度を証明するものであるともいえる。

3.ドイツ

概してヨーロッパの国々は仮想通貨に対して好意的な政策をとっており、ブロックチェーンソリューションの開発に大規模に関与している国も多い。特にイギリスとフランスはこの分野での先導者である。ドイツは実際にビットコインが合法的な通貨と認められる数少ない国の1つである。

ビットコインがドイツで合法的な通貨だと認められたことには重要な意味合いがある。多くの国は仮想通貨に対して公然と禁止することはないがあまり好意的ではないというスタンスを取っている。ビットコインはドイツ政府から法的に認められたということでその合法性が認知され、その価値に大きな影響を与えた。

ドイツの税法もビットコインに対して有利なものである。1年間所持したビットコインの利益に関しては、税の25%が免除されるのだ。また、ドイツは世界最大のビットコインマーケットプレイスの所在地でもある。そこではイーサリアム(2番目に価値のある仮想通貨)取引をプラットフォームに取り入れる計画が最近まとめられた。

4.オランダ

オランダには文字通り「ビットコインシティ」があり、そこは数百の仮想通貨店舗の拠点となっている。このビットコインシティはアーネムの中にあり、小売店やカフェでの支払いをビットコインで行うことができる。

オランダではビットコインや他の仮想通貨に対して政府の規制が存在しない。その結果、多くの仮想通貨スタートアップがオランダに拠点を構えている。

こういった仮想通貨の拠点の存在は、仮想通貨経済の発展と発達の可能性につながるものである。仮想通貨が主流の通貨となるまでには解決されなければならないバグが多数あるが、ビットコインシティというインフラがあることで仮想通貨というコンセプトの機能を向上させる手助けとなる。アーネムのビットコインシティの中ではビットコインはユーロやドルやその他の法定紙幣と同じもの、つまり、価値を宿すものである。人々がビットコインを用いた経済的相互作用に関わったとき、仮想通貨は普通の法定紙幣と同じように機能するという意識が一般社会の中に生まれるのだ。

最後に

ビットコインに対する各国の姿勢は通常、好意的、非好意的、未定の3つに分けられる。仮想通貨は現代技術の発展の最前線であり続けるという事実に変わりはなく、多くの国はブロックチェーン技術とその応用の可能性をじっくり検討している。

【via e27】 @E27co

【原文】

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Twilioのヨーロッパにおける競合MessageBird、シリーズAラウンドで6,000万ドルを調達——Accel、Atomico、Y Combinatorから

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Twilio のヨーロッパ版ライバル MessageBird は、Accel がリードしたシリーズ A ラウンドで6,000万米ドルを調達した。他にもロンドンの Atomico と Y Combinator が参加している。同社は初期の段階では収益化に向けて自己資金で運営してきたというが、今回のラウンドが同社初の大規模な資金調達となった。 MessageBird はアムステルダムで2011年に設立…

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MessageBird ホームページ
Image Credit: Paul Sawers / VentureBeat

Twilio のヨーロッパ版ライバル MessageBird は、Accel がリードしたシリーズ A ラウンドで6,000万米ドルを調達した。他にもロンドンの Atomico と Y Combinator が参加している。同社は初期の段階では収益化に向けて自己資金で運営してきたというが、今回のラウンドが同社初の大規模な資金調達となった。

MessageBird はアムステルダムで2011年に設立された。昨年、Y Combinator のアクセラレータプログラムに参加し、12万米ドルという少額の「シード」資金を受け取ったが、それが同社がこれまでに取得した唯一の資金である。本日(10月3日)の発表は、ヨーロッパのソフトウェアスタートアップがシリーズ A で調達した額としては最大のものだと評価されている。ただし、イギリスの決済会社 Powa は4年前に7,600万米ドルをシリーズ A で調達しており、それには一歩及ばない。Powa はその後徐々に業績を悪化させ、昨年破産した

衝突する2つの世界

MessageBird と Twilio にはいくつかの違いがあるが、大まかに言って両者は似通っている。双方ともクラウドベースのコミュニケーションプラットフォームを開発者と企業らに提供している。どちらのプラットフォームでも、独自の API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を通じて自社製品にチャットとメッセージ送信機能を加えることが可能だ。ソフトウェア、クラウド、API を組み合わせることで、高価なハードウェアインフラへの投資を回避することができる。企業がテキストベースまたは音声ベースの機能を自社サービスに組み込みたい場合、コスト効率の高いソリューションとなる。

MessageBird はサンフランシスコの競合である Twilio ほどは話題になっていない。Twilio は2008年に設立され、2億3,000万米ドル以上の資金調達を行った後の昨年6月、ついにニューヨーク証券取引所(NYSE)で上場を果たした

Twilio と MessageBird は互いに競合だが、前者はアメリカで華々しいスタートを切っている。MessageBird もさらなる成長のためにアメリカ市場をターゲットに据える動きを見せている。さて、昨年 Twilio は IPO を行ったが、セクターの注目はさらに高まっただろうか?

