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変わる働き方「副業って本当に盛り上がってるの?」の実際を聞いてみた

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ニュースサマリ:全国に出されている緊急事態宣言は徐々に解除の見通しが立ってきている。今日、その行方を占う「諮問委員会」が開催され、東京や大阪など一部地域を除く39県について解除の方針が示された。しかし、解除後についても再発を防ぐ目的から社会的距離「ソーシャルディスタンス」を継続する必要があるなど、これまでとは違った社会生活を求められることになる。 影響を大きく受けるのが「働き方」だ。スペースシェア…

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Photo by Ivan Samkov on Pexels.com

ニュースサマリ:全国に出されている緊急事態宣言は徐々に解除の見通しが立ってきている。今日、その行方を占う「諮問委員会」が開催され、東京や大阪など一部地域を除く39県について解除の方針が示された。しかし、解除後についても再発を防ぐ目的から社会的距離「ソーシャルディスタンス」を継続する必要があるなど、これまでとは違った社会生活を求められることになる。

影響を大きく受けるのが「働き方」だ。スペースシェアのマッチングを手掛けるスペースマーケットでは、オフィスの解約や縮小、分散化のニーズに応える形でオフィススペースの一部を貸したい企業と、借りたい企業をマッチングする「オフィス間借り」支援サービスを開始した。

話題のポイント:東京の感染者数など被害を示す数字にやや落ち着きが見えつつあるなか、各所で次の社会生活をどう再開するかの議論が始まっているように感じます。大きくはリモート前提の社会活動と、働き方の変化です。

オフィス分散化の流れ

オフィスについては、FacebookやGoogleが「年内一杯リモート」、Twitterが「永久リモート」を打ち出すなど、対処療法的な対応からカルチャーとしてのアプローチに内容がシフトしている印象です。実際、メアリーミーカー女史率いるBONDも支援先の声からオフィスの価値観を変えるオピニオンを出しています。

<参考記事>

極端なことは言いません。例えば製造業や既存産業の多くはオフィスに多くの「生産機能」や「効率」などの役割・目的を与えています。たまたま私たちの関係するテクノロジー産業の多くが装置産業的な役割をオフィスに与えていなかっただけのことだと思います。

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縮小する企業と分散化を希望する企業のオフィスマッチング

しかし、そうであるならば、分散化の選択肢は非常に妥当なものになるかもしれません。前述したスペースマーケットは間借りマッチングの前に、サテライトオフィスのリリースを出しているのですね。

企業によっては「Work From Home」だとセキュリティの面(家庭内情報漏えいやローカルマシンのデータ問題等)でどうしても難しく、ベッドタウン周辺にスペースを設けたいというリクエストがあるということで始まったプロジェクトなのだそうです。オフィス分散化については、新しい選択肢として定着するのではないでしょうか。

副業は新しい働き方に定着するか

もう一つ注目しているのが副業というワークスタイルです。リモートワークを実際にやってみた多くの方が「自律的行動」を経験されたのではないでしょうか。特に技術職(プログラマやデザイナー)などは依頼から納品までのゴールが明確なので、自主性を重んじるワークスタイルがマッチしている場合が多くなります。依頼する側もこういう状況下で労働力を「加減」できるメリットもあります(社員が副業にうつつを抜かす、的な話題は本稿では割愛します。いつかまたどこかで)。

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2020年に入り毎月のように増資を公表する副業系スタートアップ

では市場は今回の状況でどのように動いたのでしょうか。まず、この状況下で次のスタートアップが調達ラウンドを進めています。また、クラウドワークスの副業プラットフォームも開始後、順調に数字を伸ばしているようです。

<参考記事>

次に実際の案件です。2016年から副業プラットフォームを運営する「シューマツワーカー」もこの状況で副業登録者数を伸ばしているスタートアップの一社で、実際の案件数などの様子をお聞きしてみました。

