
今回の投稿は、本シリーズ「Discover Korea’s Tech(韓国のテックスタートアップを探る)」の第8弾である。数々の巨大企業が牛耳っていることで有名な韓国経済の中、自身が持つテクノロジーによって自立した韓国のスタートアップ起業家たちに話を聞いていく予定だ。数ヶ月に渡って彼らを追うこの企画を楽しみにしてほしい。@technodechina からシリーズ最新のストーリーをチェックできる。
韓国セウォル号転覆事故では、304人もの命が失われた。その後、この国では、あらゆるセクターや業界で安全に対する注意喚起がなされるようになった。中国でもここ数十年、工場での爆発事故や土砂崩れなど多くの労働災害が発生している。しかし、残念なことに安全管理者は現場を単なる形式的なものとしてとらえる傾向があり、その結果、事故、負傷、災害が発生してしまう。
Great Safety Information Laboratory(GSiL)はこの問題を、AIで動く安全管理システムを装備させることで解決しようとしている。
同社 CEO の Elisha Lee(이정우)氏は TechNode に対しこのように話している。
安全関連のセクターには複数のスタートアップが存在します。しかし、異なる状況それぞれにカスタマイズされたソリューションを提供するのは困難でした。
事故防止のために GSiL は環境センサー・機器から何万というデータポイントを収集している。NFC タグを使用して作業員の位置をモニターし、設備状況をチェックできる AI で動作するリスク測定、安全システムを開発した。これにより無線インターネットが建設現場やトンネルで機能することができる。
GSiL が他の安全ソリューションと違うのは、建設現場の規模に応じたハイレベルなカスタマイズ仕様である。
例えば作業員がトンネルを掘る場合、安全管理者は誰がこの作業を担当しているかを把握できる。GSiL はトンネルの上部にアンテナ、トンネル内に無線 CCTV カメラを設置している。また、トンネル内の作業でどこに大きな機器や作業員が存在し、どのような作業がなされているのかがわかる。同社はヘルメットにセンサーを内蔵させることで、作業員が転倒した際にサーバに通知されるようにしている。しかも作業員が負傷したり別の事故に巻き込まれたりした場合、黄色のマークで表示される。
Lee 氏は次のように述べている。
小規模の建設現場の場合、大規模現場に比べて事故が多くなっています。安全管理者を配置する必要がないからです。 安全基準を簡単に逸脱してしまうので、事故の起きる確率が高くなるのです。
中国信息通信研究院(CAICT)のデータによると、中国は2015年末までに総額2,600億米ドルもの金額をスマートシティに投資してきた。スマートシティのプランナーは安全、公共エネルギー、住民への影響に気を配っている。GSiL の狙いは、スマートシティを推進している中国の小規模自治体に安全ソリューションを提供することだ。
同社はそのほか、事故発生後の調査作業の重要性も認識している。
Lee 氏はこう話している。
事故発生時、救急隊員はその事故の場所が化学工場なのかどうか、建設現場の場合なら作業員は300人なのか20人なのかを知る必要があります。当社では救急隊用のアシスタンスガイドラインを設けましたので、事故の規模に応じた救急体制を敷くことができるようになるのです。
主な競合は安全性を専門とするノルウェー拠点のコンサルティング企業 DNVGL だ。GSiL はまだ国外顧客を獲得していないが、鉄道関係企業や消防署とは提携できる可能性があるとコメントしている。GSiL はこれまでに4億ウォン(34万米ドル)のシード資金を BigBang Angels から調達した。
GSiL は韓国・未来創造科学部傘下の K-ICT Born2Global Center の支援を受けている。
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