MessageBird の設立者で CEO の Robert Vis 氏は VentureBeat へのインタビューで次のように説明した。

IPO により、アメリカにおけるクラウドコミュニケーションの認知度は総じて確実に高まりました。大企業の中には、世界各地で可能な限り多くの顧客にリーチしたいと考えている企業があります。主にこうした会社から我々への認知度が高まっています。

現在までに MessageBird はチャット API を提供している。このメッセージング API は、Telegram、Messenger、WeChat、Line といったチャットアプリの機能をサードパーティのアプリまたはウェブサイトに組み込むものだ。これを使うとアプリ内の SMS ベースのコミュニケーション手段を拡張することができる。また、現在はビデオ API のベータテストの最終段階が行われている最中だ。6,000万米ドルを調達した同社は、本日(10月3日)ボイス API を正式にローンチした。この機能はここ数週間にわたりベータ版として提供されていた。企業らは、自社サービスに音声通話の機能を持たせることができる。Twilio が数年前からすでに提供しているのと同等の機能だ。

Vis 氏はこのように述べる。

世界最大かつ最も信頼性の高い、企業向けのテキストメッセージ API サービスをすでに構築しています。今回弊社はシリコンバレーとヨーロッパの2大投資家から資金を調達しました。今後は音声インフラを拡充し、サービスをエンタープライズ市場に売り込んでいきたいと考えています。

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MessageBird の創業者で CEO の Robert Vis 氏

クラウドベースのコミュニケーションに特化した MessageBird としては、音声 API の提供の遅れは大きな痛手のようにも思える。おそらく、これまで成長の阻害要因となってきたのではないだろうか?

弊社の顧客は、音声 API が提供されていなかった頃は単に SMS を利用していました。音声 API は顧客の要望で導入されたものです。SMS で提供してきたものと同じ水準の、国境を超えたセキュリティとコストメリットを求める声がありました。ここ最近では SMS に加えて音声通話でも、通信各社と培ってきたコネクションを活かせるようになりました。自力で事業を運営するにあたっては、成長の源となる領域にフォーカスすることが重要です。弊社の場合、これまで SMS のサービスがそれにあたりました。しかし顧客から明確な要望があったため、追加で音声 API を作ることにしたのです。

数字のゲーム

MessageBird によると、同社は発足以来黒字が続いており、現状の成長が続けば今年中に収益1億米ドルを達成する見込みだという。大変素晴らしい数字だ。比較として Twilio は、2014年に1億米ドルの収益を達成したことを公表したが、それまでに1億米ドル以上を外部から資金調達している。また、収益額達成の直後には、追加の1億3,000万米ドルを調達している。

同社によると、世界のユーザ数は1万5,000に達するという。これには DoorDash、SAP、Huawei、Amber Alert、Heineken などが含まれる。注目すべきは、Twilio が長年同社の顧客としてきた Uber が、MessageBird の顧客リストに載っていることだ。Twilio によると、最近 Uber は Twilio の技術への依存を減らそうとしており、これは Twilio の株価が大きく下落した要因となっていた。

Uber をこれまでに利用したユーザも、同社アプリの高速なメッセージ機能のありがたみには気づいていないだろう。アプリではドライバーと直接音声通話することもできる。つまり、メッセージの送信を介して電話番号をやり取りする手間は不要だ。

Vis 氏はこうコメントしている。

クラウドコミュニケーションのおかげでこうしたやり取りは快適になっています。ドライバーと利用者の双方にバーチャルな電話番号が割り当てられているために可能になっているのです。番号を教える必要はなく匿名で通話可能なので、ドライバーと利用者はお互いの実際の電話番号を知ることはありません。

ユーザは全世界で数千万人にも及ぶため、信頼性の高いインフラが求められる。潤沢な資金を集めている Uber のような企業にとってさえ、システムの全てを内製するよりはアウトソースする方がはるかに簡単だ。

