顧客は自分の欲しいものはわからないなど、鵜呑みにしてはいけないイノベーションに関する3つの神話

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<Pick Up> Three innovation myths that just won’t die

イノベーションにまつわる神話について指摘するFastCompanyの記事をピックアップしてみました。3つ紹介されている神話のうち、今回は「顧客は自分たちの欲しいものをわかっていない」について。市場調査の結果より直感を信じたと言われるジョブスに大きく影響を受けたものです。

今では人々が当たり前のように使っているスマホ、その上で走るアプリやApple TVといったデバイス。これらが市場に出る前に、顧客が自らこんなデバイスが欲しいと求めることはなかったはず。ジョブスは、こうも言っている。

「顧客に何が欲しいかを聞いてそれを与えようとしてもダメだ。それが完成した頃には、彼らはきっとまた別のものを欲しがる」

顧客に対して問うべきは、「何が欲しいですか?」という質問ではない。もし、この質問をすれば、答えにはソリューション(解決策)が返って来るから。イノベーションを起こそうと励む企業にとって、彼らの答えはパッとしないもののはず。顧客はそこまでクリエイティブではないし、それは彼らに期待すべきことでもない。

顧客に聞くべきは、彼らがどんなニーズを抱えているか。「The Voice of the Customer」と題された論文の中で、顧客ニーズはこんな風に定義されているそう。

「顧客ニーズとは、顧客自らの言葉によって説明される、とある商品やサービスによって満たされる利点」

でも、誰一人として同じ顧客はいない。全員が同じような形でニーズを感じるわけではない。例えば、車を広く普及させたことで知られるヘンリー・フォードが、その見込み顧客に対してニーズを聞き回ったとしたら、当時の移動手段にまつわるニーズが聞こえてきたはず。離れたところにいる友人や家族をもっと気軽に訪問したい。または、商品や材料を一ヶ所かたまた別の場所へと運びたいなど。

彼らのニーズは、A地点からB地点により早く移動すること。顧客に「どんな解決策が欲しいですか?」と意見を聞くのではなく、そこにある本質的なニーズにフォーカスしたからこそ、車というより良い解決策を生み出すことができた。

こうした神話を鵜呑みにすることはリスク以外の何ものでもなく、それはイノベーションが起こるスピードを鈍化させてしまう。サービス開発初期から、市場ニーズを特定するプロセスをきちんと設けること。そして、それをその後のプロセスにおいても設け続けることが、真のイノベーションには欠かせないものだと言える。

via. FastCompany

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