データがスポーツチームのあり方を意外な形で変えている

著者のDash Davidson氏は、Tableau Publicでスポーツデータアナリストを務める。彼はスポーツ全般が大好きで、特にヤンキース、タイガー・ウッズ、ラファエル・ナダル、Stanford Athleticsの大ファンだ。

 via Flickr by “A Health Blog“. Licensed under CC BY-SA 2.0.
via Flickr by “USAG- Humphreys“. Licensed under CC BY-SA 2.0.

データがスポーツの一端を担っているという考えは特に新しいものではない。データを利用するスポーツチームの数は増えており、彼らは今までよりも積極的にデータを活用しているようだ。ひょっとすると、これに関して最も記憶に残るエピソードの一つ(映画化もされて広く知れ渡った)は、ビリー・ビーン氏と貧乏球団オークランド・アスレチックスの驚きのサクセスストーリーではなかろうか。

またThe Atlantic 誌は最近の記事で、今年のウォリアーズ対キャブズのNBAファイナルは、かつて最も視聴された「マイケル・ジョーダン時代」の再来と称し、「この両チームは共に、試合進行にデータ分析を組み込み、駆使している。」と述べている。そしてこれは、複雑な計算を行っているプロリーグに限られたことではない。今月初めには、ネブラスカ大学体育学部がスポーツ分析とデータ分析の監督を採用している

しかし、スポーツにおける解析学の最近の傾向は、膨大な量の統計や新しい経営的役割に留まらない。実際のところ、それは長年行われてきたコミュニケーションや指導方法を一から作り変えることになるだろう。それがどうやって行われるのか理解するためにも、まずはスポーツチームが実際にどのようなデータを集めているのかいくつか例を見てみよう。

例えば下のダッシュボードは、特定の選手の成績を分析するために利用されたものである。例でいえばNew York Mets の一塁手Ike Davis氏だ。クリック、もしくは流し見をするだけで表示を調節し、Davis氏の2011年と2010年の成績比較を特定の視点から行うことができる。似たようなダッシュボードでは成績比較を月単位や他のチームと照らし合わせて行うこともできる。

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もちろん監督は共通のスポーツ統計を通しての成績比較をしてきた。しかしながら近年を通して、その詳細やアクセシビリィティーは劇的に増大した。

似たような話はゲーム中の特定の出来事にも当てはまる。Liverpool Football Clubに使用された下のダッシュボードに垣間見ることができるように。この視覚化は単純だが広範囲に渡っている。試合中の考えうる全ての行動と勝敗とを相互に関連付けているので、監督はそれぞれの選手がどのように試合結果に影響を与えたかを見ることができる。

監督は選手の行動を「目標への左蹴り」と「目標への右蹴り」といった具合に特定して調べながら、特定の行動が勝ち負けのどちらに導いたかを知ることができる。これらは練習習慣や選手決定などに関する特定の変更を可能にした。

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データ主義スポーツの3つ目の例は、NFLで用いられるフットボールで最も難しいとされる決断の視覚化だ。その決断とはゴーサインを出すか出さないか、フォースダウンでフィールドゴールかパントを選択するかだ。データとこのダッシュボード駆使することで、フィールド上の配置・敵チームがどれだけの頻度でゴーサインを出すかなどの全要素をコーチが把握できる。こうして期待得点の見込みを立てていく。

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これら三つの例は一つの共通点を有する。データ革新がスポーツ界にもたらした予想外の影響力を示すものだ。つまり、これらの技術の適用はチームとチームを陰で支える人々とのコミュニケーションバリアーを取り払うという点だ。

これまでは、一般的にフィールドにおける選手は一つの単位で、コーチ陣は別の単位、経営陣もまた別の単位と捉えられてきた。有名なMoneyballを例にとっても、計算をする側は明らかに計算対象である選手から切り離されている。

だが、新時代における分析論は、計算や統計、モデリングのような複雑で見慣れない概念におけるコミュニケーションを組織全体において可能にした。昨年の MIT Sloan Sports Analytics Conferenceで専門家が指摘した通り、交渉過程においてこれらが応用される可能性がある。San Francisco 49ersのコーチを例に挙げると、彼は契約に漕ぎ着けようとする際にデータが双方の主張を強化するのに役立つと言及した。またNational Basketball Associationの委員によると、ここ数年分析学が選手の締め出しに終止符を打つのに一役買っているようだ。

たとえ一度契約が完了したとしても、データの役割は続く。より多くのデータを取得することで、選手は納得し易くなる。コーチの言葉を神の声として素直に受け入れることが期待されている場合、コーチは選手をある戦術や以前より増した練習に同意するよう説得できる。控え選手をより多く引き込むことは、それほど重要に聞こえないかもしれないが、ここぞという時に大きな違いをもたらす無形の価値だ。

スポーツ界における最大の変化は、単に取得可能なデータが山ほど存在するという事実ではなく、これまで区別され交流するのが困難だったグループの間に存在する障壁が取り除かれようとしている事実にあるのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
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