コミュニケーションに妥協できない大企業が弊社の顧客です。コミュニケーションの品質は、すなわちその企業のビジネスの水準です。セールスの電話を受けている最中に音声に不具合があれば、契約をしたいとは思わないでしょう。通話の不具合は機会の損失であり、客足が遠のくのです。

MessageBird の事業のもう一つのキーポイントは、通信会社との提携である。同社によると世界で220社のキャリアと連携を行っているという。MessageBird は音声通話の自社設備を持っており、Vis 氏によると「モバイルキャリアのまさに中心部と接続する」ことが可能だ。これによりレガシーなシステムを経由する必要がなくなり、複数のネットワークを経由した信頼性の低い通信回線を使わずに済む。一般に、ある地点から別の地点までに多くの通信業社を経由するほど、遅延や寸断の可能性は高くなる。Vis 氏は、伝言ゲーム(一部の地域では”Chinese whispers“とも言う)に例えて状況を説明した。メッセージを耳元で囁いては次の人に送っていくと、最後の人に伝わる頃には最初の人には理解不能な内容になってしまう。

コミュニケーションの世界でも同じです。弊社は通信会社に直接接続していますので、伝言ゲームの途中の人々を飛ばして最後の人に直接伝えているようなものです。他社はゲームの一人ひとりを経由しますので、セキュリティ、通話品質、スピードが低下してしまいます。また、メッセージを伝達するためには中間の人々にも費用を払わなければなりません。これがコミュニケーションの世界で起きていることです。

なぜ Y Combinator なのか?

ここ最近の MessageBird に関する興味深い一面として、同社がアメリカのシードステージのアクセラレータプログラム、Y Combinator(YC)に参加したことが挙げられる。MessageBird は確かに資金面ではシードステージだが、YC は通常アーリーステージのスタートアップを対象にしており、数百万米ドルもの収益を確立している企業は対象外だ。では、YC とのタイアップの背景は何だろうか?

急速に成長する弊社に対して、会社としてどこを目指したいかを今一度熟慮し、方向性を定める機会を YC は与えてくれました。また、YC のポートフォリオ企業のネットワークは巨大で、アメリカ進出にあたっての潜在顧客としても参考になりました。私にとって YC は多くの創業者を輩出したハーバード大学のようなものであり、どのステージの企業にとっても有益な、集中力と基礎を叩き込んでくれます。(Vis 氏)

YC との協業で Vis 氏が具体的に学んだのは、「成長」とは顧客を単に獲得することではなく、関係を保ち続けることだ——というスローガンである。

非常に論理的な響きのあるこの言葉は、私たちのカスタマーサクセスに関する捉え方を変えました。結果、YC 以前は140%だった収益の伸び率が170%まで向上したのです。どんなステージの会社であっても YC への参加を強くお勧めします。アメリカ進出を計画しているアメリカ以外の企業にとっては特に参考になるでしょう。(Vis 氏)

MessageBird は、Y Combinator が輩出した企業の中では最高額のシリーズ A 資金を獲得した企業であると自負している。

Y Combinator のパートナーである Ali Rowghani はこのように語っている。

YC に参加する際にすでに多くのトラクションを獲得している企業は数多くありますが、MessageBird はプログラム終了時の収益額という意味では最大の企業の一つでした。

MessageBird が語る未来

現在、MessageBird は創業の地であるアムステルダムの他にも、サンフランシスコ、シンガポール、シドニーにオフィスを構えている。今回調達した資金は音声分野の強化の他にも、カスタマーサポートなどの人材雇用のために使われるという。また、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでの買収費用にも充当するようだ。

自己資金でスタートアップを立ち上げれば、イグジットについて心配しなくてよいことが大きなメリットになる。顧客を獲得し収益が上がっている限り、買収や株式公開などは必ずしも考慮しなくてよい。確かに今回の資金調達で、MessageBird はアメリカなどの主要マーケットで勢力を伸ばせることになる。しかし同時に、これまでになかった余計な心配をする必要も出てくるのではないだろうか?

我々は長期的なビジョンを持ち、かつ、当面の間はイグジットを強要しない投資家を厳選しています。幸運にも(AccelAtomico の)両投資家とも投資資金を調達したところですので、この先10年間はイグジットの心配をする必要はありません。また、クラウドコミュニケーションの時代は始まったばかりです。非常に大きなマーケットであり、現在は既存企業に独占されていますが、将来的に飛躍的な成長を遂げるまでに時間はたっぷりとあります。(Vis 氏)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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