まず依頼する企業の状況ですが、スタートアップ中心にコストカットの動きはやはり顕著で、副業で業務委託していた方との契約解除件数は3月・4月で平均月の1.5倍ほどに上昇したそうです。5月はやや落ち着くようですが、一時的な避難措置としてキャッシュを残す判断は当然です。業種的にはフィジカルでの接触がある代行業、景気変動に敏感な人材・受託が大きく影響を受けたとのことでした。

また、興味深い傾向として非IT企業からの問い合わせ増というお話もありました。緊急事態宣言後はその前と比較して3倍ほどの問い合わせ量になっているそうで、主にウェブマーケティングの依頼が多いということです。フィジカルな対面戦術がやりづらくなる状況下で、ウェブマーケティングやインサイドセールスなどの需要が高まることは必至で、そこに必要な社内システム担当の副業ニーズなどが高まるのではというお話でした。

リモートで現職ペイン解消、時間が増えて副業も「増」

働く側の変化で興味深い情報を提供してくれたのが「Offers」を提供するoverflow代表取締役の鈴木裕斗さんです。実は今、企業側には業務委託よりも「正社員でレベル高い人」を採用したいニーズが高まっているそうです。確かにこれは海外(さらにIT系)の話題ですが、採用については強化・ストップで明暗がくっきりと分かれています。

彼らのお客さんでも、医療やD2C、オンラインエンタメなどの領域は採用強化時期なので、この傾向は更に強いそうです。

一方の人材側は、これまで転職希望でエージェントに登録していたような人材が、リモート勤務によってペインがなくなり、現職を継続・副業を推進する動きがあるというお話です。通勤時間がなくなり副業する時間ができたことや、業績の不透明さから報酬面で不安が生まれたことがその要因だそうです。

コロナ禍を好機とみた企業の採用強化と、リモート前提社会によって時間や報酬にアンバランスが生まれ、いくつかの仕事を掛け持ちする人たちとの「綱引き」がどこに落ち着くのかは、大変興味深い動きではないでしょうか。

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副業を選択する人たちの理由(提供:overflow)

多数の「リモートは一時的」という楽観視

鈴木さんは企業の今後の働き方について次のような分析をしていました。

HR/開発の現場ではリモート採用/開発に関連する興味関心は高いですが、経営陣については大きく次の3パターンに分かれていると感じています。

  • (1)いずれ自粛は解禁するからリモートは一時的であるという楽観的思考で、社内運営についての改革への関心度は低い
  • (2)リスクヘッジをして将来的にもリモートを積極的に取り入れようしている
  • (3)コロナ禍の現在/将来への影響を考慮した経営方針/体制変更などを発表していない/できていない/やろうとしてない

現状として(3)>(1)>(2)という肌感覚だそうで、現状ではリモート前提社会についていくので精一杯という状況が本音なのだと思います。

また人事の多くは実際の対面を前提にワークフローなどが作られているはずです。現在は極端な状況ですがこれが当面、ハイブリッドな形になるのが明確になりつつある今、一時的と考えている企業と、これを前提に動いている企業でどのような差が生まれるのかも非常に注目しています。

スタートアップのオフィス解約、改めて問われるその価値

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ニュースサマリ:新型コロナウィルスによる様々な混乱で、スタートアップ経営者の頭を悩ませるのが固定費の問題だ。特にWork From Homeへの移行が進む中、固定のオフィスはその存在意義を問われることとなった。飲食店など物理的に店舗が必要なケースと異なり、テクノロジー系のスタートアップの多くは、オフィスに倉庫や装置的な役割を持たせることは少ない。厄介なのは個人情報の扱いでISMSなどを導入し、固定…

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Photo by Christina Morillo on Pexels.com

ニュースサマリ:新型コロナウィルスによる様々な混乱で、スタートアップ経営者の頭を悩ませるのが固定費の問題だ。特にWork From Homeへの移行が進む中、固定のオフィスはその存在意義を問われることとなった。飲食店など物理的に店舗が必要なケースと異なり、テクノロジー系のスタートアップの多くは、オフィスに倉庫や装置的な役割を持たせることは少ない。厄介なのは個人情報の扱いでISMSなどを導入し、固定場所での作業を義務付けた場合ぐらいだろう。

