Sassorの家庭向け電力管理サービス「ELP Lite」導入のポイントを考える

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ELPやソーシャルアクツなどネット家電系のスタートアップであり、ウェブサービスにも精通しているSassorがようやく一般向けにそのプロダクト販売を開始する。すでにいくつか報道もされているので、ここでは実際に購入を検討してみた感想をかいてみたいと思う。

ELPは家庭における消費電力を専用の電源アダプタを使うことで見える化し、積極的な使用量管理をさせてくれるウェブとネット家電の融合したサービス。先日公開されたELP Liteは彼らの発表するELPの廉価版…と思いきや、どちらかというとウェブサービスでいうところの「βバージョン」のようだ。用意される端末も当初発表されていたコンセントに取り付ける小型アダプタではなく、若干サイズも大きい印象だ。

◎家庭で使う場合はどの家電に設置するかを絞った方がよさそう

ELP Liteは家電とコンセントの間に挟まるELPモジュールとそれらからの計測データを受信してネットに送るレシーバーが必要になる。当然、モジュールがなければ計測できないわけで、全ての家庭家電を計測しようと思えば、それぞれに必要になることになる。

価格によって提供される数も違うが、1つ数百円というわけにはいかない。となればどこにつけるのか、ということが大切なポイントになるだろう。今に限ったことではないが、夏の電気使用量で声高に叫ばれる家電といえばーたとえばそう、エアコンだ。

◎目標を設定することで節約への具体的な行動につなげるーウェブサービスのヒント

ELPはこのアダプタを付けることで電気使用量はわかるが、別にこれで節約をしてくれるわけではない。使用量をウェブでチェックしながら、それをこまめに消すなど節約するのは本人だ。つまりどの程度節約するかは本人次第となる。

人間はどうしてもおっくうになりがちだ。例えばウェブ側で具体的に数値目標などを設定して「今月使えるエアコンの電気使用量」などの目標があれば一日あたりの時間など具体的な行動ができるだろう。このあたりは今後のウェブサービスに期待したい。

◎使う場所は家庭よりもSOHOなどの小規模なオフィスなどかも

価格の設定が高いか安いかは具体的にはどれ位節約できるかによるだろう。例えば1カ月で1000円の電気使用量が安くできればその分は許容範囲になる。ただ、まだ単価が高い間は全ての家電に設置すると明らかにこの内容で吸収は難しくなる。つまり節約してるつもりなのに、実際に支払う費用が上がったのでは導入する意欲がすこし減退してしまう。(もちろん節電そのものは大切だが)

つまり、今の段階では例えば電気使用量の大きい事業者、例えば小規模なSOHOオフィスなど(あくまで使う家電は家庭用)そういった所の空調節約などある程度絞られたターゲットでその効果が発揮されるのではないだろうか。一般家庭にスケールするには少し早い印象だ。

◎月額課金でハードもすべて吸収する価格設定を

このプロダクトの本質はあえて「ウェブサービス」にあると思う。例えばエクササイズのネット家電fitbitは確かに体に取り付ける端末が注目されたが、やはりその本質はウェブサービスによる健康管理、つまりデータだ。

ELPも当然このアダプタがなければ成立しないが、節約を成立させるのはウェブ上に集約されるデータであり、人の行動を促す仕組みだ。であれば今回のように端末価格にフォーカスした設定ではなくいわゆるウェブサービスとしてハードも含めた月額課金をするほうがいいのではないだろうか。いわゆるモデムを無料配布したあの手法に似てるかもしれない。

◎結論として…

実際に購入を検討してみる、という流れで書いてみたがやはり知りたいのは実際にどれぐらい節約ができるのか、という内容によるだろう。ウェブサイトに「少々高くなった」と書いてあったがあれは正直いただけない。日中だれもいない家庭で使ってそんなに節約できなくても、小規模なオフィスでエアコンをガンガン使ってるところであれば充分元はとれるかもしれない。

このあたりの試算があれば設定されている価格が高い、安いという判断ができるだろう。確かに節電は急務であるが、負担を増やしてまでやろうという向きは少ない。明確にメリットを提示すればいまの機運と合わせてよい価値が提供できるのではないだろうか。

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