モバイルラーニングのキャスタリア、学習の”継続率”の定量化を軸に自律学習プラットフォームの構築を目指す

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右:キャスタリア代表取締役山脇智志氏 左:同社プロダクトマネージャー 時田浩司氏
右:キャスタリア代表取締役山脇智志氏
左:同社プロダクトマネージャー 時田浩司氏

「学習」における最大の課題とはなんだろうか。

人によって意見が分かれるところかもしれないが、「継続」というのは多くの人が賛同する課題のひとつだろう。

テクノロジーを用いて教育領域で挑戦を続けるプレイヤーたちも、いかにユーザに継続してもらうかという点では苦戦している。

キャスタリアはモバイルラーニングプラットフォーム「Goocus」を開発し、イタリアやナイロビの大学等ともオンラインラーニングの実証実験を行ってきたスタートアップだ。

一貫して、モバイルラーニングという領域に取り組み続けてきた同社に、新たなステージが見えてきた。その鍵が「継続率」だった。

「教育の未来はモバイルにあると信じ、開発を続けてきました。いつでも、どこでも始められるようになりましたが、それは一方でいつでも、どこでも辞められることでもあります。私たちは、どうしたら自律学習が可能になるのかを考え、取り組んできました」

そうキャスタリア代表取締役の山脇智志氏は語る。

ラーニングアナリティクス機能を備えた「Goocus Persistence Engine」

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長年取り組んできた同社に起きたブレイクスルーは、学習を継続するためのシステム「Goocus Persistence Engine」を開発したことだ。

同システムでは、これまでの膨大なモバイルラーニングの学習記録を分析し、継続のために必要な機能を実装。これはゴールがわかってるいると安心して学習を続けるという調査結果を踏まえて、学習者の学習パターンを分析し完了時期を予測する。

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このシステムを開発するために重要だったのが、継続率の定量化。キャスタリアは社内に研究部門を立ち上げ、機械学習の研究者を招いて研究を重ねた結果、彼らは学習の継続性について考える際の基本となる数式を生み出すことに成功した。

キャスタリアでは、独自にモバイルラーニングの継続率を計算した指標を「CAS Index」と名付けている。基本の数式を生み出したことで、どの変数をいじれば継続率が向上するのかを試していくことができるようになった。

AIを使った自律学習プラットフォームの構築へ

基本となる数式が完成した今、キャスタリアは継続率を改善していくためのアルゴリズムの開発に着手することができる。アルゴリズムを磨いていくことで、「Goocus Persistence Engine」は進化していき、将来的に彼らが見据えるのはAIを使った自律学習プラットフォームの構築だ。

山脇氏「自然言語処理ではなく、機械学習の技術を用いたAIの開発に着手していきます。自然言語処理は日本と海外で違いが生じやすいですが、私たちは継続率を数式で捉えることができたため、グローバルに共通する人工知能を開発できると考えています」

機械学習領域で問題となるのは、精度を高めていくために必要な膨大なデータの収集だ。キャスタリアは現在、同社が開発したシステムを様々なオンラインラーニングのサービスへと導入しているという。どんなユーザがどう学習し、どう離脱しているかといったデータが集まる状況にある。

企業へのシステム提供は会社の売上にもなっており、足元の会社の売上を伸ばしながら、中長期的に重要なデータも集めることができている。継続のためのエンジンはヘルスケアやフィットネスなど横の展開も考えられ、今後は調達も視野に入れながら、体制を強化していくという。

現時点で、人工知能を活用できているプレイヤーはほとんどいない。だが、長期的にみて人工知能領域にアプローチできる企業が重要になってくるのは間違いない。キャスタリアは、エンジニア中心のチーム体制で、この領域にトライしようとしている。

いち早く、モバイルラーニングの領域に取り組み始めたキャスタリアにとって、ようやく周辺の環境が整い始めた。テクノロジーで学習はどれだけ変革されるのか、キャスタリアの活躍に期待したい。