国土交通省も17日に、家賃の支払いが厳しくなったテナントに対する支援策を公表している。家賃支払い猶予や免除に応じたビル所有者に対し税金・社会保険料の納付を1年間猶予をするものだが、問題の長期化が囁かれる中、テナント・ビルオーナー双方がどこまで持ちこたえらるかは不透明なままだ。

話題のポイント:筆者の周辺でもオフィスを解約しました、という声がちらほら聞こえてきたので、ソーシャル上でどれぐらいの方が考えているのか問いかけたところ、数時間で5、6社の方から情報が集まりました。その後も情報いただきましたが、多くは長期化を見据えての資金確保が目的で、トラブルについても働き方(リモートへの移行)というよりは、増床や移転したばかりで契約に問題を抱えてしまったケースがあるようです。

  • 移転プロジェクトを進めている最中に緊急事態宣言が発令され、解約しようにもできない状態に。感染症拡大防止のため工事も思うように進まず、板挟みの状態でコストだけが重くのしかかる(数百名規模)
  • 縮小移転も含めて考えているが、増床したばかりで双方デメリットしかないので、ビル所有者に期間中の減免を相談している。しかし売上が明らかに下がるなどのエビデンスがないと応じられないという回答(十数名規模)

ビル所有者も事業者ですからここで安易に引くわけにはいかない、という声も届いています。一方、この機会をさらにポジティブに捉えてチャレンジしているケースもありました。

オフィスの価値をどう考えるか

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LayerX、日本橋エリアに本社オフィスを移転(2019年11月)

ブロックチェーン関連事業を展開するLayerXもオフィス移転を決めた一社です。創業者の福島良典さんはGunosyの共同創業者でもあり、数百名規模のチームや大型オフィスも経験した人物です。現在のオフィスは日本橋にあるのですが、以前、オフィスについてはこのような考え方を披露していました。

<参考記事>

特に近年、スタートアップの間で激化しているのが採用ですが、ここに重要な要素となるのがコーポレートカルチャーの考え方です。スキルマッチしたとしてもカルチャーが合わなければ離職は当然で、オフィスは経営陣の考え方が色濃く表現されることになるので非常に大切になります。

そこで福島さんにこのコロナ禍をどう見ているか聞いてみたのですが、まず、状況が不確実で緊急事態宣言の状況が数年続くようなことはないにしても、半自粛の期間が1年半から3年ほど続くのではと、かなり厳しめに予想しているということでした。こういう状況下で筋肉質にならなくてよい、という合理性は皆無です。また、やはり今回の意思決定もカルチャーに基づいたところが大きいようです。

「当社はキャッシュフロー、財務体質も万全です。一方、強い会社・成功する会社は、こういった未曾有の状況に対して必ず素早く体質改善を行う会社、アンラーニングして新しい標準を学ぶ会社だと考えています。10年後にメインストリームとして残っている会社は、迅速に意思決定し、実行する会社だよね、そういう文化を強めていこうという中でオフィス解約を決断しました」(福島さん)。

具体的なロジックとして先程の見通しから「直近1年半ほどはフルサイズのオフィスは必要ないという嵐への対策」と、「新しいスタンダードに対応するために一旦フラットな状態にしよう」という意思決定があったそうです。ところでこの、新しいスタンダードへの対応というのが大変福島さんらしい、LayerXのチームらしい考え方だなと思うんですね。福島さんはこの点についてこう続けてくれてます。

「単純なコスト削減だけの目的ではなく「ニュースタンダードでの働き方」が主流になると考えたからです。その時オフィスの位置づけは、全員が出社して全員で働く場所というよりは、何気ない雑談からの「気づきを得るため」「文化を強めるためにあえて顔を合わせる時間を作る」ための場所になると考えました。

