
ネット接続型ハードウェア・スタートアップのウィンクルは2月9日、プライマルキャピタルを割当先とする第三者割当増資の実施を発表した。調達した金額は2000万円で払込日や株式割合などの詳細は非公開。またこれに伴い、デジタルコミュニケーションロボット事業を開始するとしている。
ウィンクル代表取締役の武地実氏によれば、同社が掲げるデジタルコミュニケーションロボット事業は、近年動きの激しいInternet of Things(モノのインターネット・以下IoT表記)文脈のひとつで、ネット接続型のハードウェア、特にスマートハウスやロボットといったカテゴリにおけるインターフェース・ビッグデータ関連サービスを指すということだった。
同社は今回調達した資金を元に開発陣の強化を実施する。
ウィンクルの創業は2014年2月。4月にはIoTスタートアップへの投資育成に携わるABBALabから資金調達を実施、立ち上げ時に大きな話題となった施設「DMM.make AKIBA」を拠点に活動を続けている。

これまでにはiPhoneのiBeaconによる通信で同じアクセサリを付けた人同士を繋げるマッチングアプリ&アクセサリー「AYATORI」を開発製造し、ハードウェアスタートアップとしての知見を蓄積していた。
さて、この記事、大変書くのが難しい。
というのも、彼らが何を造るのか、何をするのか、ほとんどわからないからだ。ステルスといえばステルスなのだが、ある程度のイメージは話を聞いた。このタイプは以前、スマートドライブに話を聞いた時とよく似ている。
ということでやはり彼らの話を元に少し想像も含めて書くことにしよう。
まず、武地氏がヒントとしてくれた情報がこれまた謎の多いMagic Leapだ。昨年10月のシリーズBラウンドでは5億4200万ドルを調達、GoogleやKPCB、Andreessen Horowitzなど錚々たる面々が投資家に並ぶ。評価額はすでに10億ドルを超えているという話もあった。このあたりの情報をチェックしている人であれば、こちらの画像を見かけたことがあるはずだ。(動いてる様子を見たい方はこちらでどうぞ)
どうも彼らがチャレンジしようとしているのは、いわゆるAR(拡張現実)、ホログラムなどに近い分野らしい。では、それを作るとして一体何が起こるのだろうか。もう一つのヒントは武地氏が昨年参加していたハッカソンで作ったものにある。
「昨年TBS主催のハッカソンでテレビにしゃべりかけることでコントロールができるリモコンを作って好評だったんです。最優秀賞も頂きました」(武地氏)。
「テレブー」というプロジェクト名で、ぬいぐるみ型の簡易リモコンにしゃべりかけることでテレビ操作ができる。例えば、これをARやホログラムで実現できるとしたらどうだろう。
世界でやはり熱い視線を浴びるスマートホーム市場は、大きく分けてNestのような単一目的のプロダクトと、米SmartThingsなどに代表されるプラットフォーム指向のものに分かれる。
プラットフォーム型のものはあらゆる家電を操作できるため、普段の生活情報の多くを得ることができる。これが次のビジネスチャンスにつながる「ビッグデータ」となる。そしてここは昨年の発表で大きな衝撃を与えたソフトバンクのロボット事業「Pepper」が狙う場所とも重なる。
彼らが作るホログラムがもし、新しい家電操作のインターフェースになるとしたら、その未来は楽しいものになるだろう。今までスイッチやツマミといった物理的な操作パネルが音声や人工知能を中心とした人間的な操作体系に変化する。
…とここまでは私の大きな妄想だ。ただ、海外事例を総合しても、IoT文脈でビジネスの中心に考えられているのは今までとれなかったデータ・ログの重要性にある。
武地氏とプライマルキャピタルの代表パートナー、佐々木浩史氏の二人がこの規模の未来を狙っていたとしていたとしても決して不思議ではない。ただ、恐らく彼らは私の想像をさらに裏切ってその上をいってくれると信じているが。(ちなみに佐々木氏が在籍していたインキュベイトファンドはこの分野への大規模投資を公表している)
「今回の資金調達で研究開発を進め、プロトタイプの段階までは持っていきたい」(武地氏)。
ということで、若干の消化不良を感じつつ、本件については次のプロダクトの発表を待ちたいと思う。
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