レストラン予約台帳「Table Solution」運営会社が約2億円の資金調達、導入店舗は昨年比で数十倍の伸び

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飲食店や理美容店向けの予約・顧客管理システムを提供するVESPER(ベスパー)は7月8日、ジャフコおよび個人を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達した金額は約2億円で、今後、国内外における事業成長に必要な開発、営業人員の強化に努める。

VESPERの創業、彼らの提供するTable Solution(理美容向けはBeauty Solution)の立ち上げについては以前、同社代表の谷口優氏に話を聞いているのでそちらを参考にされたい。

<参考記事>

今年1月の時点で谷口氏は「ホテル日航東京」などの大型店舗を含めた1200店舗ほどへの導入が完了しているとしていた。(但し、これは彼らの提供するソリューション全体の数値となる)

それから約半年が経過し、現在の導入店舗数については非公開としつつも、レストラン向けサービスの導入が進み、今年1月から6月末までの平均導入件数が昨年比で約27倍に増加したそうだ。

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同時に導入しているレストランの予約件数も同時期の昨年比で約33倍、予約人数も約32倍と順調に伸びている。谷口氏によればこれまでの解約率についてもほぼゼロに近い数値ということで、店舗自体が撤退しない限り解約されることはないという話だった。

では、このようなオンライン予約台帳サービスを導入した店舗はどのようなメリットがあるのだろうか。

少しおさらいしておくと、Table Solutionを導入した店舗では、「通常の電話予約+オンラインでの予約台帳による顧客管理」、「自社ホームページからの予約受付」、「オプションによる電話自動応答」の大きく分けて三つの予約受付サービスが提供可能になる。

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谷口氏は実際の導入店舗の情報としてあるビアガーデンでの導入事例をまとめてくれたのだが、電話予約だけだった時期からTableCheck(※)を導入した結果、予約人数は150%に増加したそうだ。また、今年1月頃から同社で開始した自動応答オプションの「みせばん」を導入するとさらに11%ほどの上乗せが発生したという。(※利用ユーザー側からのサービス名称。店舗側の業務システムはTableSolution)

このみせばんという仕組みは、店舗に対して電話予約が入った際、もし電話が他の予約電話などで塞がっていても自動的にシステム側で予約を取ってくれる自動応答の仕組み。電話とシステムをTwillioで繋ぎこみ、混雑時の取りこぼしを防いでくれる。

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結果として、この導入店舗に関しては営業時間外の予約が増加したことと、混雑時の電話予約の取りこぼしが減ったことで予約件数の増加につながった、ということだった。もちろん、この導入事例は彼らの提供する一件だけなので、その他の店舗がどうなのかは注意深く考える必要はあるが、何よりもこのシステムを上手く活用できている店舗が実際にあるということは注目してよいのではないだろうか。

飲食店向けのオンラインサービス、特に店舗オペレーションが関わってくる箇所にはどうしても導入の難しさがつきまとっていた。しかし、競合となる各種予約台帳サービスやタブレット型POSレジの躍進を見ていると、そろそろそういう課題も解決されつつあるのかもしれない。これはスマートデバイスが恐ろしいスピードで浸透したことも大きく影響しているだろう。

今後の展開として谷口氏が掲げるのは、主に国外への市場拡大と決済などのサービス拡充だ。特に海外については台湾などのアジア圏への進出を睨んでるという。同社は以前も記事にも書いた通り、メンバーは非常に国際色豊かで、谷口氏自身も海外で生まれ育ったという生い立ちから、いわゆる言葉や文化の壁をあまり感じさせない。

ちなみに彼らの企業サイトには「社是」が掲載されており、個人的に一番最初の「1. 明日はないものと思うこと (Act like there’s no tomorrow)」という一行がお気に入りだ。

国内から始まる予約台帳サービスの競争、各社の成長も楽しみになってきた。

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