今あるオフィスの形は変わり、その前提に合わせた、サイズ・設備に一旦ゼロフラットで考え直すために解約しました。また、今回のような状況を想定したわけでは有りませんが、移転の際、どういった事があるか本当にわからないのがベンチャーなので、移転・解約しやすいようにセットアップオフィスで流動的に動けるようにしようと決めていたことも今回の素早い意思決定につながっています」。

リモート前提のチームワーク「Work From Anywhere」

もう一社、今回の件でいち早く意思決定していたのが副業採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」を運営するoverflowです。創業者の鈴木裕斗さんも福島さん同様、オフィスの機能性とカルチャーを因数分解して考えており、現在の状況に照らし合わせて迅速に動いていました。

<参考記事>

次のグラフは鈴木さんから提供を受けたもので、Offersのユーザー約100名のアンケート結果です。右上のリモート前提の働き方について多くの方が肯定的に捉えていることがわかります。もちろん、副業などでこういった新しい働き方に慣れている方のバイアスがあるのは理解した上で、それでも高い割合です。

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先程のブログの中で鈴木さんはこれからのオフィスについてこのように指摘しています。

機能べースで考えると、これからは定住する場所ではなく「集まりたいときに集まれる場所」のほうが必要になりそうな気がします。月イチの全社会や曜日を決めた定例など

これはオフィスがあることを前提とした「リモートワーク」ではなく、仕事に必要な機能に応じて場所を設定し、どこでも働ける環境を創る「Work From Anywhere」の考え方です。特に個人にフォーカスした技術を求められる仕事(デザイナーやプログラマーなど)の場合、当然ですが、接客業のような場所の必要性はありません。経営者・発注者に要求されるのはそこのパフォーマンスの最大化です。集まったほうがよければ場所が必要ですし、離れた方がよければそこに必要な費用を支給すればOKとなります。

現在は緊急湯避難的に「自宅勤務」という形を要請されていますが、この状況を通じて気がついた経営者・技術者たちからパラダイムシフトは発生するのではないでしょうか。

所有オフィスはどうなる

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スペースマーケットで特集されているテレワークスペース

では、現在のオフィスはどうなるのか。もちろん大局は全く不透明ですが、この非常時に動きを見せているAirbnbにヒントがありました。長期滞在とリモートワーク利用の拡大です。

<参考記事>

この動きを日本でキャッチアップしているのがスペースマーケットです。同社代表の重松大輔さんにお話聞いたところ、確かにパーティー等のイベント利用はかなり厳しい反面、こういったビジネス利用については問い合わせが急増しているそうです。在宅で落ち着いて仕事に集中できないというケースもあれば、セキュリティの関係で作業が難しいという話もあります。

一方、スペースマーケットでは今回の件に関わらず、ビジネス利用については強化する考え方があったそうです。

いわゆる「新しい働き方」に対応したオフィス分散化の動きを睨んだもので、スペースマーケットに登録している場所でワークスペースとして利活用できるケースを増やそうというものです。都内オフィスの家賃高騰は随分と言われてきた課題でしたので、理にかなった予想でしたが、感染症拡大という不可抗力でこれが一気に進んだ形になっています。

現在、スペースマーケットでは急ピッチでホストに連絡を取り、ワークスペースとして500箇所以上を用意されているということでした。現在、場所が空いてしまったことでホスト側の登録も大きく伸ばしているということから、この動きは続くのではないでしょうか。

新しいスタンダードでオフィスをどう想像する

非常事態を受けて動き出す、スタートアップたちのオフィスの考え方をまとめてみました。ここで浮き彫りになるのが、新しいスタンダードを前に各社、経営陣が考える場所や働き方についての視点の重要性です。ハンコの無駄が指摘されていますが、商習慣というのは相手あっての話なので、ネットワーク効果が効いた状態では変えることが難しいわけです。しかし、今回の状況はそれをゼロリセットしようとしました。

もちろん現状維持という方もいるでしょうが、ここまで大きく前提が変わると、何らかの改善点が出てくる可能性の方が高くなります。今回、考え方を共有してくれた経営者の視点が何かのヒントになるかもしれません。